久しぶりに見たガンダム4話「ルナツー脱出作戦」がやっぱり駄目だったので、一々説明する。

他人任せで申し訳ないのですが、まずルナツーの情報と、岡田斗司夫さんの動画と、かれが紹介したブログをまず見てください。

https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%84%E3%83%BC

基本的な彼らの主張は、1.ルナツーの戦略上の特殊性、2.ワッケイン指令は単純なわからずやの官僚主義者ではなくそれなりに考えていたんだ、というものです。

ただ、それぞれどうかと思う部分があるので書いていきます。念のためですが、私も岡田さんと同じように作者の意図よりも自分が感じたことを書いています。ただ、インタビューなどで整合的でない部分があったら教えてくれたら幸いです。ただ、その場合でも私は制作側が悪いと言うでしょうが(笑)



・ルナツーの問題

既に何度も出てきてますが、ルナツーの位置付けは、現状ではあんまり意味ないけど、連邦の宇宙での逆襲で重要で実際に活躍したというものです。実際に戦艦を何隻も積み込んでますし、シャアたちがノーマルスーツで忍び込む際には立派な砲台が見せられています。確かに、ワッケインが「ムサイごとき軽巡洋艦で、このルナツーに挑むようなバカなことはしない」とブライトに言い放つのも理解できます。シャアも「あれだけの装備を誇っている」と言っています。

まず大問題なのは、10名程度のノーマルスーツの突撃隊に忍び込まれて、機雷で電気系統をやられていることです。まず見張りが2人だけってのが酷いし、彼らがやられた情報がすぐに本部に伝わらないのも酷い(まあ、1979年当時は生体反応をリアルタイムで管理するシステムなんてなかったんでしょうか…)。少なくとも赤外線で守っている所から狙えるところに電気系統の重要部分があり、しかも軍なら当然あるはずのバックアップ・システムもない。迫りくるザクに砲台が抵抗できないところをみると、ここもメインの電源がないと動かないらしい。

あと、戦艦やMSの出入口が1つしかなく、戦艦を同じところに並べているのも論外です。なんかの加減で1機やられたら、他のも巻き添えを食うじゃないですか。こんなのはまともな基地ではありません。

こんなのが、いざという時に役に立つとは信じられません。工廠もあったそうなので、基地ではなく工場兼物置というのが正確なところでしょう。


・ワッケインの無能さ:戦術編

シャアにまんまとやられたワッケインは戦艦マゼランで出撃します。状況としてはルナツー本体がやられて攻撃力がなくなったからでしょう。

でも、相手は赤い彗星のシャアですよ?

戦艦5隻落としたっていうので名を挙げたシャアですよ。

それに勝てると思います?

ここでの正しい判断は籠城です。戦艦の出入口を封鎖して(まともな基地なら万が一のため手動で閉まります。ルナツーは分かりませんが(笑))、敵の攻撃を耐える間に電気系統を復活させる。

こうしないと、そもそもマゼランが安心して出艦できません。今回はシャアが賢くてそもそも爆弾をしかけてましたが、そうでなくても軍機の最大の弱点は発車するときと収容される時です。味方の支援なしでは、いい的です。


・ワッケインの無能さ:木馬編

これは一般的に言われているところとは少し違います。岡田さんたちの反論は、ルナツーという特殊な基地の管理という条件があり、ガンダムや木馬を匿うとルナツーという本来目立ってはいけないものが目立つことを恐れたから木馬に冷たかったというものです。

まず、そもそも、ルナツーとガンダム・木馬はどちらが重要でしょうか。結果論ではありますが、後者だったことは明らかです。特にガンダムのOS?を載せたジムの大群で勝った訳ですから。彼も少なくとも「トリブルAの秘密」だと分かっていたはずです。少なくとも本部、できればレビル将軍に連絡すべきでした。

ブライトやアムロを拘束したことは正しい。彼が言うまでもなく軍規は絶対です。ところが自分のミスで戦況が悪化し、パウロ艦長という偉い人に言われると途端に態度を変えます。

https://youtu.be/Z7lBqat0QuA?t=1810

岡田さんはここでワッケインが7秒以上考えたことを指摘しています。彼はそこでワッケインなりに色々考えたのだろうと言っていますが、私には明白です。重要なのは、その直前にパオロ艦長が「わしが責任を持つ」と言ったことです。アムロたちに出撃させて、特に失敗に終わった場合、責任を取らされるのはワッケインです。でも、死にぞこないでもパオロが責任を持つと言ったのならば、自分は責任回避をできます。ワッケインはその悪い頭で7秒もかかってそのことを理解したのでしょう。

責任回避の鬼ですね。

あと、パオロ艦長に「指令たる君が戦いやすいように助けてやってくれたまえ」と言われてますが、なんもしてません。まあ、例のルナツーの問題で何もできなかったのかもしれませんが…


・シャアの言動

今までの話とは直接関係ありませんが、シャアの言動で分かりにくいところをおさらいします。

まず最初にノーマルスーツで潜入する際の目標は、1.ガンダム略奪、2.木馬略奪、3.手に入れずんば撃破するのみ。

確かにガンダム略奪は良く分かります。この語のガンダム・シリーズでもMS乗っ取りはお家芸になってますから。ただ、ザク以外の機体を動かせる自信があったのでしょうか。その後、シャアは新しいMSをあっという間に使いこなして見せますが、連邦系とジオン系は基本設計も違うだろうし。更にシャアとはいえ、工事用MS以外はザクしか乗ったことはないはず。アムロのときみたいにマニュアルもありません。後は木馬に収容するか、木馬で引っ張っていくかですが、そもそも木馬の略奪が難しい。

木馬の略奪はどうでしょう?木馬は戦艦なのでオペレーターとか機関士とか複数の人間が必要です。しかも、出入口は戦艦1隻分のスペースしかありません。後でマゼランを破壊するときみたいに固定されることもある(そういや、あんときだけは電気が働いてましたね(笑)

そう考えると、ドズルに頼まれたように「奪還」するにはルナツーは条件が悪すぎる。ただ、今までの戦いで恐れを抱いたシャアの本音は撃破だったのかもしれません。

後編では出発するマゼランに爆弾を使って足止めします。賢い手のようですが、マゼランなんか余裕で落とせるシャアからしたら、あんまり意味ないようにも思えます。出入口を塞いで、やっぱり少なくともガンダムが欲しかったんでしょうか?しかし、赤ザクに乗り込んだシャアは作戦をガンダムと木馬の撃破に切り替えています。ということは、普通にマゼランをやっつけたかったということになります。

あと、なぜかガンダムが封印されているのを見てしまったのかもしれません。これでは奪うことはできないので撃破しかない。

しかしさっきも書いたように、ルナツー以外ならガンダムと木馬を鹵獲する可能性はありました。大気圏に突入されたら自分の管轄を越えるので、功を焦ったのでしょうか?


・避難民の扱い

第4話ではもう1つ妙なところがあります。それは木馬が避難民を連れて行ったことです。そもそもワッケインは「一般避難民」は地中連邦軍本部の指示で地球に移動させると言っています。

つまり、木馬は無理やり避難民を連れていく必要はなかった。しかし、シャアが迫る忙しいときに無理やり詰め込んでいます。しかも、行き先は地球で同じです。

なぜブライトたちは彼らを連れて行ったのか。そして彼らはついてはいったのか。合理的な説明はありません。シャアに負われているので、大気圏で木馬は撃墜される可能性もありました。

おそらく最初のワッケインの感じの悪さから、避難民もこの段階ではブライト達の方を信用していた。その後に関係はこじれますが、この辺りはいい感じでした。更に同じサイド7から脱出してきたという同胞意識。この辺りではないかと思います。

ところが人間は恐ろしいもので、ほんの数日でこの同胞意識はもろくも崩れます。リード中尉やカイが言うように食料問題も生じてきます。はっきり言って足を引っ張る存在でしかなくなった。

ここまで予想しろというのは無理かもしれません。彼らはジャブローに直行する気でもいました。ただ、やはり合理的に考えると避難民を連れていくべきではなかった。

ここにその後のストーリーのための製作者のご都合主義を感じるのは行き過ぎなのでしょうか?


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