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2. クロスハッチ用の筆を作る 後編

髪の毛を準備する

西部アーネム・ランドではクロスハッチ用の筆の素材として髪の毛ではなく植物の茎を使いますが、日本のどの植物がフィットするのか分からないのと年間通じて手に入るか不明です。

北東アーネム・ランドでは人の毛を使って筆が作られます。100均で「ヘアエクステ ストレート」という商品を買って代用しても大丈夫ですが、素材はPETで1本づつがかなり細くコシがないので可能であれば本物の毛がおすすめです。今回はどなたでも作りやすいように「ヘアエクステ」でクロスハッチ用の筆を作ります。必要な長さは20cmほどです。

描きたいラインの太さに合わせて髪の毛の束を作ります。指先で毛束を持った状態で髪の毛を水で濡らして、ラインを引いてみればその毛束で引ける線の太さがわかります。修理したい楽器のクロスハッチのラインの太さに合わせる必要があります。希望のラインよりやや太くなるような量の髪の毛の束を作ってください(あとでカットして修理したい楽器のラインに近づけれます)。


筆を仕上げる

二つに割った鉛筆の芯が入っていた場所に、水に濡らしてキュっとまとまった髪の毛の束を寝かし入れます。この時できるだけ筆として使いたい先端部分に余裕をもって入れるようにしてください。最終的に筆の長さは4-5cm程度に短くします。

長めにカットして鉛筆の左右に余裕を持たせます。実際に使う細さよりもかなり多めにしておくのがおすすめですが、鉛筆の芯以下の太さにする必要があります。

その上に木工用ボンドをのせていきます。必要な木工用ボンドの量は鉛筆の芯の太さくらいです。割った鉛筆同士をギュっとくっつけて、出てきた余分なボンドを水にぬらしたティッシュでふきとります。最後に乾燥したティッシュでふいてしばらく乾燥させます。

しっかりと圧着させたい場合は洗濯バサミタイプのクランプで押さえて乾燥させるといいかもしれません

乾燥すればカッターでお尻の部分の余分な髪の毛を切り取ります。柄の先端部分はこの状態ではまだフワフワしていて接合が甘いので、ここをピタっとくっつける必要があります。糸を巻いてもいいですが、ここでは簡単に短時間で先端を作ることができる瞬間接着剤を使います。

[瞬間接着剤で先端を固めた状態]実際のペイントの際にはディジュリドゥに対して90度に近い状態に筆を立てて線を引いていくので、絵具で濡れてふやけやすい先端部分は硬くしておく方がベターですので、この行程ははずかずにやってみてください。

先端部の裂け目に瞬間接着剤をまんべんなく入れます。両サイドからピンセットなどでギュっと押して密着させます。薄い先端の木と髪の毛を一緒に固めるイメージです。先端部分の余分な髪の毛をカットします。筆の長さは4-5cm程度が良いのではないかと感じますが、まずは長めにして試しに塗ってみてから調整してもいいかもしれません。

クロスハッチ用の筆作りで一番重要なのは、レタッチ部分のクロスハッチの太さと同じ太さに揃えることです。アクリル絵の具でラインを引いて太い場合は数本づつ髪の毛を切って調整してください。

今回は六角形の鉛筆の角を落として先端にむけてテーパーをつけるように削って、丸みのある持ち手に仕上げてみました。この絵筆は毛足が長い分繊細なので、歯ブラシケースなどの容器に入れて保管すると毛羽立ちのない状態で長く使えるでしょう。

太さを調整してS、M、Lの3種類の太さの筆を作りました。DhalwanguやGumatjクランの神聖なダイアモンド・パターンなど狭く小さい部分をクロスハッチするには筆の長さが短くないとできません。レタッチ部分のアートに合わせてサイズや長さを工夫してみてください。

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