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苻堅と王猛 小前亮 著 読書メモ

久しぶりの中国史小説。
時代は三国志の後、司馬懿の後裔たちがせっかく統一した中華をまた内乱、群雄割拠の時代に戻してしまった。宋と似て北から異民族に圧迫されて南に漢族国家が押し込められてしまった。
この後、隋唐時代になるまで中華が分割された状態が続く。

主人公は苻堅。
氐族という漢族からしたら蛮族の盟主。王猛は漢族の優秀な人物。諸葛亮や管仲のような万能人物。
この2人が率いたのが後秦(始皇帝の秦と区別するため後がついてる)で、長安を首都としている。
他に後燕(鮮卑族)と南晋、後涼(両方漢族)が大きな国。

苻堅は、少数の民族であることから、国内に羌族、匈奴、あとで鮮卑族まで引き入れ、民族融和を達成した国を目指したとのこと。
これに共鳴して王猛が苻堅を補佐する。
結局は、王猛が先に没し、理想に陶酔していき自滅、滅亡してしまうことになる。

あまり、この時代を詳しく読んだことなかったのでかなり面白かった。
クライマックスの後秦と南晋の全面戦争は時代の大きな転換点として重要な場面だったし、面白かった。

この後の北魏の時代に作られる龍門石窟に昔行ったことあるけど、中国の仏教普及の黎明期だから非常に面白かった。今回も後涼が西域の窓口で仏教の先進地域っぽかったし、晋から優秀な僧を苻堅も長安に招いてたし。

部族の様々な問題が面白かったし、漢民族化して混ざって行ったりしたんだろなとか、色々な言語も昔は別れてたんだろなとか。
とはいえ、現在も中国は地域で言葉が違うみたいで、同一の漢族というのが無理あるとも言える。

この後、この本でも出てきた別の王朝立てる劉裕の本を読もうと思う。

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