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生活の建築知識.20

おはようございます。

今回は階段について説明をしていきます。
説明といっても具体性があまりないことをあらかじめお伝えしておきご了承頂ければと思います。

皆さんも日頃から様々な場所で階段を利用することがあると思います。
家や学校、職場や駅などどこにでも階段はありふれており、特別意識をすることもないでしょう。
私自身も普段は特に意識していませんが、建築を造る立場からすると階段は見せ場のひとつとして捉えられています。
私と同じ業態に属していれば多くの賛同を得られると思っているのですが、設計・施工・職人が非常に力を入れて造り上げるのが階段です。
なぜそのように力が入るのかの説明と、なぜあまり意識されることがないのかを考えてみます。

力が入るのはいくつか理由があります。
まず第一に、単純に造るのが難しいということです。
例えば木造の階段であれば、大工は階段が造れて一人前と言われることもあるほど肝心な仕事です。
また、鉄骨であっても取り付ける精度は非常にシビアなものとなることが多く、RCであれば階段状に整形するだけでも大変な苦労です。

上記は施工面からでしたが、設計にとっても階段は力の入れどころとなります。
それはそもそも快適性を求める場所ではないからです。
上下への移動が出来ればそれ以上のことは必要ないはずですが、だからこそどれほど魅力のある階段にするかは腕が試される場所として扱われることがあります。

学生の頃の話ですが、講義で教授が階段について説明していたことを覚えています。
[階段の位置を決める時は、床を落とすイメージ]
つまり極端に言えば、2階を歩いていたらいつの間にか1階にいた、が理想的だということだと思います。
そのくらい自然に上下への移動が出来ることが望ましいとされ計画されています。
住宅ですと、階段は邪魔だからと端っこに追いやられたり、リビングを経由するパッケージとなっていたりしますが、教授から言わせると床を落とせてなければ邪道かもしれません。

自然な動線、自然なプランニングが仮に出来るとそれは成功しているわけですが、設計者はある種存在感の消えた階段に存在感を与えようとします。
よくある例としては手摺です。
概ね手摺に異様なこだわりを感じる場合、そこの階段はかなり設計に注力されたものとなっています。
どこかの機会に詳細な階段のまとめをやりたいと思います。
過去の巨匠と言われた建築家たちも階段にかなりの力を注いでいたことを紹介します。

皆さんも普段使う階段で手摺りに妙なフィット感があったら少しだけ階段に目をやってみてください。
色んな人の気合いが隠れているかもしれません。

では、また。

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