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め ん

デ めん

 「即席 めん」「ラー めんサラダ」の話に続き、食べられはしませんが 「デ めん」 の話です。 

 「ビタミンカステーラ」は、「農作業中の休憩時間に食べる《おやつ》として販売量を増やした。」のだそうです。北海道の農作地帯では、春先や秋になり作業量が増えると、臨時的に農作業のお手伝いをする人々がたくさん雇用されます。今は田んぼも少なくなってしまいましたが、筆者が稲作地帯に住んでいた頃のことです。田植え時期になり田んぼにたくさんの人の姿が見えると「今日は《でめんさん》が来ているな。」と思っていました。北見市豊地に住んでいた頃に覚えた言葉です。そんな「でめんさん」のおやつに「カステーラ」が用意されていたようです。

 この「でめんさん」は、どうやら北海道方言です。農作業に従事する日雇い労働者・パート従業者のことを「でめんさん」「でめん」「でめんとり」とも言います。
 

大辞林 (三省堂)

 で づら 【出面・出頰▽】

  1.  建築などの現場に出た,大工・左官など職種別労働者の一日当たりの人数。また,その労働者に支払われる日当。でめん。 《出面》

  2.  顔出しすること。 「あの態(ざま)で此の中へ-は何事/浄瑠璃・最明寺殿」 

 で めん 【出面】
  ⇒ でづら(出面)① 

デジタル大辞泉 (小学館)

 で‐づら【出面/出▽頰】

  1.  《顔を出すことによって与えられる金銭の意》日雇い労働者などの日当。でめん。

  2.   顔出しをすること。出席すること。

  3.  「あのざまで此の中へ―は何事と、一度にどっと笑ふ声」〈浄・百人上﨟〉

 で‐めん【出面】
 「でづら1」に同じ。

実用空調関連用語 (ダイキン工業)

 でづら 出面
 現場作業を行うために現場に出た各種種別作業者の日毎の人数。 賃金支払の資料として用いられることが多い。
 

出面とは

 以上のように、共通語で「出面」は、多くは「でづら」、時には「でめん」と読み、その意味は「日給」・「労働者数」・「出席」という意味で使われています。北海道農村地帯で使っている意味とは違います。

 北海道協同組合通信社出版部の「最新北海道農業用語事典」(B6判484頁 定価/税込2,940円)によると、「 出面は本来の「顔出しする」から転じ、日雇いの日給または日給契約の労働者を意味する。明治期のお雇い外国人が鉄道工事で日雇いで働く人を称した「デイメン(DAY-MEN)」(1日の男たち)が縮まった、との説もある 」とのことです。このDay-Men説は、正解のように僕は思います。 

お前ん家は、田植えに でめんさん 何人たのむべ
 (あなたの家では、田植え時に日雇い作業員を何人頼みますか) 

 「でめんさん」っておばちゃん達がたくさん働いていたというイメージが僕にはあります。今も農村地帯では、季節的に必要になる臨時的な労働力なのですが、その熟練の技を持つ「じょうでめんさん」(常出面さん)が高齢化して、メンバー不足になる傾向が顕著なのだそうです。「でめんさん」の仕事の中には、単純作業のように見えても実は技術や判断が必要な様々な作業が要求されることも多いようです。確かに肉体的にキツイ仕事が多いですし、1日中の畑作業なので汚れも紫外線もばっちりついていますから、若い人材の新規参入が少ないのだろうと思います。また、「でめんちん」(出面賃)も簡単に上げることは出来ないのが農業分野の現状だと思われます。

 そこで、各地の農業協同組合等が様々な工夫をしているとも聞きますし、外国人研修生の導入も検討されていると聞きます。
 農業に限らず、仕事はあるのに応募者が全くいないというのが田舎の現実です。北一食品が経営していた美幌町のお弁当屋さんは、千客万来で経営的に成り立っていたのにベテラン店員さんの1人が仕事を続けられなくなって、しかたなく閉店になったという話を聞きました。

 人材確保のための取り組みは、先の先を見通して資金を投入することも必要になっています。わが町の建設業渡辺組は、高校卒業生を雇用し、給料支給しながら札幌の建設関連専門学校に通わせていると聞きます。人材確保は、田舎にとって、とても重要で喫緊の課題です。 



2017(平成29)年10月30日 配布

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