【連載】格ゲー択理論 #00 「目次」
この連載では、格闘ゲームの「択」について、理論的にきちんと扱っていきたいと思います。数式メインではなく、スト6の具体例をもとに、なるべく感覚的に書くつもりです。
今回の#00は、連載全体で何を書くか、について。要は目次です。
※更新日:2023/10/14
この#00は、随時更新していきます。
格ゲーの運要素「択」
「択」とは何か?
ストリートファイター6で格ゲーがかつてない激烈な盛り上がりを見せる昨今、皆様も寝る間も惜しんでスト6に明け暮れていることと思います。
さて。
格闘ゲームの勝敗には様々な要素が関わってきます。
キャラの理解、システムの理解、コマンドの精度、反射神経、状況(体力・ゲージ)に応じた戦略・・・
そして「択」です。
格ゲーには、人間の反射神経では対応しきれない二択、三択、n択・・・要は「じゃんけん」の瞬間があります。
格ゲー用語で、これを「択(たく)」と呼びます。
例えば『起き攻め』や『2フレ有利後の攻め』などですね。
「択」は好きですか?
皆さんは択は好きですか?
例えば、こちらが起き攻めを仕掛ける方で、相手のグラップ狙いを読んでシミーがぶっ刺さった瞬間は気持ちイイですよね。
逆に、体力で大幅リードしてたのに、画面端で投げられ、そこから柔道が始まり、6連発で投げられて負けた暁には、コントローラーに禊を叩き込みたくなりますよね。
真剣勝負してるのに、運で負けた。逆に、運で勝っても嬉しくない。
「択は読み合いとか言うけど、結局運じゃねえか。」
これが択嫌いの理由第一位でしょう。
「択」ありきの格ゲーで勝つには?
前述のとおり、択には運が関わります。
そして、格ゲーをやる以上、択からは逃れられません。むしろ、「択の連続」こそが格ゲーの本質と言えるでしょう。
では、格ゲーは運ゲーなのでしょうか?
答えはNo!!格ゲーは完全な運ゲーではありません。
択ありきの格ゲーで、運に頼らず勝率を上げる方法があります。
それには、以下3つのことが必要です。
択の中身を理解する
読み合いのセオリーを理解する
有利な択のみを仕掛ける(不利な択には付き合わない)
この連載では、これらを説明したいと思います。
本連載の内容
方針
・数学的にはしっかりやります。
・数式も少し書きますが、「スト6」の具体例をメインに記載します。
・ゲーム理論にはそんなに深くは踏み込みません。
・不定期連載です。HUNTER × HUNTERよりは更新頻度高いかな・・・
効果
この連載は下記のような人に刺さります。
そして、読むことで下記のような知識を得ます。
「さて、起き攻めだ。こちらは打撃重ね、投げ重ね、シミーがある。相手はガード、(遅らせ)グラップ、バックステッポ、無敵技暴れがあって・・・ええと・・・この択、どんな構造になっているんだ?」
⇒択の構造のまとめ方
「こいつ、起き攻めすると2回に1回は無敵技ぱなしてくるぜ・・・。ってことは俺は様子見をする回数を増やせばいいんだよな・・・うん。・・・で、どのくらい増やせばいいんだ?」
⇒相手の戦略がわかっている時に、最もリターンが高い『最適反応』の算出方法
「ヒャッハー!こいつとは初めての対戦だぜ~!どんな戦略してくるのかまったく分からねえぜ~!・・・で、こういう未知の相手に起き攻めする時、各選択肢をどの割合で出すのが一番お得なんだ?」
⇒相手の戦略がわからない時に、最も無難な『最適戦略』の算出方法
「もう嫌だ・・・択なんて結局、運だろ!!運ゲーなんてクソ喰らえだ!!択から運要素を排除してくれ!!」
⇒相手がどんな戦略をしてこようが結果は同じになるという、運に依存しない氷の戦略『最適戦略』の算出方法(実は上と同じ)
「起き攻めは有利な択だからな。ガンガン仕掛けるぜ!・・・と思ったらODアムネジアで返された!相手にゲージあったら起き攻めしちゃダメなの!?・・・っていうか『有利な択』って何?」
⇒択の強さの数値化方法(実は上と同じ)
構成
この連載は、下記の構成を考えています。
※随時、更新していきます。
第一章 : 「択」の期待値の計算方法
第二章 : 相手の戦略がわかっている場合の『最適反応』
第三章 : 相手の戦略がわからない場合の『最適戦略』
第四章 : 強い「択」とは?
最後に
この連載を理解いただければ、「勝率を上げる」ことはできると思います。
しかし、「毎試合、必ず勝つ」ことはできません。
1試合1試合の単位では必ず運の要素が効いてきて、残念ながらこれを完全に排除することはできません。
この連載を読むことで得られる最大の利益は、無敵技ぱなしを喰らって負けても、柔道で負けても、「まあ、長い格ゲー人生においては、そんなこともあるよね」と思える心の安らぎです。
おまけ
ウメハラさんのじゃんけん理論
この連載では択について扱います。
まあ、似たような記事は他にも沢山あり、それとあんまり変わらないと思いますね。
ところで。
プロも択についての様々な考え方を持っています。
下記のYoutube切り抜きでは、プロ格闘ゲーマーのウメハラさんが中学生のころから実践しているじゃんけん理論ついて聞けます。
https://www.youtube.com/watch?v=RFQHCO3ID4o
意訳になりますが、下記のようなことを仰っています。
「格ゲーで勝つには、強いじゃんけん(択)を相手に押し付け続けること。逆に、弱いじゃんけんには付き合わないこと。」
これは、そうだな、と思いますね。
「弱いじゃんけんとは、じゃんけんの中身を相手が理解していて、そのじゃんけんをずっと繰り返していると、自分が損をするもの。」
おお。これはどうでしょうか。
これが具体的にどのような択か、思い浮かべることが出来るでしょうか?
そして、果たして、この連載で言う「最適戦略」の考え方と一致しているのでしょうか。
【補足】この連載における言葉の定義
「択」
まず、『択(たく)』です。
『択』とは「択一攻撃」のことです。
択一攻撃を略して『択』と呼んでいます。
「択」の定義ではっきりさせておきたいことは2つあります。
①「択」と「選択肢」の違い
この連載では、『択』とは「じゃんけんそのもの」を指します。
「起き攻め」とか「4フレ有利後の攻め」は『択』です。
一方、「中段重ね」とか「シミー」などの択の選択肢は『選択肢』と呼びます。
重要なのは、この連載では『択』と『選択肢』は明確に区別します、ということです。
なんでこんな事を言うかというと、格ゲー界で「択」と言った場合、択一攻撃のことを言う場合と、選択肢のことを言う場合の両方があるからです。
具体的には、「中段と下段の2択」のことを、格ゲー業界では「上下択」ということがあります。一方、攻める側が中段を選ぶことを「中段択」、下段を選ぶことを「下段択」と呼ぶことがあります。
この使い方では、『択』が「じゃんけんそのもの」を意味しているのか、「じゃんけんの選択肢」を意味しているのか曖昧ですね。
なので、この連載では選択肢については「下段択」とは表記せず、「下段の選択肢」として、明確に区別して書きます。
②反射神経では対応できないもの
の連載で『択』とは、「人間の反射神経では対応できないじゃんけん」とします。
要は、「互いに相手の選択肢がわからない状態で、自分の選択肢を選び合う状況」を『択』とします。
後だし不可のじゃんけんです。
具体的には、「飛び」は『択』ではありません。
「飛び」を仕掛けた際に、「ガードされる」、「対空で落とされる」、「喰らう」などに分岐しますが、これは相手の意識や反射神経によります。
ビギナーには飛びが通りやすいでしょう。
一方、プロには高確率で落とされます(どぐらさんに対しては別かも知れませんが・・・)。
このように、相手の熟練度に応じて可能性が変わるものは、この連載では『択』とは呼ばないこととします。
なので、この連載を理解いただいても、飛びが通りやすくなったりはしません。それは別のテクニックです。
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