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ボクとスイーツの接点

新緑の香り漂う春の季節を思うと、何故か「苺」が頭に浮かんでくる。スイーツ畑を連想して沢山の種類の甘いもの達に囲まれる感覚は、幾つになっても無くならない。

- All the sweets never disappoint you -

Baku Osawa

過去10年間、飲食店やホテルなどの撮影の際には必ず納めてきたスイーツ。洋菓子/和菓子は当然で、甘いとされる食物はかなりの種類と数を撮影しました。もともと甘い食べ物は好みではなく、お菓子という類のカテゴリには一切興味がなかったボクが、その魅力に取り憑かれたのは2015年。和歌山県南紀白浜のホテル川久での撮影現場でした。

Western confectionery / Japanese confectionery is natural, and a considerable number and types of sweet foods have been photographed. Originally I didn't like sweet foods, and I wasn't interested in the category of sweets at all, but I was obsessed with its charm in 2015. It was a shooting site at Hotel Kawakyu in Nanki Shirahama, Wakayama Prefecture.


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宮本シェフとの出会い

撮影の度に現場で様々な創作をして頂いたこともあり、ボクからのリクエストを叶えてくれた宮本シェフ。ホテル川久と白浜古賀の井 Resort&Spaのトップシェフとしてコースやビュッフェのメニュー構成の総責任者として存在していました。

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全てのさじ加減は宮本シェフの腕に掛かっていたでしょうし、施設のクオリティとお客様の層を考えると、毎日かなりの重役だったと思います。

2015年の春のスイーツ撮影の時、ボクから提案したスイーツは20種類ほど。この種類数を手作りで毎日お客様に提供するという事は、専属のパティシエ/パティシエールは嫌がるものです。

本来であれば数種類の自信がある素材やジャンルを手掛けて提供したいのが心の内だと思います。それでも宮本シェフは彼らを説得して取り組んでくれました。

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全てはお客様のため、という気持ちだったのでしょうか。たくさんの負担を掛けてしまったことを今でも申し訳なく思っています。

ベースになる素材は基本形を流用し、リキュールやベリー系などのアクセントになる部材にはこだわりを持っていただき、ショートポーションのスイーツ達が時間ごとに完成してゆく様を見ると、芸術家による作品が生まれる瞬間を垣間見る事ができた印象があります。

「いつも無理言いますね大澤さん」
笑みを浮かべながら語りかけてくるその表情には余裕さえ見え、爽やかな空気され感じ取ることができたものです。

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季節にあわせて、アイテムの色、盛り付け、部材の主張する内容、香り、風味、そして後味。全ての要素を吟味した上で毎晩遅くまで撮影に挑んだ思い出。そしてこの年からボクは宮本さんがプロデュースするスイーツの魅力にはまり込んだのでした。

普段興味がなかった甘い妖精。
「甘いものは別腹」と豪語していた友人や家族の顔が浮かんで出てきました。その通りだ!これは別腹だ。

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誰かによって動かされた心

30年以上閉じていた新しいジャンルへの興味や執着は、どうして始まったのかを考えたとき、そうだ、スイーツに関しては宮本シェフだったのだ、と思い返します。

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現在居住している札幌市内にもたくさんの専門店が存在します。
1つ700円もするスポンジケーキを柱に多層をカバーするための多種を提供する円山の店舗。または30種類以上のショコラを使ったアイテムを取り揃えるマニアックな旭が丘の専門店など様々。

ですが、わたしは宮本シェフがプロデュースするスイーツが一番好きです。スイーツをボクに引き寄せてくれたのは宮本シェフですし、仲人のような方ですから。シェフと時空を共にした数年間のプロジェクトは忘れることはないでしょう。

ヒトと何かを繋げるのは、必ずその中間に何らかのトランザクションがあるものですよね。媒体だったり道具だったり。今回のボクのケースは「宮本シェフ」。好きな人の先にはたくさんの好きが待っているものだと改めて感じた良い経験でした。


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感覚と科学は説明できないところがある

宮本シェフが創り上げるお料理は、独創的な創作料理家が持ちがちな尖った哲学は表にでてきません。ですので、どこか暖かく、丸く、すっと心に入ってくるメニューばかりが特徴的です。オーソドックスな基本はしっかりとしていらっしゃるので、上物で上品に遊ぶ心も備えていらっしゃいます。

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レシピ通りに作ればよいということではないのかもしれません。味の統制がとれないだろう、と思われがちですが、感覚で仕上げる経験で磨いた腕は、科学的な数値をあわせて創り上げたかのように毎回合致しているのです。

とても不思議です。
更にはその味が毎年同じ時期にリニューアルされたとしても、根本となる風味は一緒で、一口頂く度に当初の宮本シェフの後ろ姿を思い出してしまうのです。

生きる上ではスイーツは必要がないのかもしれません。
ですがわたしにとって大きな気付きを与えてくれたスイーツは、とても重要な役割をもった食べ物になりました。
今日も明日も、宮本シェフを思い出しながら、ありがたく頂きたいと思います。

来月はルワンジュ東京の苺のケーキをお取り寄せしようかな。​

参考ウエブサイト:
ホテル川久
白浜古賀の井 Resort&Spa


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