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夜の蟬 北村薫 著 読書メモ

積読より。

なんか世代違うとは思うけど懐かしい雰囲気のする時代の日時系ミステリー。

自分の小さい頃ってまだ昭和の名残が各所にあって、記憶の断片にある。そんなものが思い出される本だった。
例えば、エアコンが一部屋にしか無いというのも、昔家族で海水浴に行った時の民宿にはエアコンが無くて、夜に寝苦しくて父と縁側で涼んだ思い出とかが蘇った。そういった不便の前提を知って便利を享受している感覚が主人公にあるのが良かった。

今回の本は安楽椅子探偵物。
探偵役は女子大生の主人公の敬愛する落語の師匠。師匠との邂逅については描かれてないが、ユニークな関係性。女子大生の抱える日常の謎を聞いただけで解き明かしてしまう。
噺家特有の人の心理を読み取るような推理。本屋さんでの謎、軽井沢の別荘の謎、姉の会社の郵送の謎。

中々面白かったが、変なノスタルジーで心が苦しい感じも味わった。

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