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地学は知学

高校1年。入学したばかりの時。地学の先生は臨時講師だった。新設校で本気で進学校にしようと考えていた高学歴(東大京大出身とか)の教師の中で彼は地方の私立大学出身だった。が、授業がむちゃくちゃ凄かった。
「えっと、自分の好きな星を選んで。それに関するレポートを提出するのが課題です。2ヶ月位かけてしっかりとしたモノを作るように。」
 昭和の時代の話だ。アグネス・ラムが近くのスーパーの屋上に来る前の話だ。「評価は、レポートと発表の工夫でつけるから。もちろん並行して授業もするから。」って感じで。こんな人だから職員室に居場所がなかったようで休み時間も教室に遊びに来ていた。星について何を質問しても答えてくれた。いや、ヒントをくれた。地学の知識だけじゃない。化学も物理も生物も知っていなければいけない。
 東大を出たということしかない理科主任のおっさんの数百倍詳しく楽しく面白く化学の話をしてくれた。
誰かが言った。「先生、地球という星の上で起こった出来事…つまり人間のやってきたことについて書いてもいい?」
 新設校なので私を含めてバカから、むちゃくちゃ頭の良い生徒がいる学校で先生たちはやりにくかっただろう(いや偏差値の良い奴らで勝負しようとしていたふしがあった)。
「あ、それも地学的な視点があればいいよ。」
「地学的な視点?」
「例えば、桶狭間の地形と決戦の関係とかさ…」
「はぁ?」
と面白おかしく歴史の話をしてくれる 日本史が嫌いだったやつも世界史が嫌いだったやつも数学が嫌いだったやつも 地学を通じて興味が出てくる

流石に国語や美術… いや言語と地勢 芸術 と話がつながる
天気が地学だなんて初めて知ったのもその先生のおかげだ

で その先生は2学期が終わると辞めることになった。
あの先生が残っていれば きっと出身校はすごい進学校になっていたかもしれない。
 勉強が嫌いだった奴らも好きだった奴らもすごく楽しくて興味深いレポートを作って発表したのに。
 
 

#地学がすき

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