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始皇帝の永遠 小前亮 著 読書メモ

積読から。

先日読んだ劉徹の時代の本と、楽毅の本で近い時代でちょうど間にあたる始皇帝の本をチョイス。

本書は始皇帝の生まれから秦帝国崩壊までを描く時系列順の物語。
この話では、嬴政と良く記載される始皇帝を趙正と言っていた。正はどちらが正しいか諸説といった感じだと思う。
趙は生まれの地を表しているとのこと。これを氏と呼び、嬴は姓であるとのこと。字とはまた違う。姓は王侯の出身集団を表し、氏は姓よりも小さな同族集団の名称で出身地や職業などがもとになると。
これは知らなかった。ゆくゆくこの区別は曖昧になるようだが、別物だったとは。秦の地を商の時代だったかに功績を挙げた始皇帝の遠い先祖がもらい引き継いできたのが嬴姓の人々。周王朝は姫姓だし、太公望は姜姓だった。女の字がどこかに入ってることが女系社会の名残と言われてるとのこと。

大筋はほぼ知ってるから省くが、李斯の立ち位置がこれまで読んだものより際立っていて面白かった。呂不韋と李斯が並び立ってバランス取れたら長寿の国家になったんじゃないかと思う。

また、完璧という言葉の故事を知れたのが面白かった。璧というのが、円盤の真ん中に穴の開いた玉のことを言うと。5円玉形状。これを騙し取ろうとした敵国に対し守り抜いて全うしたというのが完という字で表されて完璧という熟語が出来たらしい。これまで不明ながら璧の字は壁だと思っていたが下に玉の字が入っていたんだなと気づいた。

キングダムをあまりキチンと見てないのでわからないが、将軍が揃ってるイメージだったが、今回の流れだと将軍が不足しているイメージに描かれていた。蒙驁、蒙武、蒙恬の三世代と王翦、王賁の親子が描かれていた。蒙驁は白起と面識があったように描かれていたが、その頃には人が減っていたようだ。
最後に趙高が蒙恬に自裁をさせてしまうため、名のある将軍は居なくなってしまった感じだった。

韓、趙、燕、魏、楚、斉と敵国を滅ぼして行ったが、武霊王の育てた極力な騎馬隊のあった趙や楽毅のいた燕、廉頗のいた魏、広大な楚、管仲や孟嘗君のいた斉とが呆気なく滅んで行ってしまう様子は、それまで長らく保っていた秩序はなんだったのかと考えさせられる。
また、始皇帝が崩じたら一瞬で戦国七雄最後の秦までも消えてしまったのも不思議。

呂氏春秋が呂不韋の編纂とも知らなかった。これ以前の情報が焚書を逃れて発掘されるのを死ぬまで楽しみに生きていく。

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