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魚に骨はありません

 25日(2005年10月)の給食に出たサンマに骨がなかったことが職員室の話題になりました。いったいどうして骨がなかったのでしょう。骨がない魚がいるはずはないので,何らかの方法で骨を除去したに違いがありません。

 そこで,今回のサンマがどんな品物なのかを知るために納入伝票を見せて頂き、「大冷」という会社の「大冷 P入 骨なしさんま塩焼き」という商品だということがわかりました。
 そこまでわかれば次は,googleで検索です。

株式会社 大冷  (設立 昭和47年6月)
資本金 10億円
売上高 250億円(※平成16年度) 
事業内容 業務用冷凍食品の製造及び販売

 とても大きな会社だとわかりましたし,給食に出たサンマも紹介されていました。

2179  パック入骨なしさんま塩焼
 三陸産のさんまの骨を取ってドレスにした後、カットして塩焼にしました。骨がないので食べやすくしかも調理はボイルだけ。給食、外食、お弁当の一品など幅広く活躍します。
 ● 規格 : 25g
 ● 入数 : 20個×10袋×2合
 ● カートンサイズ : 310×95×380mm
 ● JA:N CODE : 49 47920 021790

 骨なし魚シリーズだけで107商品もあり,そのうちの10商品はサンマ商品でした。「大冷」の主力商品が「骨なし魚」のようで,「骨なし魚Q&A」のページが用意されています。

Q:骨なし魚は何時開発したのですか。

A:骨なしは、昔からあった製品ですが、今のブームを起こした起因は、1998 年に「骨なし たちうお」を開発し、病院食に提案し、採用されてからです。その後、骨なし魚は、ホテル、レストラン、産業給食、学校給食、惣菜、弁当等広く 使用されるようになりました。 


Q:どうして病院食に骨なしの魚が受け入れられたのですか。

A:魚は、高たん白、低脂肪の良質な動物性たん白質で病院食に適していること。入院患者は、高齢者が多く、魚は好きですが、骨があると食べにくかったことです。 


Q:骨をどうやって取り除いていますか。

A:1本、1本丁寧に手で抜いています。主にタイ、ベトナム、中国で生産しています。 


Q:どこで生産していますか。

A:タイ、ベトナム、中国、日本の4カ国で生産しています。
 

Q:骨を取る工程が増えることで、鮮度が落ちませんか。

A:温度が高くなるほど、時間がかかるほど鮮度が落ちますので、エァーコンディショナーにより室温を下げ、氷を充分に使用して品温の上昇を防いでいます。包丁を入れた後は、水を使わず、スムーズな処理方法の確立と処理技術の向上により能率が上がり、短時間に処理が出来るようになりました。
通常の切身と変わらない鮮度の骨なし魚と自負しております。

 八戸と千葉にも工場があるので,サンマ商品はそこで製造しているのでしょうか。


便利? それともおせっかい? 賛否両論の「骨なし魚」2003.09.09

(日経レストラン9月号「Voice Hunter」より)

  手作業で骨を抜き取り、食べやすくした「骨なし魚」。もともと高齢者の病院食用として開発されたものだが、料理のしやすさや食べやすさが見直され、じわりじわりと一般家庭にも普及。最近はスーパー、生協などの宅配、インターネット通販などで購入できるようになった。
 しかし、この「骨なし魚」。支持を得ているばかりではない。「骨なし魚」は冷凍加工食品だが、「せっかく魚を食べるなら新鮮なものを選びたいし、骨なしにするために多くの人の手に触れているというのもちょっと気になる」とは、油井直子さん(28歳)。ほかにも「安全性は十分か」、「魚は日本の重要な食文化の一つ。なのに、骨なし魚が一般化すると、子供が“魚には骨がない”と思いかねないし、普通の魚を食べられなくなる」などと危惧する声もあり、賛否両論だ。
 では、「骨なし魚」は実際にどんな人が利用しているのか?
 1歳のお子さんをもつ尾崎美智さん(34歳)は、生協・東京マイコープで「骨なし魚」を取り寄せる。「ちょうど子供の幼児食が始まったので、魚は積極的に食べさせていきたいと思っています。ただ、まだ骨には細心の注意が必要。その点、骨なし魚は安心できます」。
 夏の間は、生ゴミが出ないというのも嬉しい付加価値だと言う。「でも、この先ずっと骨なし魚を与えるわけではありません。やはり大人になったら“きれいに魚を食べられる人”になってもらいたいし、時期をみて徐々に骨のある魚を食べさせるつもり」と言う。
 事実、同生協にはライフスタイル別に「赤ちゃんがいる」「育ち盛りの子がいる」「大人だけ」の家庭向けと、3種類のカタログがあるが、骨なし魚を中心に扱っているのは「赤ちゃんがいる」家庭向けのカタログで、「育ち盛り」と「大人」には、骨なし魚の需要が少ないと考えていることがうかがえる。
 「私が幼児食に奮闘していた頃は骨なし魚はなかった」と言う若林未来さん(36歳)も、「結局は親が骨を取り除いて子供にあげていたのだから、子供にとっては骨なしと同じ。その娘も小学生になった今では自然に骨のある魚を食べています」と、頭ごなしに骨なし魚を悪者扱いするのは間違いだと言う。「主婦が利便性を求めると“手抜き”ととられがちですが、今は仕事と両立している人も増えている時代。大切なのは、便利なものに頼り過ぎないで、考えながら上手に利用することですよね」
 骨なし魚が一般家庭に普及する中、名古屋市には、骨なし魚を取り入れたメニューが人気の店も登場した。「イタリアーノ名古屋西店」だ。業者から勧められ、昨年7月に導入したそうで、骨なし魚を使ったメニューは「舌平目のムニエル」と「骨なし鯛入りパエリア」の2品。注文するのはやはり子連れ家族が多いとか。同店のシェフは取り入れた感想として、「鮮度の心配は皆無。調理しやすく、今後のメニューの幅も広がりそう」と話す。
 過剰サービスの好きな日本。骨なし魚のような便利な食材は今後も登場するだろうが、大切なのは使う側が商品の利用法をしっかりと考えながら、上手に使い分けていくことだろう。




 2005(平成17)年10月26日 作成配布文書より再構成

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