書評「キッチン」よしもとばなな

何回読むんだこの本を。

よしもとばななさんの『キッチン』
改めて書評を書いてみる。

なぜ私がこの小説をこれほどまでに大事にしているのか。
結論は『優しさ』であろう。

あらすじは、突然、家族を失ってしまった主人公は、不思議な縁で家族に引き取られる。家族を失いぽっかり穴は空いてしまったが、それを無理に埋めようとはせず、心を温めて、再生させていくお話。

私の好きな台詞・文章が2つある。
「奇跡がぼたもちのように訪ねてきたその午後を、私はよく覚えている」
「情緒もめちゃくちゃだし、人間関係に妙にクールでね、色々とちゃんとしてないけど...やさしい子に育てたくてね、そこだけは必死に育てたの。あの子は、やさしい子なのよ」

この台詞を読むたびに、少し嬉しくなるし、温かい気持ちになる。
予想しないタイミングでの奇跡や、他人からのやさしさは、少しだけ前向きにさせてくれる。

そういうの、いいじゃん、無理に肩に力入れる必要ないしね。「そうだね、いいね」って思っておきたいしね。

そういう『優しさ』が私はすごく好き。


話の内容はと言うと、正直面白いとは思わない。話に大きな節目や段落があるわけでは無いしね。
でも、夕日を見て綺麗だと思えたり、新緑や木々の成長を見て心惹かれるような、そういう感覚を持ってたり、そういう感性が好きな人は、きっと合うと思う。

10分くらいで読めるし、サクッと読書にも是非。

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