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春秋戦国志 中 安能務 著 読書メモ

前巻の桓公と管仲による斉の最盛期の現出の続きだが、管仲の死をもって呆気なく瓦解。
桓公の遺骸が放置される始末。
宋襄の仁のアホな振る舞いやら、晋の驪姫の乱やら、重耳の何がそんなに凄いのか不明の2人目の覇王となることやら、百里奚を奪取して覇王となる秦の穆公と続いて、楚の荘王を持って、正直面白い諸侯は途絶える。
この辺は宮城谷さんの小説で読んだ内容が順序を統合してまとめてくれていて位置付けがあらためて理解できて面白かった。
晋が南北に分裂してたのはそういえば忘れてた。本家の方の歴史も知りたいなぁと思ったが史料残ってないのかな?

今回きちんと読めて良かったのは伍子胥と范蠡の流れ。優秀な政治家たちだが、楚、呉、越と怨恨渦巻く関係の中、彗星のような存在だった。
どうして各国のトップたちは客観的に見れば絶対おかしいことを平気でやってしまうのか。権力の魔力なんだろうなぁ。
伍子胥、范蠡、子産、晏嬰あたりは自分の危険を冒してでも主の滅亡に繋がる愚行を諌めたんだと思うと頭が下がる。
とはいえ、この英傑のいる間しか効果のない無意味なものだが。

一方で晋は既に六卿に政治が委ねられ、全く事情の違う政治形態になってたのは面白い。
恐らく下巻では一部主役となる秦国は非常に目立たなかった。穆公の勇躍があっても殉死する文化があり次世代に能臣が引き継げず、毎回リセットがかかるパスワードのないファミコンや初代ゲームボーイソフトのような状況になってしまっていた。

この著者も毛嫌いしているし、自分もあまり好きじゃない儒教の創始者の孔子が最後の方に登場するが、とにかく自信過剰かつ承認欲求の塊で、Twitterにいたらマジでなんども炎上してそうなヤバいやつだなと思う。子路との関係は広告塔とそれを操り利用する生臭さも感じた。
似てるなーと思ったのはヤバい活動家たち(孔子側)を励まして回って自分は利益を得つつ批判を受けないように発言を控えている、女性の壁とかやってた消滅寸前の政党党首(子路側)の関係。
本当に過激でリスクしかない頭のおかしなことは切り捨て可能な人間にさせて、自分は場当たり的に耳障りの良いことだけ言って人を騙せば良いという感じ。まぁ、一種のカルトだよなぁと。
儒教は既得権益者を保護し、格差を保存、押し広げることに向いた支配者に都合の良い生活規範を押し付ける宗教だと思う。
孔子が賢かったのは徒党を組んだこと。今Twitterで観察してる孔子に1番似てるなと思うワクチン政策に自信ニキな某獣医師なんかは、みんなバカだから自分の言うことが理解できないんだと一匹狼を貫いてるようだし、実際怖くて近づきたくないもんなぁと。そこは孔子は凄い。

さて、かなり面白い本作も後一冊。楽しみながら読もうと思う。

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