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仏の中にあの人を探す

京都、三十三間堂。

「ここの仏像の中に必ず自分と同じ顔がある」と、教えてくれたのはあの人。私はあの人の顔を探す。自分の顔はどうでもいい、見つけたらあの人に近づける気がして。
ゆっくり歩きたいのに修学旅行生の歩く速度。みな仏像も見ずに話しながら歩く。何をしにあなたたちは来たの。
修学旅行先が京都なのに、どうしてあの人と同じ班じゃないんだろう。どうしてこんなに離れて歩いているんだろう。同じクラスなのに「班で行動しろ」と、あの人との距離が縮まらない。

已己巳己・已己巳己。

仏像たちの良く似た顔立ち。
已然形の「已」。つながるようでつながらない。
三十三間堂を三分で通り過ぎて、あの人と同じ顔の仏像が見つからない。

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