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法人利用の可能性が広がるLiving Anywhere Commons会津磐梯 KDDI株式会社インタビュー

都心から電車と車で約150分、人口3500人ほどの小さな町、福島県耶麻郡磐梯町。宝の山とも歌われる会津磐梯山の麓と天鏡湖の異名を持つ猪苗代湖に挟まれたこの場所に、LIFULLが運営する宿泊施設付きコミュニティスペース Living Anywhere Commonsの拠点地第一号「LivingAnywhere Commons会津磐梯」があります。

場所にこだわらない働き方を提案するLiving Anywhere Commonsでは、多種多様な働き方を実践しているCommons個人会員だけでなく、法人会員も受け付けており、KDDI株式会社もそのひとつ。今回は、2021年11月29日~12月3日にわたりプロジェクトの一環として合宿利用を行った、経営戦略本部地方創生推進部の五十嵐恒彦さん、阿部英孝さんに、お話を伺いました。

企業として実際に施設をどのように活用し、どんな成果を得たのか。お二方の感想は――?


磐梯町に赴き“現地で”集中合宿をすることの意義

LivingAnywhere Commons会津磐梯で行った合宿の様子

企業研修施設や宿泊施設は、全国はもちろん会津地域においても数々ありますが、なぜLiving Anywhere Commons会津磐梯(以下、LAC)だったのでしょうか。

五十嵐さん:まず、2020年12月21日に、KDDIと磐梯町とで、5Gなどを活用した地域課題解決の連携協定を締結したことが大きな理由です。
締結以降、鳥獣害対策の対応や職員向けの5Gサービス勉強会といった、DX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けた町のICT化の共創を行ってきました。ですが、今年の9月末まで、コロナの影響で現地での活動ができず、基本的にリモートで対応する状態でした。
地方創生推進部で福島県域担当の私と阿部は、状勢を鑑みながら磐梯町には時折足を運んではいましたが、地域課題解決の連携に関わるメンバーがそろって訪問ということは叶わなかった、という背景があります。
そこで、1年が経過したタイミングで、KDDIから「磐梯町で地方創生集中合宿を行うのはどうか」と提案させていただいたのが発端です。KDDIとして磐梯町の細かなところをどこまで理解できているのか、磐梯町に赴いて現地で集中合宿をすることで、町への理解を深めようという目的でした。その場所として、宿泊場所もあり、既に存在を知っていたLACを法人会員になって利用させていただいた、という次第です。
実は、先の締結式はLACで行われていたんですよ。

「磐梯町を知る」ことに重きを置いた合宿に、LACはまさに好適な場所だったと語る五十嵐さん。
福島の地域創生に関わる五十嵐さんと阿部さんは、この合宿以前にも、11月上旬にLACで開催された「熱意ある地方創生ベンチャー連合」主催の会津スタディツアーに参加されていて、宿泊も経験されていたそうです。その際にはLACの自然豊かな周辺環境を満喫しつつ、磐梯町だけでなく、会津地域の官民で様々な分野で活躍される地域プレイヤーのみなさんとも交流されていました。

4泊5日、総勢10名での合宿の全容

一方「合宿」としての利用は、スタディツアーとは様相が異なり、目的やスケジュールが業務として設定されており成果達成を求められます。
具体的にどんな流れで行っていたのか、実際の合宿の内容をご説明いただきました。

五十嵐さん:今回の合宿は、会津地方振興局様をお招きして会津全体の状況をお伺いしながら、その中の1つである磐梯町に、どういった地域資源があり、どういった魅力があるのかの理解促進を4泊5日の日程で図るものでした。
参加メンバーは、地方創生推進部の部長をはじめ、東北地域の地域担当6名をメインに、PR担当、メンター担当、DX担当の計10名で、LACに集結しての合宿になりました。
合宿の内容ですが、初日は、磐梯町町長の講演で始まり、DX戦略室室長、町議員の方々との意見交換を実施しました。。翌日は、磐梯町の中心街や地域資源をご案内していただきつつ、農業を漸進的に取り組む地区などに訪問し地域住民の方と意見交換を行いました。。3日目以降は、前日までの内容を持ち寄り、LACのミーティングルームを利用して、ブレインストーミングをしながらデザイン思考をもって磐梯町の地域資源と地域課題の理解促進する、という工程です。

LACで業務を行ってみて感じたメリット

講話、意見交換、視察、そしてブレインストーミング。
本社へ持ち帰る移動のタイムラグを置かず、現場で感じた熱をそのままに議論を煮詰める、スピード感をもったミーティングだったようです。
スムーズな進行に見えるこの合宿の工程。KDDI内に前例があってのことだと思いきや、その実、今回のLACの利用が初めてだったと言います。

五十嵐さん:「現地合宿」は、社内でも今回が初の試みでした。そのため、私たちも手探りで進めていきましたが、磐梯町に非常に手厚くご協力をいただいたり、LACのコミュニティマネジャーの方にご協力をいただいたりして、結果的に成功だったと思っています。
設備に関しても、今回の滞在でミーティングルームを3日間お借りしたんですが、とても広いため密にならず、会社とは異なる環境に自由に集まるのは新鮮でした。LAC周辺は別荘地なので閑静で外部の雑音がほぼ入らずに集中できる環境、というのも良かったです。無線LANもきちんと整備されていて、ネット環境が整っているのも利点でした。
また宿泊所に関しても、まったくの合宿所といった感じで、メンバー全体で交流が図れた感じがします。普段、PR担当やメンター担当とは同じ社内といえども業務が異なるので、あまり頻繁に接点を持つことがありませんでした。ですが合宿中、特にアフターファイブはリビングスペースを利用して、ごはんを食べたり、長い夜の時間にお酒を飲みながらさまざまに話したりといったことができました。こうして親密度が増せたのは、メリットとして感じますね。

企業合宿というと堅苦しいイメージが浮かびますが、五十嵐さんのお話のトーンも、LACの雰囲気に似て明るくポジティブな印象を受けます。


LACの特徴としてABW(Activity Based Working、自分の仕事を効率良く進められる場所を選んで決められるワークスタイル)を取り入れた利用者がいるのも特徴です。
ほか利用者との兼ね合いについてはどうだったのでしょう。

五十嵐さん:滞在中、福島県関連の方がLAC内で公務を行っていらっしゃいました。今回私たちはミーティングルームで缶詰だったのですが、リビングスペースを活用するのであれば、ほかの利用者の方々との交流もあり得るのではと感じられました。
 
阿部さん:LACに宿泊されている方はもちろん、磐梯町の関係者の方も普段から気軽にLACを利用なさっています。そのため、「磐梯町を知る」という合宿の目的に適うとてもいい機会になったと思います。

地元に根差した場所として既に機能しているLACが、地元を知るひとつの手段になる。LACで業務を行うということは、町と人とをつなぐ可能性をも秘めているかもしれません。


肌で感じる「名水の町」磐梯町の魅力

日本名水100選指定 磐梯西山麓湧水群「龍ヶ沢湧水」

町への知見を深めるためにLACでの合宿を決めた五十嵐さんたちですが、5日間の滞在を通じて、磐梯町に対する理解はどう変化したのでしょう。

五十嵐さん:これまでも磐梯町にはコロナの状況を鑑みながら何度か訪れてはいたんですが、その際は隣接する会津若松市に宿泊していたので、磐梯町に連泊するのはLACでの合宿が初めてでした。今回の滞在で、町を広く深く知ること、そして町の良さや課題をさらに感じることができました。
磐梯町の良さの第一は、「名水の町」とも呼ばれているほど、お水がとても美味しいこと。またお水が美味しいということは、お酒も美味しいんですね。磐梯町には酒蔵が2つあり、そこで美味しいお酒が造られています。お水を使うということで、お蕎麦も美味しかったです(笑)。
それと、人の魅力です。合宿初日に役場での意見交換の際、2日目に町内を我々で回ろうとしている旨をお伝えしたところ、役場の政策課の方がすべてアレンジしていただいて、しかも感動するくらい親切な内容でした。
磐梯町ではトマトやホウレンソウ、お米など栽培が行われています。農家の方がとても熱心な様子は、現地で直接お話を伺ってわかりましたね。
教育に関しても、町内全体で力を入れているのを感じました。役場の方たちだけでなく、子どもを囲む方々が、英語教育であったり、町内であまり使われていないプールや施設を活用して自主的なスポーツクラブを作ったりしているんです。積極的に考えて行動しているのを目の当たりにして、印象に残っています。こういったことは、行かなければわからなかったことです。


天然資源だけでなく、磐梯町に住む人たちもまた魅力的であること――その長所を知っているからこそ、役場の方々に“人と人とをつなごう”という気持ちがあり、直接的な行動になったのかもしれません。五十嵐さんの「感動するくらい親切な内容」の一言に、その熱意が伝わってきます。


高速大容量通信を体感してもらえたら――今後LAC会津磐梯でやりたいこと

磐梯町の取組みについて紹介する佐藤町長

今回の合宿を介して、当初の目的である町への理解や親睦を深めた、五十嵐さんたち地方創生推進部のメンバー。この経験をふまえて、今後磐梯町で展開していきたい事業や構想について伺いました。

五十嵐さん:磐梯町では、役場に加えてLACも5Gが使えるようにしているんです。そのため、au回線の契約者に限りますが、高速大容量の通信がLACでできるので、5Gをもっと知ってもらうためのイベント等をLACで開催する予定です。LACに来て5Gを使うともっと仕事がやりやすくなる、というのを打ち出せるといいですね。

注目の次世代の通信システムがこの町でどう活かされていくのか。感性が集い、交錯するLACらしい体験イベントの開催に期待が高まります。


磐梯町でテレワークを検討されている企業へのメッセージ

LivingAnywhere Commons会津磐梯

法人会員として合宿の利用を経験した五十嵐さんと阿部さん。LACの利用を考えている企業に向けて、LACという場所、ここで業務を行ううえでのご意見を頂戴しました。

五十嵐さん:冬の磐梯町は降雪もあって寒いというのはありますが、環境的には水も含めてとてもいい所です。町長が「水道をひねって出てくるのは名水なので、シャワーもトイレも温水便座もみんな名水」とおっしゃっていたとおり、自然環境がとても素晴らしいです。
LACも、集中して業務に打ち込める環境と施設ですし、無線LANも十分に備わっているので、合宿や検討会にはもってこいの場所といえます。
ただ、滞在の目的によって、交通手段や食事の手配などに調整が必要になるため、コミュニティマネジャーとの事前打ち合わせをしておくといいかもしれません。

阿部さん:今回合宿で利用させていただき、滞在中急な大雪に見舞われて驚いたこともありました。冬は厳しいかもしれませんが、いい季節だととても過ごしやすい場所だと思います。合宿前の11月上旬に訪問した際には紅葉が本当に綺麗で、トレッキングは非常に気持ちよかったです。そうした環境の中で仕事ができるのは、魅力的ですね。
私たちは合宿という形での利用でしたが、普通にテレワークとして利用している方も多く、リモート環境としても整っているので、個人的には一週間ぐらいこちらで普通の業務ができるのではと思えました。

KDDIでは、2020年4月より社員のほとんどが自宅でのテレワークを遂行し、2021年10月からは、週3日ほど出社ができるように緩和されたそうです。それについて、「久しぶりだからかもしれませんが、やはり出社して顔を合わせながら業務をしたり会議をしたりしたほうが、コミュニケーションの質が高い気がします」と五十嵐さんは語っていました。
コロナ禍によって直接顔を合わせる機会が激減した経験があるからこそ、合宿のように社屋とは異なる環境で行われる社員間の交流は、より質の高いコミュニケーションという付加価値を生むのではと感じられました。

インタビューの終盤では、「個人的には、いい季節にLACへ行って、テラスでグラウンドを眺めながら業務をしたいですね」「テラス席、いいですよね。私はテラスでBBQをしてみたいです。テラスで火をくべて過ごしたのは楽しかった」と、次の滞在を思い描いていらしたお二人。心躍る様子で語る表情が、とても印象的でした。

合宿だけではなく、ワーケーションに近い滞在ができるのも、LACがもつ面白さのひとつ。
目的に合わせて、活用してみませんか?


プロフィール

五十嵐恒彦(いがらし・つねひこ)
福島県相馬郡新地町出身。1997年DDI(現KDDI)に入社。システム開発やプロダクトSE業務を務めたのち、2019年6月より地方創生推進部にて、福島県域(主に会津地域)担当として地方創生業務に従事。磐梯町でのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や會津価値創造フォーラムと連携した地方創生に関わる活動、会津大学と共同で5Gを用いた地域課題解決などに取り組む。

阿部英孝(あべ・ひでたか)
福島県福島市出身。1992年TWJ(現KDDI)に入社 。法人営業や営業企画や営業推進業務を務めたのち、2021年4月より地方創生推進部にて、福島県域(主に会津地域)担当として地方創生業務に従事。



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