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あなたは普段人を褒めていますか?「褒め」コントロールで人生を劇的に変える方法

はじめに

社会人になるとどうしても不足しがちな「褒め」ですが、人は褒められることにより、仕事のモチベーションや生産性の向上、ストレス緩和、ひらめきが起こりやすくなるなど、様々なポジティブな効果があることが判明しています。「褒め」が相手と最高の信頼関係を築くのに必要なことであると考えています。

人はいくつになっても褒められると嬉しいものですが、普段の生活で十分に「褒め」を感じている人は少ないのではないでしょうか。


であり、褒める機会も褒められる機会も、不足しているということが分かります。


人は褒められると伸びる


これまで人に褒められたことでモチベーションがアップし、成果が上がったという経験をしたことがあるという人は多いのではないでしょうか。


人から期待されたり褒められることによって、その期待に応えようと成果や能力の向上が見られる現象は教育心理学の用語で「ピグマリオン効果」と呼ばれており、子育てや教育分野の他、企業での人材育成の面でも有効であることが認知されつつあります。


ピグマリオン効果は、アメリカの教育心理学者であるロバート・ローゼンタールが提唱した現象であり、以下のような実験により明らかとなりました。


  1. 「今後成績が伸びるかどうかがわかる特別なテスト」という名目で一般的な知能テストを実施

  2. テストの結果に関係なく、無作為に選んだ生徒の名前を、「今後成績が伸びる生徒」として担任教師に通知

  3. 担任は期待を持って指導した結果、対象の生徒の成績が向上した


その後の研究で、上司と部下の間でも同様の効果が得られることがわかっており、普段から仲間を褒め、期待をかけることは従業員のパフォーマンス向上をもたらし、業績アップにも好影響を与えると考えられます。


「人は他人の期待に無意識に応えようとし、パフォーマンスが向上する」というピグマリオン効果は、褒めることが利益をもたらす代表的な例と言えるでしょう。

褒めの科学的効果


褒められることの効果についての研究は心理的側面のみならず、脳科学の側面からも盛んに行われています。


元NHKのアナウンサーであり、医学博士、心療内科の医師を務める吉田たかよし氏によると2)、褒められた人は、脳内の「A10神経」が刺激され、ドーパミンが放出されることで強い快感を感じるとされています。


褒められることでドーパミンが分泌され気分が良くなると、人は自然とその快感を再び得ようとやる気になることから、褒められた際に刺激を受けるA10神経は別名「やる気神経」とも呼ばれています。


褒められることが脳にもたらす影響の大きさについては、2010年、脳卒中リハビリの世界的権威であるブルース・ドブキン氏(UCLA神経リハビリテーション科)が中心となって行った研究3)によっても明らかになっています。


本研究では、脳卒中の患者179人による歩行リハビリ効果の調査を行ったところ、リハビリをする際に「褒められた」患者は「褒められなかった」患者よりも歩くスピードが大幅に速くなることがわかったのです。



褒め言葉をかけられたことによるリハビリの改善効果はおよそ1.8倍にもおよび、最新のリハビリ器具や医薬品でも、これほどの効果を上げることは容易ではないとドプキン氏は語っています。


近年の研究から、ドーパミンは脳の構造の変化に影響を与えていることがわかってきており、今回の研究結果の背景にあるメカニズムの一つとして、褒められたことにより脳内で分泌されたドーパミンが歩くときに必要な神経回路を強化し、歩行能力の改善に寄与したのではないかと推測されています。


脳内の神経伝達物質のひとつであるセロトニン研究の第一人者とされる東邦大学医学部名誉教授の有田秀穂氏によると4)、人を褒めることにより脳内でオキシトシンというストレスの減少や血圧低下、相手に対して親近感を抱かせる効果を持つ神経伝達物質が分泌されるとされています。


人を褒めることは自身の気持ちを落ち着かせることにも繋がっており、褒めること・褒められることには底知れない効果があることが分かります。

デジタルで褒められることの効果


このように科学的な側面からも「褒め」には様々な効果があることが分かってきている一方で、冒頭でも紹介したように、実際に褒めたり褒めてもらえる機会はあまり多くないのが現状です。

このような背景もあり、最近ではWeb上やロボットなどデジタルで褒め言葉をかけてもらえるサービスに注目が集まっていることはご存知でしょうか。

デジタルから褒められることの効果について科学的に検証した筑波大学や国際電気通信基礎技術研究所 (ATR) などの研究グループが行った研究によれば5)、96人の参加者にデジタルによる褒めがある場合とない場合で簡単なタイピング作業を行ってもらったところ、ロボットやCGキャラクターなどのデジタルからの褒めがあったグループは何も褒めがなかったグループよりも作業成績が有意に向上したことがわかりました。

褒められるという体験は、その対象が人かロボットやCGアバターといったデジタルかに関わらず、その体験自体に効果があるということが分かっているのです。

「褒め」の機会が不足しがちな日々の中、時にはデジタルサービスの力も借りながら、褒めること・褒められることの持つ価値に今まで以上に意識を向けてみてはいかがでしょうか。

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