2024/07/08 なりたくなくてもなっちゃうものなんだ

昨日の分の日記があまりにも卑猥な言葉を書きすぎたのか、あきらかに人気がない。でも書いていて最高にトランスしたヒップホップな気分だった。
週刊少年ジャンプの鳥島さんのような敏腕編集がいれば、こういった作者の暴走をおさえるのだろう。いや、待てよ。なんで基本お給料0で書いているこれを縛りけられねばならないのか。僕はこれからも卑猥なこともときたま書くと心に決めた。

さて、漫才大行進 三連勤の三連勤目である。昨日は気絶して朝を迎えた。ああいかんいかん。まだネタを調整できていないから急いで書きまくる。

12:50からの出番である。いやあなんとか東洋館に向かう。楽屋では都知事選の結果について芸人さんが集まって話した。意外とみんな社会派だ。
本来、お笑いをやる人なんか選挙なんか行ってたまるかよと思っちゃうような人ではないかと思う。でも、みんな行っていた。これってようは「世間では投票に行かない人が多い」ということに対するカウンターなのだ。お笑いをやる人は基本的に社会に対して反発したくてやっていると思う。
「若い人が投票しない」と言われたら「俺は行ってるぜ」と言いたくなるのがお笑いである。逆に世間が、一般的に言う健全な状態になり、「若い人の多くが投票に行っている」と世間で言われるようになれば「俺は行ってねえよ」と言いたくなるだろう。
そう考えればお笑いがみんな投票に行かなくなったほうが健全な社会であろう。

我々の前の出番であるドルフィンソングの二人が漫才をもうすぐ終えそうかなという時間になり、袖で待機する。田川くんが言った。
「どこそこの町の町長選では28歳の人が当選したってね」
へえそうなんだ。そんなニュースがあったんだねえ。若い人を支持したいという住民意識の地域というのもあるのだなあ。続けて田川くんが言う。
「でもさあ、俺だったら28歳は若すぎて投票しないかも。28歳って子供だよ。」
これは面白いことを言うなあ。うん。28歳は若すぎるから信任できないというのはそれは一つの意見として尊重されよう。当然、政治家は若ければ若いほどいいというものではないからだ。
田川くんは現在29歳だ。彼が言うには「自分が今も子供だと思っているから、28歳は言うまでもない」ということだ。ニュースになった町長は田川くんにとって一歳下ということになる。

私はとても合点がいった。多くの人の心の中には「若者(子供たち)の未来を考えれば、あれやこれやは若者に任せて、お年寄りは退くべきだ」というなんとなくの感覚があると思う。それがネットでよく言われる言葉「老害」というものが一種の流行語を超えて、定着したことからもわかる。「老害」は嫌な言葉だからあんまり使いたかないが、仕方がない。
それでも、多くの人はいつのまにか「老害」になってしまう。それはなぜか。田川くんを見ればこの入り組んだ現代日本社会を紐解くことができる。

「俺が○歳の時は子供だった」この感覚を一生持ちながら年をとっていくことが老害を大量生産してしまうのだ。この感覚はある種の謙虚さでもあると思う。自分はまだまだ一人前ではないと謙遜する気持ちもあるだろう。しかし、それに加えて「自分は謙遜しているのだから、あなたも謙遜するべきだ」という感覚も持ってしまわないだろうか。自分が精神的に未熟なことと、遠くの誰かが未熟なことは関連性はないはずなのに、そうであるべきと思ってしまう。
自分が○歳の時に未熟だったことと、候補者が○歳の時点で未熟であるとは限らない。であるにも関わらず、なんとなく投票するときには自分よりも年上もしくは同い年くらいに入れてしまう。

そういうことをわからせてくれる一幕だった。社会学者の先生方は田川くんを実験動物にしたほうがいい。彼は現代日本をそのまま映し出した存在だ。
研究に使う際にはいったん私にご連絡ください。中間マージンを抜いて協力費を彼に渡しますので。

いやあ学びが生まれた。これだから漫才大行進はいいものである。面白くなれるかは知らないが、人間としての深みを得られるそんな気がする。
ということで出番を終えて帰宅する。ちょっと昼寝をしようかしらと、ぐぅと眠って目が覚めた。

むむ。嫌な予感がする。頭がぼうっとして、体がだるい。何かの気のせいだろうと支度して晩御飯の買い物に行く。家に帰って料理をして、でもう完全にアウトであった。
体温計で測れば熱がある。ああこれは終わり申した。今日は終わり、明日も終わりである。風呂に入って食事をして眠った。やれやれ。

今日面白いと思ったことは「意識的に自分を律さなければ、いつのまにか社会から悪く思われる存在になってしまうのだな。もうなってるかも。」

こんなつらい人生。ここに空き缶を置いておきます。