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視覚のカイソウ



豊田市美術館に「岡崎乾二郎 視覚のカイソウ」展を見に行ってきました。

今まで美術作品を見てこんな変な感覚になったことがあったかな、という独特の体験でした。

人間の感情や意味に回収されてしまうことを絶妙に拒絶してくる感じの不思議な作品群。

最初に頭に浮かんだイメージは「あ い う え お」をもっとめちゃくちゃに分断したような発音不可能な音声だったので、喃語的、というか意味を与えられる前の言語みたいな作品だなと思いました。

好きな色を探す、とか形だけ見るとか、部分を拡大して見るとか、解像度を変えることで手持ちの嗜好性や経験に寄せて鑑賞することは出来るのでしょうが、素直に作品全体を見た時に絶妙にそうさせない空気がある。

あえて解析不可のところに解像度のピントが合わせてあるような感じ。

私たちはみんなこの世に生まれてきた時、すべてのものに対して最初「なんだ これ?」と思ったと思うのですが、そのことを忘れて生きている今の自分の身体も囲まれている世界も実は「なんだ これ?」と思った当初のものと変わっていないということをもう一度知らされるような展覧会でした。

普段、日常生活を送る上で不都合だから蓋をしている感覚をほじくりかえされる感じがしてどっと疲れましたが、本来美術館というのは、そういうものをほじくりかえしに行く場所なのかもしれないなと思いました。

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