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リトアニアのこと

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リトアニアの旅に関して書かれています。 バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の中でも特にリトアニアについて気になっている方はこちらのマガジンをどうぞ。
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#わたしの旅行記

リトアニアでハチミツケーキを教えてもらったら大変なことになった話(後編)

この話は前編がありますのでこちらをどうぞ。 カウナスから北部の街へ バスは一路パネヴェジーズを目指し、舗装のないガタガタ道を時に走りながら予定通りの時刻に進んでいく。「崩れませんように」と祈りながらまるで我が子のように座席に鎮座させ、時に混んでくると隣に人が座るため、ケーキの箱を膝の上に乗せた。 箱を膝の上に乗せると若干ケーキは傾き、私の脚の体温が伝わってケーキが悪くなってしまうのではないかと、箱を膝から出来るだけ浮かせながらなんとか2時間半をやりきった。いや、やりきった

リトアニアでハチミツケーキを教えてもらったら大変なことになった話(前編)

「どの話から書けば良いか」というほど2023年夏のバルト三国にもさまざまな記憶が残った。今回はリトアニアのハチミツケーキから巻き起こった話を書くことにしよう。 バルト三国のハチミツケーキ ラトビアに行くと、カフェには大体ショーケースの向こう側にハチミツケーキが並んでいることが多い。 ラトビアではMedus Kūka(メドゥスクーカ)という名前で呼ばれている。ただ、ラトビアだけかというとそうでもなく、エストニアではMesi kook(メシコーク)、リトアニアではMeduti

どこの国にでも「ダメなやつら」はいる

8月末にエストニアを発ち、数日ヘルシンキの友人宅でお世話になり、9月の初めにフィンランドから東京へと戻った。2023年の夏は8月の1ヶ月間をバルト三国とフィンランドで過ごしたことになる。 いつも仕事とはいえ、夏に北欧、バルト三国に行けることは役得だと捉える方が幸せだ。 さて、本やブログ、その他の場所でバルト三国について書くときには良い記憶、楽しかった出来事を多く紹介したいと思っている。だって、本当に良い場所に素晴らしい人々がいるから。だが、実際そればかりでもないということを

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・1

実はこの記事は今年2023年の夏の旅が終わった時点で、一番書きたいと思っていた内容だったのだ。だが、なぜか12月になるまで私は書けなかった、いや書いていなかったのか。理由は2つある。 あまりにも多くのことがありすぎたから自分の頭の中で十分に理解した後に整理できてから書きたかった。もうひとつは、若かりし頃のラブレターを書くに似た行為のように、どのように自身の感情を片思いの彼(彼女)に伝えるべきかを考えあぐねている間に時間が過ぎてしまっていた。実際にラブレターを書いたことはないけ

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・2

1の前回からの続きになります。最初からご覧になりたい方は↓からとうぞ。 ビルシュトナスがどれくらいの街の規模なのかもわからず、車に乗せられると、ゆっくりと車窓は街の中心地から外れて郊外へと向かう幹線道路に出た。その道もそれほどの車の量でもないが、少しだけ街の中心よりは飛ばしている車が多いと感じる。バルト三国でよく見る真っ平らな土地に広がる緑をしばらく眺めていると、舗装もあまりされていない砂利道に入って進んだ。車が最徐行をした先は道がない。そこがこの夫妻の工房なのだ。 真新

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・3

さて、前回前々回と、庭で採れたベリーばかりをもらった。 両手に山盛り3カップの山盛りベリーを手に、どうするか困っていた私に次の任務が課せられた。 「Vytautas Mineral SPAにチェックイン」 アコーディオン工房を案内してくれたアウリマスさんアウシュタさん夫妻がルータさんが、手配してくれた街の中心部に近いホテルまで送ってくれた。車のドアのボトルホルダーに固定していた山盛りベリー3つを忘れたふりをしてみようと思ったが、すかさず忘れないように渡してくれた。Vyt

リトアニアのビルシュトナスに行ったワケ・4

「長いよなぁ、もっとまとめてくれない?」そう思われても仕方あるまい。 「しかし、こっちにも言論の自由がある」と妄想の反論をしてみよう。さて、これまで1から3まで書いてきたがまだビルシュトナスの1日は終わっていない。なんならまだこの日の経験としては半分くらいだ。 「どんなんだっけ?」「そもそも読んでない」と言う方のために↓の1から3までをどうぞ。 3の最後に、読者をヤキモキさせていたのだ。 このスパに来た目的と言っても過言ではない「琥珀スパ(Amber SPA)」だ。