エストニアのタルトゥ、カフェの話
エストニアの首都タリンに次ぐ第二の都市はタルトゥだ。
この街は我がエストニア人パートナーのふるさとということもあり、親しい友人や、親戚も住んでいる。バルト三国に渡航する場合はこの街が拠点になる。ここに義母の家を間借りして、荷物を置かせてもらい、小さな荷物を持ってエストニア中、いやバルト三国をうろうろするのである。
遠いアジアの国日本から来たと思えば、毎日毎日どこかにすっ飛んで歩いている日本人の義理娘は疑問だろう。
タルトゥのパートナーの実家には、孫が義母の家に来たりすることが多い。2歳ということもあり人見知りで、あまり見かけないアジア人がいると家に入って来ず、おばあさんと押し問答を1時間ほど続ける。
初めのうちはそれを相手にしているが、こちらも仕事もあるので、何時ごろから来るかわかると、その時間までに身支度をして近くのカフェを開拓することが日課になっていた。
タルトゥはエストニアで最もレベルが高いと言われている、タルトゥ大学の本拠地なので、学生も多くカフェも人口の割には多めにある。
今回は日本の仕事もしながら、現地の仕事も少しずつ消化していたが、その時には数時間と作業が必要になるので集中する環境が必要だった。
Wi-Fiは当たり前のようにカフェにあり、パスワードすら必要ないところがほとんどだ。さすがIT立国。
私のような人もたくさんいるのかいないのか、コーヒーを何杯か飲みながら数時間仕事や作業をしている人がかなりいたので、居心地が悪くなることもなく、何時間いても嫌な顔をするスタッフもいない。
その中でもチェーン店のCAFFEINEはバルト三国ではスターバックスのようにサービスが一定で、電源もほとんどの席にあるので安心して入ることができるなくてはならない存在だ。各都市にあるので、訪れたらきっと目にするに違いない。エストニアも例に漏れず物価が著しく上昇している昨今だが、3ユーロしないドリンクメニューはありがたいのだ。
スタッフの方々も親切な接客で、とても優しく振る舞ってくれるのもポイントが高い。観光で来た場合は、おそらくWi-Fiが欲しいところ。欲しいものが確実にあるので、ぜひ困ったら行ってほしい。
私はコーヒーがそれほど好きな人間ではないが、コーヒーの味や雰囲気、そこにいる人たちの佇まいにこだわるという人にはタルトゥにあるKARLOVA KOHVがおすすめだ。タルトゥの街の中心から歩いて20分ほど離れているが、住宅街にある昔ながらの建物にはたくさんの人がコンスタントに出入りしている場所だ。ここにもパソコンを叩いている人も何人かいて、サードプレイスとして機能しているように思えた。
カフェのオーナーはラウラさん。センスの良い内装と美味しくナチュラルな食べ物が並ぶ。その中でもコーヒーの味は国内でも定評がある。
厳選した豆を自ら焙煎し、エストニア国内外に販売、輸出している。実はラウラさんは我が家のエストニア人の大学の友人だ。昨年の春にカフェのスタッフと3人で東京の我が家に泊まった。日本の京都、箱根など各地を巡り最後に東京にたどり着いたのだった。Blue Bottle Coffeeでコーヒーを飲んだ時に、「どのコーヒーが美味しいと思った?」と聞くと、
「私は順番をつけないの、どのコーヒーもリスペクトしているわ」
そんな返しに「おみそれしましたぁ!」となったものです。
コーヒーの他にも、お粥がおすすめだ。伝統的なお粥から一歩外に出た、絶妙なバランスの味がする我々にとっては新しいお粥だ。毎朝このお粥を食べて仕事に行けるならどれほど素晴らしいことだろうか。お粥は日替わりで正午までは甘いお粥、それ以降はしょっぱい味のお粥が提供される。エストニア人はお粥をよく食べる。
お粥といっても病人食だと勘違いしてしまうのが我々日本人の性だが、彩りあるお粥を見て口にしたら、あなたはもうお粥は普段から食べたくなるに違いない。
実は私の訪問時に、4月に大阪で開店するエストニアカフェのRUJA+285BLUEのオーナーさんご夫妻がいらしていた。理由はこのカフェの豆を気に入ってくれ、カフェで販売とコーヒーの提供をするために、オーナーのラウラさんから教えてもらうためだった。
大阪でもラウラさんこだわりのコーヒーが味わえるのは非常に嬉しいこと。
日本の空気と水、ラウラさんがエストニアで焙煎したオーガニックのコーヒー豆が今度はどんな味を紡ぎ出してくれるのか、楽しみで仕方がない。
https://www.instagram.com/karlovakohv/
当方もRUJA+285BLUEさんのカフェでメニュー監修として携わっています。エストニアのリアルな「おいしい」を紹介できればと思います。
有益な情報、ためになったなーと思われた方はぜひどうぞ。いただいたサポートは次作の書籍の取材費として使わせていただきます。