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REUSE〜不要な夫買い取ります〜【第一話】DV男


『雨が降り止まないねえ』

とある日の午前8時
日本は梅雨の時期に差し掛かり、連日雨が降っていた

目覚めのコーヒーをすすりながら1人の老婆がそう呟いた

そう、この老婆こそ、ヒト買取店【かんぱく】のオーナーである

開店は9時だが、扉の向こうに20代と思われる女性が立っていた

扉のガラス窓をノックしているのだが、
ノックした後、扉に赤い何かが付着していた



第一話【DV男】



『まだ、開店前だよ』


老婆は女性に投げかける


すると女性は

『助けて下さい!!』

と断末魔の叫びのような声

老婆は開店前ではあったが、
特別に相談カウンターへ案内した

北欧風の落ち着く店内

机にはアロマの香りを焚いている

世の中の悩める女性たちへの配慮なのだろう

老婆『んで、どうしたの。怪我してるみたいだねぇ』

ぶっきらぼうにもとれる声で女性に話しかける

女性『はい』

掠れた声で女性は言う

結婚して2年経つ夫に、半年まえから暴力を振るわれ続けており、ついに耐えられなくなってしまったとのこと

夫はギャンブル依存症で、負債が数百万あり、負けたストレスから妻である女性にあたってしまったみたいだ

ちなみに女性は今妊娠4ヶ月である

女性『子供の命を守るためにも、夫から離れたいと思います。買い取って頂けないでしょうか』


老婆『ギャンブル依存症ねぇ、その男はいい男なのかい?』

女性『見た目は悪くないとは思うのですが、、、』


そう、買取査定をするにあたって容姿は大事なポイントなのである

老婆『男の写真をみせてくれ、あとこれもね』

老婆は買取シートを女性に渡した。

買取シートには、年齢や職業など売りたいヒトについての質問事項が書いてある

女性はシートに回答する

年齢:34歳
職業:大手飲料メーカーの営業
身長:170後半
体重:およそ60キロ代
性格:攻撃的
趣味:ギャンブル

老婆はシートを一通り見た後女性のスマホから商品の画像を見た

老婆『悪いけど、中の下だね。なんでこんな男を好きになったんだい』

女性『最初は優しかったんです。結構離れてますが、歳上で、頼りになりそうだなぁって思って』

老婆『典型的なダメ男だね、しかし、条件がわるすぎるねぇ、ブ男で、34ときた。推せるポイントは職業だけだね、悪いけど10万。ここまでしかだせんね』

女性『大丈夫です。私はこの人から離れれば何でも』

老婆『相当きてるねぇ、んで買取方法は?』

女性『出張買取でお願いします。もう会いたくもないので、おそらく今家で寝てます。』

老婆『わかったよ。町内会の会長のふりして入って仕入れておくね。まいどあり』

女性は10万を受け取り、実家にこれから戻ると告げた。

老婆『さて、仕入れに行きますよ』


老婆は、商品が眠っている女性の元住処に向かった。

元住処は築10年くらいのアパートの203号室

インターホンを鳴らし、商品が出てきた

男『はい』

老婆『町内会の会長しております。タナカと申します。今日からワタシが会長になったのでご挨拶に、、』

男『ご苦労様です、雨の日に大変ですね』

男は一見優しそうで、とても暴力ふるいそうなタイプには見えなかった。暴力男はそういうものなのかもしれない。

男がでて、挨拶を済ませた瞬間に老婆の手下の構成員により男は確保された。

男はお店『かんぱく』の展示棚ではなく、倉庫への保管となった。

仕入れ単価100万以上は展示に並ぶこともあるが、安値の男は倉庫にいくケースが多い。

倉庫は老婆と一部構成員以外立ち入り禁止である。

構成員『今回の男はいくらで売るんですか?』

老婆『そのままだと売れないよ、ましてや暴力男、面倒だしね。』

構成員『じゃあ、どうするんですか?』

老婆は口角を上げながらこう呟いた


老婆『昔、自動車ってあっただろ?あれ、仕入れても売れない車は部品だけを抜き取って販売したりしてたんだってねぇ』


【第一話】DV男 END

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