2024年7月17日フィンランド1人旅【パリッカラ】

9日目
寝台列車の中。最後の街でもう一度ヘルシンキに戻るも、さすがに二日間いるのには飽きるかなと思い別の街へ行こうかとすでに明るい外を眺めながら考えた。

そしたらどこに行こう。別に観光地にわざわざ赴いたりもしないのだけど、暇だし雑誌に載ってるところに行ってみようかなーと思いながら、引っかかってることもあった。
ロシアとの国境である。時事的な話が嫌いな人も分かるので、そういう人はここからは飛ばしても構わない。フィンランドの東部はロシアとの国境で隣り合っている。この旅でも稀に軍服を着てる人も見かけた。

ここまでフィンランドを見たのに国境を見ないのは違くないか?
迂闊に見に行く必要はさすがに無いか?
交通費さすがにそろそろヤバくないか?
と色々悩んだ。悩んだ結果行くことにした。電車で行けて、国境に1番近そうな街パリッカラへ。
ちなみにこの場所は自分が持ってる雑誌にも載ってないし、YouTuberが行くようなところではない、観光することもないであろう田舎なのは見えてる。わざわざ往復100€(17000円)を使っていくところなのか。

だが、どうしても気になってしまった。何もないならそれでいい。行きたいと思ったから行ってみる。それでいいんじゃないのか。

南に12時間の列車の旅から、東へ3時間半の電車旅へ乗り換える。1週間ぶりに降りたヘルシンキ駅は見慣れたというか、久しぶりに来たーという気持ちで見れた。


ヘルシンキ駅


あの時電車の切符ですら買い方もおぼつかなかったのに今となってはスイスイ買える。
ユーロ?円高?未来の俺に一生のお願いを何度も唱え続けチケットを買う。

しかしまぁ慣れてきたぐらいの自分がこういうのもなんだが、汚い。初めて見た時は新鮮さに溢れた街も、慣れてくると汚いところが見える。

しかもその時は変人がちょいちょい居た。携帯で自撮りしながら叫んでるおっさんとか、駅の構内で立ちションしてる酔っ払いかラリってる人とか、前まで見れなかった景色が見えた。
勿論、日によって発生することは承知だけど、その時それを見てしょうもない気持ちにちゃんとなれた。

また電車に乗り東へ向かう。3時間半移動はなんか慣れてきた。
車内で日記を書き、音楽を聴く。
途中、工場地帯などがあったら写真を撮る。
これから向かう所が、この旅の最終地点みたいなものである。
最終日は首都に泊まるけど既に行っていたし、東西南北の端の方まで行くと考えると、最後の旅の場所だ。大袈裟に考えすぎか、とも思う。
けど見てみたいのだ。恐らくこれが人生で最初で最後のフィンランド。何もなかった〜って無駄な金を支払うよりも、行かなかった事のが後で後悔しそう。この旅行自体そんな気持ちなのだ。ある意味フルスイングした旅路。思いっきり振ってけ。

点線がロシアとの国境

最後の目的地パリッカラに到着。
マジで何もなかった〜〜〜〜〜〜〜〜〜思いっきり空振りした〜〜〜〜〜金〜〜〜〜!!

今まで見てきた街で1番田舎。何もない。スーパーと料理店が1.2軒ある。なんなら店のバルコニーでおっちゃん達が平日昼間から酒盛りしてた。
駅の裏は森。思いっきり空振り。どうやらここで降りる人が結構いるけど、駅前にはバスとか迎えに来た車でいっぱい。
地元の駅前かよ。

スーパーに寄ってすぐに食べれそうなおつまみを探すもピンとくるものが無く、酒を買って外に出ると、大きな湖があったのでそこに腰掛けてビールを飲んでタバコに火を着けた。
今まで見た中で1.2ぐらいで大きい湖かもなーと思いながらタバコを吹かす。
風が気持ちよく、見たことない鳥がたくさん飛んでる。
ヨットハーバーにいる人たちの声が離れたベンチに座る自分の方まで聞こえてくる。

タバコを数口吸った後、幼馴染に電話した。
ナーンタリでもそいつと電話してて、ちょいちょい生存確認として連絡をくれてた。
その時、日本では21:00前とかだったはず。
すぐに電話に出たそいつに、事の経緯と目の前の状況を話した。
めちゃくちゃ笑ってた。それにつられて俺もめちゃくちゃ笑った。
たくさんのことが起こったフィンランド縦断旅。最終地点の街で、でっけぇ水たまりのほとりにあるベンチに座って、日本に住んでる幼馴染と笑いながら話した。電話が終わった後、そのベンチに座ったまま写真を撮った。

とりあえずヘルシンキに戻る電車のチケットを買って、その間に飯を食う。約2時間後。電車も少ない。
駅の目の前に料理店があった。
店内に入ると明らかな異物の目を向けられる。
メニューにスパイシーと書いてあるメニューがあったので、何の品物かわからないまま、それとビールを注文して外に出た。辛いモノが好きなのだけど、こっちの国に来てから食べてなかったな。

やはり過疎ってる街にアジア人がいるのは珍しいのか、視線をよく感じる。
植田にヨーロッパの人がいたらそうなるよなと思いながら外でビールを飲んでると超デカいタコス?みたいなのが来た。デカい。マジかよ。
カメラと同じぐらいデカいじゃん。

スーパードライ的な立ち位置のビール「KAHRA」
でけぇ



いけるか。いけるよな。ヤサイマシだと思えばいいと一口食べるとめちゃくちゃ美味くて、あっという間に完食した。途中、紙ナプキンを取りに店内へ行くと、多分同じサイズの料理をお婆さんが食べてた。半端ない。
kiitosと伝えて皿を下げた。

電車までまだ時間があったので、また湖のほとりに行き、バッグを枕にして横になった。日差しと風が気持ち良い。
今回の旅を思い返していた。明日出発。いざ迎えると、あっという間だなと思う。色んな所へ行った。日本で例えると時々寄り道しながら北海道から九州まで電車とバスを使い一周したようなもんだ。
そして、色んな人と関わった。
思ったことがある。
街によって人の雰囲気が違う。基本的に、例えば狭い道をすれ違ったり、譲り合ったり、些細な時に出る反応にフィンランド人特有の謙虚さを感じる瞬間がある。当たり前といえば当たり前のことかもしれない。

が、独りで街を歩き眺めていると、活気や空気といった、それぞれの街の独特の感覚が違う気がする。上手く言えないけど。

街によってそれぞれ違う色がある。日本でも勿論それはあるけど、それを海外に行って感じれた事が嬉しかった。良いことも嫌なことも経験したからこそだ。
初めての海外旅行なのだが、動画とかで見たりしていつも疑問に思っていた。
数日首都に居ただけで何がわかるのか。人と会話し、その街で暮らす人たちの場所を知り、どんな人がいるのかを知ってみたかった。
一瞬でも街と人の内側に入ってみたかった。当たり前だけど自分が経験したことが全てなわけがない。良いやつだって悪いやつだって、どこの町でも国でもいる。
けど、間違いなく自分がやりたかった事、見たかったモノを見れてる。その国のリアルな部分に触れられた気がする。
そんなことを最終地点である街の大きな湖のほとりで考えた。

電車の時間になり、いざ乗り込むと列車の中が熱い。隣に金髪女性が乗ってる。ヤバい、汗臭いの大丈夫だろうか。通路側に体を寄せて座ると、駅員が来た。???だ。挨拶程度ならわかるようになってきたが、具体的な話だと全然わからん。すると隣にいた彼女が「Follow me!」と促した。どうやらクーラーが壊れてるから移動してくれとのことだった。
指定されたのがボックス席で、彼女と対面になった。これはこれで照れる。
とりあえず案内してくれたお礼にジュースと水を買ってきて渡した。サンキューとオレンジジュースを取った。

ボックス席で対面になった知らない女の人と2時間対面に座るカタチでヘルシンキに向かうのは、妙に緊張してしまう。
何か話しかけてみようかと思ったけど、日和って何も言えない。
車内アナウンスが流れた。
「これなんて言ってるの?」
「10分遅れるって」
オッケー。
何も話が広げられずヘルシンキに着いた。

とりあえず移動中に予約したホテルに行く。
到着するも、ドアにロックがかかっていた。
ナンバー式のタイプでこれはホテルに直接予約するとメールで番号が届くらしい。
俺は代理店からの予約なので一切そういうのが送られてこない。もしかしたら割とあるあるかもと思う。2回目だったからだ。
とりあえずここに入る人を待って、事情を話し入れてもらおう。

そしたら中国人の女性が来た。
声をかけて、ジェスチャーばかりの英単語を話すと電話し始めた。
友達がちょっとだけ日本語出来るからちょっと待っててと。
すると、「こんにちわー何か困ってるって聞きました!」と男性が来た。日本語めっちゃ上手い。
事情を話し、中に入れてもらい、3階にあるホテル入り口まできてくれて、そしてまたナンバー式のドアがあった。
その2人は、このドアを開けるためにはどうしようと物凄くしっかり考えてくれた。この旅で学んだが、こういった事例の解決方法は思索だと何も解決しないことが時折起こる。
じゃあどうすればいいのか。解決方法はこれ。俺の好きな四文字熟語、「バイブス」だ。それでしか解決出来ないこともあるのだ。

階下からこのホテルに泊まる人が上がってきた。事情を話したら中に入れてくれた。あとは大丈夫と伝えて中国人の2人と握手。
大丈夫…?みたいな顔をしていたが大丈夫。
中には自分用に用意されたカードキーが置いてあった。解決。気遣いな優しい中国人の2人組だったなと思った。ありがとう。

ロビーを抜け、部屋に入ると8人相部屋。部室みたいな臭い。バックパッカーのバイブスを感じた。荷物を引き出しに入れて、カメラを持ってヘルシンキを歩いた。22:00〜23:00からちょっとずつ暗くなってきた。初日より暗くなるの早くないか?


自分は街撮りが全然出来ない。こんなんだったっけ?と思いながらずっと撮ってる。
一応撮りはするけど、肝心な撮りたいモノが撮れない。今回の旅の失敗の1つは、望遠レンズを持ってくるべきだったこと。
なんだかな〜と思いながらパブへ。ギネスビールを注文し、外で飲む。

入店する時
「カメラを止めろ!」ってセキュリティに言われた


ギネスビール

平日の夜のヘルシンキは全然人がいない。
福島県出身だからこその例えだけど、郡山駅前と同じぐらい。フィンランド人の人口がまず少ないらしいのだが、人がゴミゴミしてないのは旅の快適だった要因の1つ。スイスイ歩けて空気が綺麗で、外限定だけど煙草が吸いまくれる。
けどさすがに疲れてきたからか、酒が言うほど進まなかった。そんな夜のヘルシンキを眺めながら一杯だけ飲んだ。

そろそろ宿に戻るかと、席を離れ移動するも、宿に併設されたバーに入ってみる。よく考えたらここがラストのバーだ。
テーブル1つとカウンターのみの狭いバー。
女性マスターとおっさんが1人。おっさんがめちゃくちゃ酔っ払ってて、注文するなりダル絡みしてきた。ハイハイ、みたいな対応をしているのを察したのか、女性マスターが「そろそろ酒やめときな」みたいな事をおっさんに話していた。
「いつもこの人はこんなに酔っ払ってるの?」
「そうだよ。」
フィンランドのアル中率は国民の10%というデータを思い出した。
その後もダル絡みしてくるおっさんは、それぞれがシレッとした対応していると店を出ていった。

ラーメン

自分も頼んだビールを飲み干して宿に帰ろうとした時、忘れていたことがあった。
ここのドアはナンバーキーで、中国人の人に開けてもらったんだ。
番号こんな感じだったような…。
と押してみるも弾かれる。終わった。これは終わった。多分ここの宿のスタッフは朝になったら来るタイプの宿だからどうしようもない。
さてどうするか。

もしかして、と思い、さっきまで飲んでいた女性マスターに助けを求めると、一旦間を置いてナンバーを打つ。ロックが解除された。やはりバイブスが全てを解決する。

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