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11013の手紙に寄せて

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11013でなければならない理由も、ないのだけれど。
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2018年7月の記事一覧

ひとりにひとつの世界かどうか

ひとりにひとつの世界かどうか

明瞭な発音のためにじゅうぶんな時間を割かず、早口で話す人にでくわすことがあります。ただでさえワンセンテンスに一度は訊き返さないと理解できないくらいなのに、にぎやかだったり、環境音の大きい場所だったりすると、もう絶望的に聴きとれません。

おなじ言語を用いて話しているのに、理解や共有の度合いに差がうまれます。聴きとれない例を挙げましたけれど、ちゃ〜んと聴きとれていても、いまいちあたまに入ってこな

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愛と、よそ見。

愛と、よそ見。

先日、1匹の蜚蠊を殺した。(「虫」という部首を含んだこの2文字が意味する生き物は、カタカナ4文字で表してもなんら問題ないのだけれど、なぜかその4文字を視認したところ視覚的な抵抗感を覚えたため、あえてこの使い慣れない2文字の「虫」という部首を含んだ漢字を用いて表すことにする。)その数日後、2匹目の蜚蠊を殺した。このふたつの出来事は、いずれも僕の実家で起きたことである。

たったいま僕は、この文章

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思考のパトロール  〜移り気なお巡りさん〜

思考のパトロール 〜移り気なお巡りさん〜

本だとか資料を読もうとして手にとった瞬間、べつの本や資料や、やりかけのことが思い浮かんでしまうことがあります。でも、そこで今手にしている本や資料を置いて、思い浮かんだものの方に触れようと行動を移してしまったら、いま現在手にしている本や資料を読もうとした「一寸むかし」の自分を否定してまうかのようで、結局「移ろいかけた気持ち」の方をやりこめてしまう……ということが今まで多かったです。

そうして1

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ゲリラお茶会  〜集中と分散のはざまで〜

ゲリラお茶会 〜集中と分散のはざまで〜

読みかけの本をひらいた瞬間に、べつの読みかけの本が気になってしまうことがあります。せめていま手にしている本を1〜2ページくらいは読んでから気になった方の本に移ってみようと思うのですが、もう気持ちがそっちにいってしまって、1〜2ページ読了するのにも難儀してしまいます。

難儀しながら1〜2ページ読んでいるうちに、気持ちがべつの本にいっていたはずがいま手にしている本の方に注がれはじめ、1〜2ページ

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おとぎ話,Each Other.

おとぎ話,Each Other.

夏も冬もおんなじ就業時間のなかで、いちにちじゅうエアコンによって一定に保たれた室温のなかで、一年中だいたいおなじような質と量の仕事をこなす……そんな事業に従事しているひともおられることでしょう。

逆のくらしを考えてみると、村のくらし、みたいなものでしょうか。あたたかいときはあたたかいときにしかできないことをみんなでやる……あたたかいうちに、さむくなったときに備えた仕事をひたすらやる。季節がか

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しがない、詩がある。

しがない、詩がある。

どんなものがいまもむかしも変わらずに存在しているか……という話になると、トコトン人間に近いもの、いえ、それはあたりまえかもしれませんが、人間の生活、生命の保持に大きく関わるもの……となっていくでしょうか。

一方で、精神的な活動の記録みたいなものもやっぱり昔からあるわけで、1000年前の人も、詩をつくってよんだり画を描いたりしていたんですよね。

詩や画なんてものが現在のように、インターネ

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デザイン、み〜つけた!

デザイン、み〜つけた!

最近、ある映画をテーマに曲をつくりました。映画のテーマソングづくりを依頼されたとかではなく、もうすでにテーマソングもなにもかもが出来上がっていて公開済みのある映画を鑑賞し、その映画をテーマにしてつくった曲を、ある夜のライブハウスに出演するものどうしが披露しあいましょうという、そういう試みに参加することになっているのです。

ただ映画をみるんじゃなくて、その作品をテーマにべつの曲をつくらなきゃな

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初めての「顏」

初めての「顏」

さすがにその場に居合わせた他人におごられた経験はないんですけどね、見ず知らずの人に話しかけられたことが最近ありました。

下北沢から三軒茶屋方面に、10分ちょっと歩いたところにあるバーでした。イラストや漫画を描く友人が、そこを会場に、自身の作品の展示を行っていたのです。僕はそれを見に訪れたのでした。

バーは通常の営業をしていました。作家さんにこうして展示に利用してもらうことで、初めてのお

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きみの夢は、量子的。

きみの夢は、量子的。

素粒子というのは、いろんな状態が「重ね合わせ」なのだそうです。Aでもあるし、Bでもある。人間でいったら、怒ってもいるし、喜んでもいる、といった感じでしょうか。たくさんのいろんな状態が、「重ね合わせ」なんだそうです。

そしてそれらの重ね合わせのいろんな状態は、「観測する」と、ひとつに決まってしまうんだそうです。ほんとうは怒ってもいたし喜んでもいて、そのどちらも正解だし本当のことだったはずなのに

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きみに、質問があります!

きみに、質問があります!

「むしろってなんですか?」

最近、僕が放った質問のなかのひとつです。

「ええっ、むしろ、知らないの?」

という反応が、職場の先輩から返ってきました。それから、むしろとはコレコレこういうモノで……というご説明をいただき、何やら「むしろ」は、ゴザにも似たような、乾燥させた植物の繊維をつなぎ合わせた敷物のようなモノらしい……ということがわかりました。

いま、僕は、勤めている職場の

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東京ドーム、いくつぶん?

東京ドーム、いくつぶん?

人々の集まる機会として、じぶんが経験したことのある一番規模の大きなものはなんだったかと考えてみます。最初に思い浮かんだのが、ディズニーランドです。それから、諏訪湖の花火大会が思い浮かびました。どちらも、絶え間なく人が流れて出入りするものですから、「ハイ、いまこの瞬間、キッチリ〇〇人が収まったね」といえるようなものではありません。とにかくたくさんの人の往来があるということでは、ぼくの地元、実家の近く

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あの頃きみが、かよったお店

あの頃きみが、かよったお店

「わからなさ」を食べて、血肉とするのですね。だから、「わかる頃」になると、だんだんと「わからなさ」を食べさせてくれていた場所に行かなくなる……ということでしょうか。

昨日、ハンバーガー屋で食事をしました。今の職場の最寄りの駅ビル、その地上階にある店です。職場からも近いので、今の仕事に就いてからよく行くようになりました。

この店はハンバーガー屋だけれど、パンがあるのが良いところです。ハン

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小手先の変化

小手先の変化

怪我をしたら、傷口は消毒するということが長いこと言われてきたように思いますが、近年になって、それは間違いであった、と聞きます。消毒しないほうが良い、と。

この例とはまたちょっとズレたことかもしれませんが、「こんなとき、どうする」みたいな知識や方法が、後世になるほどに蓄積されていきますね。でも、時代によって正解とされることが変わることがあります。結局いつも、「あのときは正解だったけど、今はどう

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共同カレー

共同カレー

自分のことをかえりみると、だれかに相談をもちかけることがあまりないなぁと気づきます。もっと他の人にきいてみる、話をする、ということがあっても良さそうです。

これはもう性格なのかもしれませんが、僕はどんなことにおいても、1人で何役もこなしてしまいがちです。自分の相談相手はまずは自分、といったところでしょうか。そうしてぐるぐると考え抜いて、ちょっとした方向性や方針みたいなものが見つかることもあれ

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