2024年7月10日フィンランド1人旅 【ヘルシンキ→トゥルク】

2日目

6:30起床。夢を見ず睡眠するぐらいにはぐっすり寝てた。
歯磨きをしないで寝てしまったことを後悔しつつ、さて行動するぞと荷物を片付けていたらシャンプーとボディソープがない事に気付く。
ハッとしてシャワー室に入ったら、案の定無かった。そりゃそうだよな〜と思いつつ洗濯機が置いてある場所に行ってみると、洗いっぱなしの洗濯物が入ってた。捨てられてないというか、誰も使わないんかいって驚いた。
乾燥機にかけようと思ったら、どこにコインを入れるのかがわからない。
キョロキョロ室内を探して、壁に張り付いてるのを見つけた。そこに2ユーロ入れる。
洗濯機の乾燥待ちの間に、荷物を整理する。
こういう荷物の整理が物凄く苦手で、ベストなポジションを見つけようと何度もバッグに入れては取り出すを繰り返してしまう。
とりあえずカメラがすぐに出せるように手頃なバッグに入れておく。


ホステルのロビー
後ろに併設されたバーがある


さて今日はどこに行こうか。とりあえず雑誌に載ってるところに行こうぐらいで行き先を決めた。場所はヌークシオ国立公園。ここからバスで1時間半ぐらいとかだったかな。まず移動したかった。
1日目では書いてなかったけど、行程は特に決めていない。とりあえず気になった場所に行こうぐらいで移動したかった。


路面電車。トラムという名前で、街中をバスとトラムが運行している。


洗濯物の乾燥が終わったら畳み、受付の女性に声を掛けてチェックアウトする。今日も天気のいい日。あえてトラムには乗らず歩いてヘルシンキ駅前へ。「地球の歩き方」を調べて電車の乗り場を調べる。が、全くわからない。

ヘルシンキ


アルファベッドで振り分けられる乗り場のパターンと数字で分けられるパターンがある。
全然わかんねぇ〜と思いながら駅で立ち止まっていると、「ダイジョブデスカ?」と声を掛けられる。振り返ると、フシギダネのキーホルダーをバッグに付けた女性が立っていた。
電光掲示板の前で本を読みながら固まって、明らかに困った雰囲気を出してたかなと思いつつ、そんな自分に声を掛けて来てくれるなんて優しすぎる。
ここまではどうやって行けばいいの?
と質問するとバスを使わなきゃいけなかった。地球の歩き方と違う方法か〜と思いつつ、その人が検索してくれたやり方をメモし、サンキューと言って離れた。その人のホーム画面はロロノアゾロだった。

バス乗り場に向かう。しかし、バスが多すぎる。なんなら地上でもバスがあるのに地下にもバス停があるらしい。
とりあえず目に着いたバスの運転手に声を掛けて「このバスはこの公園に向かいますか?」と聞くと、ノー。そしてそこまでの行き方を教えてくれた。
さっきの女性とはまた違う乗り方だった。
これで3通りの行き方を習得し、もうわけがわからなくなった。
直接2人から教えてもらった地下鉄の行き方がわからない。表示された看板に従ったって全然地下に着かない。
同じところをぐるぐる歩き続けること3時間。
地下へ行けない理由が分かった。工事中だった。
なぜ分からなかったのか。地下へ降りる時に、壁というかデカい広告が貼られてると思ってた場所が工事中の意味だった。クソガッデム。
プレステの体験版ゲームでクリア出来ないから、一生同じ事してる時の気分。
辟易しながら駅構内を歩いていると遂に乗り場を発見した。19種類ある乗り場の端っこで、たまたま変わった電光掲示板の表示から見つけた。フィンランド語を一文字も読めないとこうなる。アルファベットも合ってる。よしこれに乗るぞ!

ヘルシンキ駅構内

初日の空港に乗ったきり、2度目の電車移動。ヘルシンキには指定範囲内だったら電車もバスも1日フリーパスで利用できるチケットがある。だけど、ユーロの値段にビビって節約を兼ねて片道だけのチケットを買い電車に乗る。やっと移動出来るきっかけを得た事で多少安堵しながら車窓を眺めた。しかし、常磐線沿いと似たような景色に全く目新しさを感じない。いわきやん。

今となっては名前すらわからない目的地の駅に到着。何もない。とりあえず駅ビルがあるからそっちに向かう。
さてここからバスに乗るのだが、文字が読めなくてわからない。
帰国まで大分先なんだから適当で良いっしょ!と能天気な自分がまた現れ、駅ビルの中と駅前を散策してみるとラーメン屋を見つけた。フィンランドに来て2杯目のラーメン。おそらく一杯2500円ぐらいはする。絶対にガッカリすると思う。けど、どうしてもスイッチが入ってしまうとダメだ。入店。
醤油、味噌、辛味噌、豚骨とビーガン向けのメニューを中心に、トッピングも豊富なラインナップが揃っていた。

MOMOTOKO
ラーメンチェーン店だった


とりあえず味噌を注文する。店内には自分含めて客が3人。
店員さんはアジア人だった。
10分ぐらい待って着丼。スープを一口飲む。コクが無い。最初の味は濃い感じになるも、すぐにスッと消えていく。麺を啜る。細麺。そして、麺と麺がくっついてる状態になってる箇所もある。お湯に入れる前に麺をぱらつかせてない。マズくはない。けど美味くない。これで2500円ぐらいする。ダメだと分かっていながら食べてしまうドラッグみたいなもの。ラーメンはドラッグ。おかしくなりそう。
とりあえず完食し、再度バス停に向かう。と言ってもどれに乗ればいいかは相変わらずわからないから、近くにいた職員さんに聞いてみる。
180センチ以上はあるであろう身長にガタイの良い白髪短髪の職員さん。バイオ6のジェイクみたいな雰囲気。話しかけるのめっちゃ怖かった。けど、Google翻訳を介して、英語とフィンランド語も混ざりながら
このバス停へ行け!
This way! Go straight!
と教えてくれたバス停に向かった。


国道


初めて国道に立った。フィンランド語表記の看板だらけ。海外だ〜〜〜ってワクワクした。
道路沿いのバス停で待つのはそんなに時間はかからなかった。
バスが到着し、自分は最後に乗る。手間取るだろうから後ろの人を待たせたくない。
フィンランドの街を走るバスになる。街と街の間は住宅街とスーパー以外、目立ったモノはない。必ず視界に緑が映る。
目的地に向かい走り出すバスに身を任せること数十分、バスは学校の目の前で停車した。
大人数の小学生中学生ぐらいの子供が入ってくる。めちゃくちゃうるさい。うるさいというのは、携帯でガンガン音楽を流してる。ちなみに通話も普通にする。電車の中でもしてる。この国の交通機関ではマナーって無いんか。わんさか人が乗って来たところでも、俺の隣には誰も座らなかった。この敬遠されてる感じ、よそ者って感じがする。その次ぐらいかな、止まったバス停に赤いモヒカンの女性が入ってきて、俺の隣に座った。
バスが進んでいく内に、果たしてこれは目的地に向かっているのか心配になった。
なので隣にいた女性に思い切って話しかけて聞いてみた。
すると、ちょっと困った顔をして「これはヘルシンキに向かってるバスです」と返事してくれた。やっとの思いでヘルシンキを出たのに、回り回ってまたヘルシンキに戻ってる事実に笑ってしまった。全然道案内理解出来てなくてごめん職員さん。


「私がヘルシンキからの行き方教えてあげるよ!」と言ってくれた。彼女の名前はジョシュア。
そこから彼女はよそ者の俺に興味を持ってくれたのか、会話を広げてくれるようになった。
その時、海外パケットを契約せず街を巡ってたので、かなり孤独な旅してるんだみたいな事を伝えたら驚いた顔をした後、クレイジーって笑ってた。
ヘルシンキに到着し、カモンカモン!とバス停まで案内してくれた。キートス!と伝えて、写真を撮らせてもらった。最高に良い人に知り合えたと思った。もう見慣れたヘルシンキの駅前を眺めながらバスを待つ。しばらくするとバスが停まり、それに乗った。到着先のバス停の名前を忘れてしまったけど、それに乗って、さらに乗り換えればヌークシオ国立公園に着く。

またバスに揺られる。途中、通路に立ってる女の人がいたので荷物をどかすと「座んないからいいよ」みたいなこと言われた。少し経って、別の席に座って、そして降りて行った。乗り始めて30分ほど経ったかなって時、とある停留所に停まるバス。運転手が何か大きな声で乗客に呼びかけ始めた。それに返事する近くに座ってたおっさん。何を話してるんだろう。ただ、ゾロゾロとみんなが外に出ていくので倣って外に出る。何が起きてるのかわからないまま外に出ると焦げ臭かった。
え、ヤバくない?爆発するの?

バスから降りる人たち


止まりはしたものの、すぐに後続のバスが到着した。遅れてバスを降りた人がそのバスに乗り切れなくて、呆然とした顔でバスを見送っていた。

目的地の場所に着いた。ここから乗り換えだ。けど、本当教えてもらいながら来たのに申し訳ないんだけど、なんか面倒くさくなってた。目的地に着くまでが大変で気力がなくなってしまった。
だからと言ってここに留まってるわけにもいかない。到着したバス停は、前に行った街よりもさらに何も無さそうな場所に停まったから、動かなければならない。「地球の歩き方」を開き、今いるところからから近いんじゃないかって憶測でその場所に向かうことにした。「トゥルク」という街だ。とりあえずここに行こう。
目の前に停まったバスの運転手に「トゥルクまではどう行けばいい?」と尋ねる。運転手はうーんって顔して携帯をいじり出した。でも、すぐに発車の時間になってしまったらしく、とりあえず乗れ!ってハンドサインを出した。


乗換案内
いまだに一語も読めない。


いそいそと1番前の席に乗り、バスは自分が来た道を戻った。そして「この坂道の下に停留所がある!そこから乗っていけ!」みたいなことを教えてくれた。サンキュー!と伝え降りて振り返ると、親指を上に立てたポーズで返された。

坂道を降りバス停に着く。しかし、バス停が二つあった。どっちを見ても何が書いてあるかわからないし、時刻表もない。どうしたもんかと思ってる時、停留所に1人の男性が座ってたから話しかけてみた。どうやらこの2つのバス停からトゥルクに向かうらしい。バスが来たらこう!こうやって手を上げるんだ!おーい!みたいなオーバーなジェスチャーでおどけてくれた。
間も無く、その男が乗る予定だったバスが停まり、手を振って別れた。

それから数分後、二階建てのバスが近づいてきた。ハリーポッターに出てきたバスじゃん!とテンションが上がった。おーい!と手を挙げる。バスが停まり、入り口が開いたと思ったらスキンヘッドで刺青だらけのおじちゃんが入り口で仁王立ちしてた。アイウォントゥーゴートゥートゥルク!と伝え、タッチ決済しようとするも弾かれてしまう。何度か試しても駄目だ。おじちゃんは人差し指をコツコツ叩きながらそれを眺めていた。sorry!と伝え外に出るとバスはすぐに発進した。バスはスナフキンみたいな俺を受け入れてはくれなかった。

しかしどうしよう、次のバスも何時に来るのか分からなければ、またクレジットが弾かれてしまうかもしれない。焦りながらもすぐに次のバスが停まる。アイウォントゥーゴートゥートゥルク!とまた伝え、タッチ決済すると通った。安堵。36ユーロという表示にビビったけど。

ハイウェイ
車が少ない

バスに乗ってから分かったのだが、今乗ってるバスは高速道路を走ってるらしい。あと何時間でトゥルクに着くかも、このバスが何時間走り続けるのかもわからない。ただ流されるままに異国のバスに身を委ねた。

車窓
車窓2

森や湖、牧場を脇目に走り続けて2時間ほど。トゥルクに到着。果たしてここはトゥルクのどこなのか。前を歩いてる人について行って見るとヘルシンキとは違う、ラクガキや風俗的な店が見えるようになる。これが所謂海外の治安が悪いと言われるところかと、不安が押し寄せてきたから足早に抜ける。


本当はもっと派手なグラフィックがあったけど怖いからすぐ抜けた
ストリップ
このブロックにあと3、4軒ほどあった



なんとなく明るい方へ歩いていくと、人通りが多くなって来た。そのまま人の往来が多そうなところへ歩いていくと街の中心部に到着。ショッピングモールのあるビルに囲まれた広場には、地面から湧き出るスプリンクラーでびしゃびしゃになりながら遊ぶ子供やマーケットなんかが出ていて賑わっていた。とりあえず安心出来るところで宿を探す。Wi-Fiも見つからないから海外パケットを契約し、最安値の宿を探す。発見後、すぐに予約。18:00チェックイン。歩いて30分。その段階で17:00頃だった為、マップを開いたり閉じたりしつつ、街を探索しながら向かう。


トゥルク

この街もなかなかの賑わいで、どうやら音楽イベントも多い街らしい。壁にたくさんのフライヤーが貼られてる。マーケットなんかを横目に歩きつつマップを確認したら、宿とは反対の道を歩いてた事が判明した。チェックインよりも15分遅れて到着する見込みの表示。歩いて来た道を引き返し、初めて見る道を小走りで行く。進むにつれて、市街地から離れ、住宅街に来た。実は観光地より、こういう場所が見たかった。その街の生活風景が見たかった。目の前の景色に感動しつつ、目的地に向かう。


日本でいうセブンイレブンみたいなコンビニ

18:10。マップのマークに到着。けど宿らしきものが見つからない。ウロウロしていると、前から犬の散歩をしている女性2人組が歩いて来た。その内の1人がこちらをジッと見て来たので会釈。癖でやってしまうけど、会釈は全くと言っていいほど伝わらないらしい。間を空け、女性がハローと話しかけてきた。すかさずGoogle翻訳をお願いすると、どうやら宿の人らしかった。というか、目の前の一軒家の2階がゲストハウスということだった。自分の家に知らない人を泊まらせることに衝撃を受ける。狼狽えながら汗だくで息を切らすアジア人なんて、向こうからしたら不審がられてもおかしくない。ちょっとした壁を感じつつ、家に案内された。

ゲストハウス


まんま人の家の風呂や部屋を案内され、思わず靴を脱ぎそうになったけど、彼らからしたら異国の文化だなと家を案内してもらった。階段を登って突き当たりの壁一面が鏡だらけで本当にビビった。あまりの奇妙さに「もしかしたら寝てる内に殺される・・?」と考えてしまった。
とりあえず部屋に入った。この時点でなかなか濃い時間を過ごしてる。また街に戻る為に携帯をある程度充電し、着替えてすぐに家を出る。

ゲストルーム


何もない閑静な住宅街。一瞬でもその国の人たちが生活する場所に自分も混ざることに静かなワクワクを覚える。来た道とはちょっと違うところを歩くと、革ジャンが落ちていた。なぜ…?真っ直ぐ進むとグラウンドに出た。どうやら中学生ぐらいの人たちが部活をしている。その脇を歩き、道路に出ると市街地に出るまでの歩道に着いた。
この街は、大きな一本の川が流れていて、川沿いに飲食店が集まってる。その中には船をレストランにしていたり、DJブースがあるような店もあった。19:00過ぎでも全然明るい街を歩き、時折スーパーに寄って酒を買う。セルフレジもあるので、思い切って挑戦してみるも、あるところで会計が止まってしまった。画面のどこを押しても反応しない。その時、両隣にいた人が何か声をかけてくれた後、スタッフの人に声をかけてくれた。返事をした後、別のスタッフが対応してくれた。どうやらIDの確認が必要らしかった。セルフレジでは当たり前だよね、と申し訳ない気持ちになり、店を出る時、声をかけられたスタッフがレジの対応をしながら女性のお客さんと陽気に話していた。


500ml缶のビールを飲みながら街を歩く。いざという時しか店に入れないほどユーロは高くて、飲み干してはスーパーで酒を買うを続けていた。街を練り歩き続け、川沿いに出たので土手に座って休憩する。若い人が多い。川沿いの土手に座って酒を飲んだり遊んだりしてる。ちょっとだけオレンジがかってきた空模様とその景色を眺めながら、何故か小学生の時から聞いていたアルバムが聴きたくなり再生した。


なんか有名な建築物

アルバムを半分ほど聴いた時に、ずっと隣に座っていた2人組の女性に話しかけてみる。ここはどうやら大学の近くらしい。多くは話せなかったけど、フィンランドは一日中明るい夏を季節というより、イベントとして捉えてるのかなと思った。ちなみに冬は丸一日暗い日もあるらしい。だからお祭りみたいにこんなに賑わっているのかも。感謝を伝えて、また街を歩く。

kiitos

酒を買おうとまたスーパーに入った時、酒のコーナーがロックされていた。フィンランドは3%以上のお酒は21:00以降は売れないのだ。だから、2.8%のお酒や0.5%のお酒も結構置いてある。まぁそれでも飲めるならとまた買い、外に出た。
街の中心部を歩いて眺めている時、トイレに行きたくなった。けどここはトイレが使えるようなコンビニや公衆トイレが無い。もし借りるとしても、店に入って何か注文して、そこのトイレを使いたい。デパートはどうなのか。そういった施設は施錠されるか、そこの利用者だけにトイレの番号が教えられる厳しい制度。いや、タダではないから本当はそういうもんなのだろうけど。
どうしようかと彷徨いていると、ガタイの良い人たちが外のテーブルで飲んでいたバーが目に入った。入るしかない。酔いの勢いそのままに、意を決してそのバーの中に入った。

カウンター10席ほど、テーブルが7脚を余裕に置いている広めの店だ。店内は暖色で薄暗く、店員さんは男性と女性の2人。カウンターには既に2人座っていて、1人がメッシュキャップにネイビーのパーカー。携帯でサッカーの試合を見ていた。もう1人はカウンターの隅でビールを飲みながら本を読んでいる。何やらSFモノのような表紙だった。その中間の椅子に座る。メニューはバーコードリーダーで読む。焼き鳥居酒屋竜鳳かよと思った。表示されたメニューの1番上のビールを注文する。ジョッキで1500円ぐらい。ちなみにスーパーで買っていた500mlのビールは400〜500円ぐらい。酔ってても高すぎる一杯に恐怖しつつ、ちょっとずつ飲み続ける。


1600円

雰囲気を見てトイレの場所を確認して、席を立った。戻ってきた時、カウンターにiPhoneを置きっぱなしにしていたことに気付いた。
店員さんがお酒用に割る果実酒か何かをタッパーで四つほど持って来て、テキーラグラスで試飲し始めた。サッカーの試合を見ている人にちょっと渡して談笑してる時、奥で本を読んでいた人も近寄ってきて試飲して笑っていた。誰かと話すわけでもない、言葉も一切わからないその光景に、映画の中にいるような感覚になりながらも、追加でレモンサワーらしき一杯を頼む。約2000円。キンミヤが飲みたい。


2000円

届いたグラスを持って外に出てタバコを吸おうとする。22:00を過ぎても夕暮れなりかけぐらいの明るさの街を眺めてる時、思い切って目の前にいたカップルに「何のタバコを吸っているの?」って話しかけてみた。
その2人の名前はジュウソーとジュナ。なぜ名前まで知ってるのかというと、その後彼らと明け方(ずっと明るいけど)まで飲んだからだ。とにかくその2人がGoogle翻訳を介して色んな会話に付き合ってくれた。あんなに親切な人いるか?と思う。自己紹介がてら話したりなんだりしてる内にあれ見て!って言われて振り返るとトゥクトゥクが走っているのを見て思わず驚くとジュナが物凄く笑ってくれたのが嬉しかった。

そんな感じで他愛ない話をしていると、そのテーブルに刺青だらけのオッサンがいきなり座り込んできた。2人の知り合いかなと思いつつ、ジューソーが俺に携帯の画面をグイッと妙な近さで見せてきた後、ジュナがそのおっさんと言葉を交わし、段々言葉が少なくなった後、「中へ」と手招きした。何がなんだかわからないままな店内のテーブルに座ると「あの人は薬をやっている臭いがした。そして観光客であるあなたを狙っていた。」とのこと。さすがに驚いた。今まであった人たちが物凄く親切だったからこそびっくりした。

そこから、何を撮っているのか、何をしようとしているのかなんて話になり、この旅で撮ろうとしているテーマを伝えたら、ジュウソーは驚いた直後、笑った。馬鹿にしているのではなく、腹から込み上げてくる笑いだなというのは表情から伝わった。円高の話もした。どこのメニューを見ても、大体のお酒は日本の値段の3倍ぐらいって伝えたらジュウソーがすぐに酒を頼んできてくれた。いやいや悪いよそれは!って言いながらも何かを汲んでくれたような、悟ったような顔をして酒を次々と頼んでくれた。嬉しかった。けど途中、散々飲んだ後に持ってきてくれた強い酒が入った時はさすがに吐きそうになった。タバコを吸おうと外に出たら、既に座っている老夫婦がいるテーブルに2人が普通に座った。「知り合い?」って聞くと「ノー」。マジで言ってんの?

けど、どうやら本当にそんなもんらしい。老夫婦も普通に対応してるし、なんだったらおっちゃんの方は日本の大学に1年ぐらいいたことがあるらしくて、カタコトの日本語で普通に話しかけてきてくれた。その場の人たちが俺抜きでそれぞれの会話が弾んでいる時にGoogle翻訳してくれたり、すごく気を遣ってくれた。

時刻も1:00を過ぎたぐらい、二軒目に行くことになった。街のバーから街のバーへ。2軒目は音楽がちょっと大きめに流れているバーだった。そこでもジュウソーがすぐに酒を持ってきてくれた。本当に頭が上がらない。
酔いが深くなってくるとGoogle翻訳で会話するよりも雰囲気とジェスチャーで会話することも多くなった。
酒ヤバくない?あそこはエロいことしようとしてる。タバコ吸いに行こうぜ。俺はここで待ってる。オーケイ。
外に出ると夜だった。と言っても夕暮れぐらいだ。ジュウソーとジュナと、名前を忘れてしまったけど老夫婦のおばちゃんと外でタバコを吸ったり。あとタトゥーだらけの腕に柄シャツでビシッとした頭の男と金髪の女性がいた。詳しくは覚えてないんだけど、多分物珍しくて話しかけてきたのかなと思う。2人の写真を撮らせてもらった。ジュウソー達とは対照的に控えめな2人で、凄くかっこいい雰囲気の2人だった。時刻は4:00頃。老夫婦が帰ると言い、俺も明日があるからと言って帰るよう伝えると、携帯をよこせと言い、Google翻訳で長文を打ち、その後思いっきりハグしてきた。ジュナにも別れを伝えようとした時、見知らぬおっさんと話してて、なんとなく写真を撮ったら「その写真を送ってくれ!」と、一緒にいたおっさんが店の外までずっと付いて言ってきた。



帰り道、日本の時間に合わせたままの時計を見ると9:57だった。
いわきにいる時と変わらない事をやってるなと、遠く離れた国の住宅街を歩きながら思った。


7月11日 9:57
時差は6時間
酔っ払って撮った住宅街



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