いつもの帰り道
「お先に失礼します」とお決まりのあいさつをして会社を出る。いつも「失礼します」と声掛けすることで、相手の手を止めることは本当に失礼だなと感じる。ビルの出口には朝とは違う警備員が立っている。入口に立っていた警備員からは笑顔の「おはようございます」、同じドアでも出口の横に立つと無口になるようだ。
駅まではわずか2分、コンビニを1つ横切ればすぐに改札に着く。そのコンビニを10秒ほど眺めるのが日課だ。仕事が忙しいと季節を感じられないが、コンビニはいつも季節に敏感なので助かる。節分や冷やし中華・栗やイチゴにクリスマスと忘れた季節を思い出させてくれる。ただ今年はおでんがなかった。コロナの影響だろうか。
駅のホームは地下二階、エスカレータはあるが、少しでも運動するために階段で降りる。定時で帰る時の電車はいつも満員だ。ほとんどの人がスマホを触っている。ここ数年変わらぬ風景だが、動画を見る人が多くなったと感じる。
13分の短い旅を終え、早足で改札を抜ける。だいたい18時40分になるのだが、19時になるとスーパーが戦場に変わるので急がないといけない。薄暗い公園を抜け、いつものスーパーに駆け込む。地下に降りて野菜と肉を確認、脳内に今日の食卓が描かれる、献立の完成だ。必要な食材をカゴに投げ込み1階へ駆け上がる。ここで油断すると大行列の最後になってしまうのだ。
レジ袋に商品を入れ、レジの方を見返すと予想通りの大行列ができている。これで10分は自由な生き方ができる。
マンションに着き、部屋が近づくと聴こえてくる怪獣の叫び声。いつもの帰り道のいつもの終着駅。
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