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おじさんの副業は厳しい!「副業おじさん」

「副業おじさん・傷だらけの俺たちに明日はあるか?」若月澪子著・朝日新聞出版2023年12月発行

著者は1975年生まれのフリージャーナリスト。NHKのデレクターを経て、育児の傍らウエブライターとなり、キグワーカーを続けている。

本書は中高年のおじさんが副業を始める理由、その現場での実態をリアルに描く。さらに労働の本質とは何か?までを問う。過酷な現場で戦う相手は副業自体でなく、下り坂にある自分自身かもしれない。

コロナ以後の在宅ワークは副業を促進する。リーマンショック以降、ホワイトカラー労働者の賃金は年功序列から成果主義に移行した。

日本経済の長期低迷と年齢給の上昇ストップから、彼らの住宅ローン、子供の教育費が増大し、副業の必要性は増加した。副業の理由は収入の補充目的がほとんどである。

中高年の副業は倉庫作業など肉体労働が中心。時間給は平均して1,000円前後、短時間なら6,000円、週2,3回労働で月収7~8万円あたり、多くて10万円までだろう。

本書は、チラシのポスティング、食品工場のライン作業など各種多様、ウーバーイーツ配達、アマゾン配送など若者との競争業種もある。ラブホテル清掃、デルヘル送迎運転手など夜の仕事もある。

副業を継続できる人は変化に対応でき、生き残れる人である。過去にしがみつかない、上を目指さない、成功を求めない一種の変わり者が変化できる人。鈍感であることが必要なのだ。

過酷な副業の現場でも生き残る人は、仕事を単にお金がすべてと考えない。やりがい、生きがい、社会貢献など、喜びが仕事をやりぬく最大のエンジンとなる。

人口、産業が都市に集中する日本の労働環境の課題もある。副業でも都市一極集中と地方衰退が大きい。キグワーカーは都市に集中する。地方のエンセンシャルワーカー不足、担い手の賃金の低さが今後の労働問題の中心になるだろう。

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