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実験都市

こんにちは。

現在私は東京都の23区内に住まい、生活をしています。
出身は山梨ですが、もう18年ほど東京にいるためそろそろ地元よりも長い時間を東京で過ごすこととなります。
東京で生活はしていますが、何度か引越しもしてその度にどこに住むべきか悩んでいます。
仕事柄さまざまな街に行くことはありますが、それでもまだまだ行ったことがない街も多く、新しく行く機会があるたびに、どんな街なのかを探るようにしています。

皆様もご存知の通り、東京は日本最大の経済都市です。
大規模なオフィス街や商業エリアがありながら、多くの居住エリアも混在しています。
戦後の焼け野原を経て復興を遂げた東京ですが、戦後間も無くは住宅供給が切迫した課題であったため、高密度でかつ効率良く供給出来る住まいが必要でした。
また、生活様式も日本式から欧米の先進的な生活様式へと変換することが求められ、多くの実験住宅を建築家が実施しました。
合わせて、まっさらとなった東京は新たな都市計画には格好の実験場となりました。
復興後の高度経済成長となった頃には、東京には多くの人が集中して、さらに住宅供給は大きな課題となります。
その頃から郊外に大規模なマンション群を建設する計画が実施されます。
いわゆるニュータウンと呼ばれるエリアがそれに該当します。
都内近郊にはそのように呼ばれるエリアがいくつかありますよね。
さらに急速に進む都市化を遂げた東京に対して、居住区には豊かな自然もあるべきだというコンセプトも出てきます。
田園都市と呼ばれる、イギリスで提唱された理念を参考にこちらも都内近郊に実施されたエリアがあります。
田園調布や神奈川の青葉区や町田あたりはそのようなコンセプトのもと開発が進みました。
現代においては、居住区を明確に区分けするのではなく、オフィス・商業・住宅がバランスよく混在することで、街の活気や経済活動が活発になることを目指した開発が主流となっており、豊洲などが良い例だと思います。
このように、東京に限りませんが都市部では時代ごとに住宅地に対する開発コンセプトが異なる試みがされた経緯があることから実験都市と呼ばれることがあります。

日本は長い歴史がある国ということは言うまでもありませんが、歴史を振り返れば何度も都市を作り変えてきたことに気が付きます。
それは戦争による破壊だけではなく、自然災害によって開発を余儀なくされる立地条件から、都市を何度も開発することとなったのでしょう。
長きに渡り積み重ねてきた都市計画の痕跡は、今でも多く残っておりますが、戦後以降の都市計画を見ていくと、急速に衰退していく住宅地が目立つことに気が付きます。
都心に1時間くらいかけて通うのがニュータウンに住む方々の当たり前でしたが、今では徐々に住む場所を都心に近づけるのが主流となりました。
しかし、一方でコロナが流行してからは在宅ワークが積極的に取り入れられたこともあり、都心近くに住む必要性がなくなった方々も多くいると思います。
時代と共に住むのに適した場所として推奨される内容は異なり、その都度開発がされています。
おそらくですが、今開発されている人気のエリアも20年後には需要が減り、その時の生活とはそぐわなくなる場所も出てくるでしょう。

住む場所を選ぶ基準は人それぞれ異なりますが、私個人の意見としては、あまり人気や流行には影響されない方が長く住むのに良いのではないかと思います。
また、その土地がどのような経緯で成立したかを知ることで、その土地特有の良さや悪さが必ずあるはずです。
それらを理解して、自身の生活や価値観とマッチしているかを見極めることが大切だと考えます。
さらに、どんなに考慮しても時代は大きく変化していくものです。
持ち家に反対というわけではありませんが、流動性が高い生活様式は都心部に住むには有利に働くと考えます。
極端な場合ホテルに住むという方々もいますが、身の回りをどれだけ負担なく移動できるかを考慮することが今後の生活としては良いと判断なのではないかと思います。

新たな開発や、新たな住まい方は多くの企業によって魅力的に演出されますが、実験台として参加するのではなく、どのように生活拠点を利用できるかをご自身の感覚をもとに熟考して頂くことがより良い住まい方に繋がると思います。

では、また。

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