北棟の廊下で
校舎は古い木造で、北棟の廊下は昼間も薄暗かった。
ある日、私が廊下に出ると、少し向こうに女生徒が佇んでいたことがあった。
他のクラスにしても見覚えがない。
しばらく様子を見ていたら、視線に気づいたのかその女生徒がこちらを見、真っ直ぐ私の方へやってきた。
このままだとぶつかる、と、思ったが、何故か足が動かない。
女生徒は私の目の前に近づいて、そのまますぅっと私の体を通り抜けた。
途端に胸がどおん、として、右目から涙が溢れて止まらなくなった。ああ、生きている人じゃなかったんだ、と、悟るや否や、やっと体が動くようになり、振り返るが誰もいない。
片目だけ泣いている私の横を、クラスメイトがいぶかしげに通り過ぎた。
何かいわれのある出来事だったのだろうか、と、図書室で古い卒業アルバムなどを覘いてみたが、それらしい生徒は一人もいなかった。
【完】
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ご購入ありがとうございます!
せっかくご購入いただいたのですが、続きが何もなくてすみません。
この作品は、2007年の「ビーケーワン怪談大賞」と言うコンテストに応募したものです。ブログに公開されていたのですが、ビーケーワンがhontoになった時にブログごと削除されてしまいました。もうブログがないのだから、自分の手元に戻してもいいのかなぁ、と、思い、noteに上げさせていただきました。
以上で、あとがきに代えさせていただきます。ご購入ありがとうございました。
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