ばんどう通信R5年06月号

こんにちは、坂東です。
明日から豪雨?の予報ですが皆さん対策されてますでしょうか??
私はいつも仕入れのスケジュール調整に苦心して(海が荒れるとしばらく入荷が泊まるものも出てくるので)家や自分のことは後回しになっております(笑)
ということで今月もあれこれと。

ばんどう通信を送信する番号が変わります。

現在顧客の皆様にショートメールにてばんどう通信を送らせていただいているのですが、多分来月か再来月から送信する番号が変わる予定です。
ソフトバンクの方→従来通り
その他の方→現在090から始まる坂東携帯からお送りさせていただいてますが050から始まるI P電話番号からのお送りとなります。通話はできますがショートメールの返信はそちらに直接はできない形になりますのでご了承くださいませ。
どうもショートメールシステムを使った詐欺や犯罪行為が多発しているようで法律が変わりその関係でそのような変更となりました。
それ以外は特に変わりませんが一応ご承知おきくださいませ。

骨抜き鱧、いよいよスタート

毎年恒例の骨抜き鱧、今年もスタートです。
2020年のコロナが始まった年、予約がごっそりなくなってしまい。お弁当を皆様が買ってくれたおかげでなんとか生き延びることはできましたが夜の営業はまだまだ暇。そんな状況の中

コロナ始まった頃に作ってた究極ののり弁。鯛をすり身にしてちくわ天、鱒の介を塩鮭に、喉黒を白身フライに、という究極のお遊び企画。

「どうせ暇なら新しい技術を何か習得しよう」と古典をあたり何度か試行錯誤して習得した「鱧の骨抜き」
Yの字の形になっているのである場所に隠し包丁を入れないといけないんですがそれがなかなか難しい。

鱧の骨。1匹分で結構な数あります。


しかしやってみたら別物になりまして。もう骨切りの鱧には戻れない。
ということでその年から骨切り包丁は封印してしまいました。
(鱧以外の魚の骨切りであれば別に骨切り包丁は要らない)

骨を抜くことで大きく変わったことは「本当に美味しい鱧を選ぶことができる」「本当に美味しい調理法を選ぶことができる」ということ。

隠し包丁を入れて抜いた後の鱧
通常400gが理想とされる鱧ですが1キロアップを使うことができます。

例えばフグの造りは極々薄く、マグロは割と厚めに切るのが定番です。それは「それがその魚の身質を踏まえて最も美味しい切り方」だから。逆にマグロをふぐのように薄く切ったり、フグをマグロみたいに厚く切ったら全く美味しくありません。

対して従来の鱧は「身の性質を踏まえた包丁」を入れていない。「骨が極力細かく気にならないように」という「骨の都合」で包丁入れてるだけなんですね。
そして魚体の選定に関しても、骨はなるべく細く(太いとどんなに短く切っても直径分感触が残る)、皮はなるべく薄く(お湯に落とした時に極薄に切った身はすぐに火が入ってしまう。なので皮もそれと同時に火が入るくらい薄い方が良い、という価値観)というのが定石で、その究極が韓国産の鱧とされてきました。

かまぼこにされるような、または骨切りスーパーに並ぶような安い鱧はキロ1500円くらいで手に入りますが韓国産はキロ3万円〜。で20キロ単位。サイズ指定不可。しかも釣り針を飲み込んでる個体がいるため何割かはすぐに死ぬ。市場の競りにも上がらず「言い値で買ってくれる相手に自動で納品される」という超超強気のスタイルでした。国産の上物と比べても段違いの単価の高さ・扱いにくさです。

2019年まではウチでも扱いたく、方々手を尽くしたけど全く手に入らず。京都の料亭がほぼほぼ独占してしまっていたのです。
それが2020年にコロナで需要が激減し、何度か仕入れることができたのですが結果としては

「あれ?念願かなって手に入った割に骨抜くんだったら国産の、それも三河湾の鱧の中から上物の個体選んだ方が美味しくない??」

という状況。韓国の鱧は外洋で育ててはいるものの実は養殖なので脂は強いけどその脂の香りが養殖なんですね。そして、骨も皮も柔いけれど身の旨みは少ない。
うまく調理すれば「口に入れたらとろけていく」鱧になるんですが言ってしまえばそれだけ。
豊浜あたりの鱧で、1キロ近い大きい個体を選ぶと脂は乗ってるし旨みも濃い。
皮は厚いけど骨を抜いて仕舞えば身の方も厚く仕立てることができるので「火が通る時間差」という問題もない。皮を引いて使うという選択肢も出てくるし圧倒的に美味しいんです。

骨がないのでお造りにすることだってできます。うまい。

夏から初秋にかけての白身の王と呼べる食材だと思ってます。夜の献立にはしばらくは基本絶対入れますんで良ければどうぞ楽しみにお越しください。

尾鷲の赤雲丹が始まります

初夏の定番でお出ししている雲丹きしめん。尾鷲から紫雲丹が入ってきていましたが赤雲丹の時期になったようです。何が違うの?って見た目には殻の色が違うだけなんですが味の濃さが段違いになります。
こちらは入荷は圧倒的に不安定ですが入った日にはなるべくお出ししたいと思ってます。

これが赤雲丹。ほんのりとげが赤いですね。
紫うに。棘が黒いのがお分かりかと。
これも別の産地の紫雲丹。
何年か前の雲丹きしめん。最近は薬味や香りは使わず雲丹と「かえし」のみで仕上げてます。


和良鮎

去年出会ってから惚れ込んでしまいそれ以来うちの定番化した岐阜県和良川の鮎。

和良鮎

何が違うか?というと産地を上げて「鮎本来の味」を届ける取り組みをしていること。
この季節になると、料理屋に行くと桶で泳いでいる鮎を見せてくれて「こちらを今から焼きますね〜」なんてやりとりが風物詩となっていますが「それが良くない」という価値観の産地。
鮎は本来常に食べ続けていないと死んでしまう魚で、「料理屋で泳いでる」ということは移動時間など考えると少なくとも36時間は断食されていることに。
その間、胃のなかが空っぽになってしまい胃液を出したいのに出せない。
その結果、胆汁が行き先を失い胆嚢がどんどん肥大化してしまいそれが「鮎の苦味」になっているんだと。あの苦味も食べ慣れた「風物詩」として味わうにはいいんですが、身を痩せさせてまで得る味わいじゃないよね、ということで和良川の組合では釣り上げた鮎を即電気ショックで気絶させるという処理をしています。
その結果非常に甘く苦味も柔らかで綺麗な味わいの鮎に。

自身の脂で頭が揚げ焼きになる感じで火入れしてあげるとサクサクで美味しい頭になります。

6月くらいまではギリギリ頭から骨まで丸ごと、というサイズでしたがだんだん大きくなってきたのでちょっとこれからは3枚に下ろして調理することの方が増えるかな、と思います。大きいサイズも丸ごと焼いても美味しい&焼き方次第では頭ごと食べられる状態にできるんですがコースだとそれだけでお腹いっぱいになってしまうので・・・・。
どうぞお楽しみに!

それではまた来月に。
どうぞ今後ともご贔屓のほどよろしくお願いいたします。

坂東

鮑とか
毛蟹とかも美味しい季節ですね。

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