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抽象画には実は設計図があるというお話(スケッチ篇)

【 簡単なレクチャー 】抽象画を描き始める際に大切なのは、整理された完成予想図です。抽象画は適当に描き綴っているわけではなく、しっかりとした予想展開図のような構想が頭のどこかに存在しているものです。

「真っ白なキャンバスや画用紙に、好きな箇所に好きな色で描き始めるんでしょうか?」と幾度となく講師をしていた時代に質問されました。
対象者が初歩を知りたい場合は「そうですよ。どんなカタチでも色でも構いません」と返答していますが、わたし自身が描くときは違います。

以下に描きはじめの順序をご紹介します。

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①目標としている完成系を多少意識しながらチャコール片手に描き始めます。この時点では上下左右はそこまで気にしなくても大丈夫です

②利き手ではない手(もしくは他の手法)を使ったりしながら、主導権を感覚に委ねたりして反応を愉しみます

③線と線が交差する箇所、カタチ、強弱など、自身の目に馴染んできたら筆を置き遠くから眺めてみます

④線を足してゆく行為と同時に、線の引き算をする行為があることを意識します

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⑤水彩、アクリルなど画材は何であれ、消しゴムを使わず地盤の色に同化するような色で「滲ます」「消す」作業をします

⑥消しすぎた箇所を更に鉛筆やチャコールで上に乗せて行きます。この際、地盤の中央からではなく、なるべく端と端に目線を配り全体のバランス、もしくはアンバランスを確認・保つようにします

ここまで来たら、わたしの場合、初期段階はほぼ完成です。
この方法は過去30年間のデッサン経験から学んだ手法で、念密に計算された工程を、大まかな完成図へ解放してゆく際の描き方です。

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大切に感じることは、そのプロセスにあって、化学的な線や色の変化に対応しながら自身の目線や振る舞いを変えてゆくことです。描き手としてコントロールしようとする必要はありません。絵画には失敗がないので、思い通りにいか無ければ、その現象からリスタートすることを忘れないようにしています。

次回は、色を乗せてゆく工程をご紹介いたします。


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