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コミュナリズム:解放的代案(1)

原文:https://www.communalismpamphlet.net
原文掲載日:2020年4月28日(the anarchist library による)
著者:マーカス゠アマルギとステファニー゠アマルギ

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訳者註:

長いため、一セクション毎に(可能ならば毎日)掲載し、最終的に、一つにまとめられればと思っています。マガジン機能でできるのでしょうか?完訳後にチャレンジしてみます。原文では、参考文献や資料が文章の最後にまとめてありますが、分割掲載する都合上、それぞれのセクションで示されているものは、それぞれのセクションの最後に示します。

個人的に、マレイ゠ブクチンは私が最も影響を受けた思想家の一人です。この文章がネットにあったとは、最近まで全く知りませんでした。彼の思想を現代の事例も踏まえながら端的に示し、コピーレフトで掲載してくれるなんて、著者に感謝してもしきれません。
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現存するものは必ず存在するはずだという信念は、あらゆる先見的思考を腐食する酸である。
--マレイ゠ブクチン

イントロダクション

コミュナリズムは、生態調和の方針に従って社会を再構築しようとする包括的理論・実践を示す総合的な言葉である。コミュナリズムは全ての環境問題は、社会問題に根源を持つという根本的前提に基づく。世界規模の気候変動だけでなく、広範囲に及ぶ公害・森林破壊・種の絶滅といった諸問題は全て、人為的な原因による。こうした諸問題を全体として吟味すれば、人間社会が世界規模で環境を単純化していると分かる。実際、これが、さらに単純化された無機的世界を構築して、進化の成果を台無しにしているのだ。(原註1)

コミュナリズムは、一連の客観的社会倫理を持っている。それは、選択の増加・動的な安定性・多様性といった進化の最も発展的な傾向を反映している。こうした生態系の傾向を背景に、コミュナリズムは、不公正・支配・ヒエラルキーに対抗して行動する。これらはどれも「自然」でもなけれは、回避できない社会的特徴でもない。

こうした考えは、歴史的枠組みの中でも有効である。この枠組みの認識からすれば、社会は必ずしも私達が現在生きている不合理を維持してきたわけではない。コミュナリズムの主張では、自由の理念は歴史を通じてヒエラルキーと支配の発展に対立して拡大してきた。こうした解放的活動を踏まえ、いかなる形のヒエラルキーもない生態調和社会という再構築ヴィジョンを提示するのである。

このパンフレットでは、主として、この再構築ヴィジョンに焦点を当てて論じる。同時に、私達が現在いるところから私達が成し遂げたいと思う社会への橋渡しを可能にする、教育的・政治的プロセスに携わるための実践的道筋を探求する。コミュナリズムの哲学的・人類学的土台についてもっと学びたいと思っている読者は、以下の「資料」セクションを参照していただきたい。

原註1.ここで論じる思想は、総じて、マレイ゠ブクチンの著作に基づいている。コミュナリズムの入門書としては、以下を参照していただきたい:
・ Bookchin, Murray, Social Ecology and Communalism (Oakland, CA and Edinburgh: AK Press, 2007)

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