マガジンのカバー画像

とあるゲイカップルの日常

16
オッサンとの日常をセキララに語る日記。
運営しているクリエイター

記事一覧

ゲイの養育里親

パートナーのおっさんが、一時的に子どもを預かる「養育里親」になりたがっている。先日一緒に説明会に行って、実際の里親さんの話を聞いてきた。 そして、今日は養育里親の登録をしに行くという。やる気満々のおっさんに比べて、僕は気が進まない。 虐待をして児童相談所に子どもを一時保護された親のカウンセリングをすることもある僕は、親を通して現実に触れている。仕事だから境界を引いて、枠の中で向き合うことができる。 それが、僕の日常にまで入ってくることは、たとえ短期間でもきついと思う。仕

夏彦

落合恵子が1990年に発表した小説「偶然の家族」の主人公の名前は夏彦という。 夏が好きな自分は、この夏彦という名前をうらやましく思う。 Amazonの書評はあまり良くないけれど、ゲイカップルが主人公で家族をテーマにした作品として、僕は読んで良かったと思っている。 小説の内容とはあまり関係なく、自分が夏彦という名前だったらと想像し、そうだったらいいなと思う。 年がら年中、夏彦と呼ばれたら、どんな感じだろうか。パートナーが夏彦という名前だったら…なんて思う。 僕は夏が本

シナイコトの花

ひさしぶりの休みに研修を入れてしまっていて。今日。 でも、久しぶりの休みなので、思い切って研修を休むことにした。 研修を休んだら、今日も明日もあさっても何もない日になった。パートナーのオッサンと過ごしたり、家のことをする3日間になる。 真っ白なTシャツのような、真っ白な花のような、真っ白なノートのような3日間になる。 時々、自分にとって必要なことは、しないことを決めることだと思う。 しなければならない事をなくすと、ようやくというか、自然と開く白い花が僕の中にある。

僕たちの生活

仕事をサッサと終わらせてやりたい事を… なんて思っていたら 次々に仕事をたのまれて それでもサッサ、サッサとこなし続けてたら 家のこともできず オッサンに負担をかけてしまっていた だから、 早上がりしたオッサンの 「飯食いに行こ!」という提案を大事にしたいと思った 子どもがいないからなのか 自分たちの生活を大事にしたいと 主張しづらい時がある 締切をゆうに過ぎた仕事を放っぽりだして、 ワンコを連れ、オッサンと車に飛び乗った 夕暮れの冷えはじめた空気を吸い込む。 マ

海のような空

夕飯を食べながら、パートナーであるオッサンの仕事のグチを聞いた。どうしたらいいんだろうと言うから、システム論的な解釈と提案をした。 僕が仕事のグチを話すと喧嘩になるけど、オッサンが仕事のグチを話しても喧嘩にはならない。 なんだか不公平な気がするけど、仕方がないと最近はあきらめている。完璧な人などいないから、完璧なパートナーなどいないのだ。僕の仕事のグチは、同業者相手にグチるのがいいのだろう。

オッサン緊急入院の巻

夕方、パートナーのオッサンから電話の着信があった。メールも入っていた。なんだろうと思ってメールを開いたら、入院したという。腹が痛くて救急車を呼んだらしい。 夜、仕事を早めに切り上げて帰宅して、ワンコを散歩に連れていき食事を与えてから、仕事着のまま病院へ入院手続きに行った。 病院はコロナのせいで面会禁止。なんと…コロナの影響をあまり気にせずに生活していたのに、突然コロナ禍に突入してしまった。 受付でオッサンとの関係を聞かれた。 「家族の方ですか?同居の方…ですか?」 『

遠くで雷がなっている

前回の記事のつづきというか、後日談です。 結局、パートナーのオッサンは救急で入院した翌日に退院しました。 CT撮ったり血液検査したり、色々やってもらったけど激しい腹痛の原因はよく分からなかったそうです。胃が疲れてるとか荒れてるらしい…とのことでした。 タクシーで連れて帰ると、昨日は一日中寝てました。時々寝室に様子を見に行くと、グッタリしたまま「延命処置はとらないで…」などとぬかすので、少し回復してきたことが分かりました。 ようやく起き上がって少しだけ軽いものを食べたの

スコトーマおじさん

パートナーのオッサンの腹痛は、どうやら急性膵炎(すいえん)だったことが分かった。立っていられないほど痛くて、放っておけば重症化して多臓器不全で死ぬらしい。酒飲みに多い病気だ。 救急で運ばれた病院の対応がナゾだらけだったので(診断結果: 食べ過ぎか胃炎)、今日セカンドオピニオンを求めて他の病院を受診して判明したのだ。今日処方された膵炎の薬を飲んでしばらくしたら、さっそく痛みが引いてきたそうで。 この3日間、仕事が手につかなかった。グダグダしたりドラマとかドキュメンタリーを見

打ち水つながり

今朝、パートナーのオッサンに代わって水やりをしていたら、隣の家の前の通路が濡れているのに気づいた。 打ち水だ。今まで気づかなかったのはなぜだろう。 仕事で家を出る頃には乾いてしまっているからだろうか。それとも、路地が濡れているのに気づかないほどに、心ここに在らずの状態で家を出ているからだろうか。 真似して自分も家の前に打ち水をしてみた。空気が心もち涼しくなっていく。 近所の路地をのぞくと、打ち水をした跡のある家が何軒かあった。 僕の家と隣の家が、水を打った道でつなが

距離

パートナーのオッサンの機嫌がまた悪い。 好きなことも仕事の愚痴もオッサンに話す気がなくなっていくのが悲しいけれど仕方がない。パートナーだからといって、すべてを話す必要も理解してもらう必要もないのだ。残念だけど仕方がない。 明日オッサンは家の掃除がしたいそうだ。僕は面倒くさくてたまらない。さささと終わらせて、距離をとって過ごすか。

クッキーとオッサン

今日は家でクッキーを焼いてみた。これもずっとしたかったことだ。 とりあえずオーブンの説明書に載っていたレシピ通りにやってみた。ちょっと変えたのはアーモンドスライスではなくて、くだいたアーモンドを使ったこと。 写真はオーブンから取り出したところ。不格好だけど、初めてにしては上出来だ。くっついたりしてるけど、いい色に焼けて香ばしい。 でも…味はなんだかイマイチだ。材料費をケチって、スーパーのプライベートブランドの安い小麦粉を使ったのがいけなかったのか。分量は間違っていないは

赤い魚、青い魚

パートナーのオッサンと僕の休みが合う日曜日の夜。 今夜も映画をみようかと誘ったら、オッサンは水草を買いに行きたいという。日中は家の中で過ごしていたので、少し外を歩きたい気がした。映画よりいいかも。夜の8時を過ぎていたけど、近所にある熱帯魚店へ歩いて行くことにした。 日曜の夜に限ったことではないのかもしれない。夜の熱帯魚店は、昼間とは違うなんとも言えない雰囲気がただよう。僕の頭の中では槇原敬之(マッキー)の歌が流れる。日曜のデートでスネてしまった「彼女」との熱帯魚店での思い

壊れるものがリアル

きのうアップした「ひらり」を、パートナーのオッサンに見せてみた。オッサンはアートに詳しい。 リアルな作品にしたいと思ってると話したら、「小さな額に入れて、家の中に飾ってもいいよ」と言ってくれた。 それじゃあ…と、調子に乗って100均で額を買ってきた。パソコンで題名と絵と詩をあれこれ工夫して配置してみたけど、これが結構むずかしい。余白をある程度もたせようとすると、絵がどんどん小さくなっていく。絵はあまり小さくしたくない。それでも、バランスを見ながら少しずつ絵を小さくしていっ

合わせ鏡|鏡せわ合

今日は9時には寝ようと思ったら、今ちょうど9時だ。仕方がない。9時半に寝よう。 近所の人から大輪のアジサイをいただいた。パートナーのオッサンが持っていた緑色の大ぶりな花瓶にはじめて花を生けた。濃いみどり色の丸い花瓶に、薄みどり色の丸いアジサイが奇跡的にいい感じだと思った。 夕方、僕がワンコの散歩から戻ってくると、テレワークを終えたオッサンが竹原ピストルの曲を大きな音で流していた。 とかく忘れてしまいがちだけど とかく錯覚してしまいがちだけど 例えば桜やらひまわりやらが