レジ前

書店員をしている。

仕事は、かなり大部分を陳列とPOPが占める。そう、POP。売れ行きが決まる。

「新聞で」「テレビで」紹介された、というのはいいが「インターネットで人気」はあまりいただけない。

うちは小さな町の本屋だ。うちに来る客は、便利なネット書店でも大型書店でもなく、うちに来るのだ。ネットでは客の心に響かない。

本屋と図書館は「二大便意をもよおす場所」らしい。いいうんこするために来るのかもしれない。そんな客にも買わせねばならぬ。

わずかな稼ぎを帳消しにしてしまうのが万引きだ。万引きは犯罪。
この間は「この本、変です」と見たら文庫本のカバーの下に学校図書の蔵書印のある本が。つまり、カバーを外して、図書室で借りた本にかけて、中身だけすりかえたのだ。そこまでして読みたいものか。ゲーム感覚か?万引きは病気だ。

いけない。

POPだった。そんなわけでうちは、売れ筋の話題の本や少年漫画の新刊を差し置いて選んだのだ、レジ前のエンドにこの本を。「本屋大賞」さえ、普通のベストセラーと変わらなくなってしまったこの時勢だもの、うちでしか出会えない本を推す。吹けば飛ぶような本屋だもの、この方針に賭けている。

しかし何故ペンネームでネタバレするんだ。書きにくい。ええい。

万引きする価値はない!
蔵書で輝くあなたの非日常
「アバラハウス」銀座愁流

>「アバラハウス」は、実はKindle本で、紙の書籍では販売されていません。
https://www.amazon.co.jp/dp/B01KY7Z3GO/

!!!追記!!!
2017/05/30の夕方だいたい17:00ごろから一週間、

【無料セールです!!】この機会にお読み下さい!!!

>こちら、元はマストドン小説です。500文字以内で題名と内容を書きましたが、説明不足になりますね。難しい。
>POPが上手くないのはご愛嬌。
>小説が読みたいというツイート見て、じゃ、その当人をオチに持って行こうと発想したのが元々です。書店員のモデルは知り合いの知り合いなので、取材としては薄いです。単行本すり替え事件は実際にあったことを基にしていたりします。

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