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ポジショナルプレーのすべて 結城康平 著 読書メモ

先日の麻雀本と同じく、趣味の知見を広げ視座を変えて、より楽しもうという試み。W杯前ということで、昨今の成功チームには欠かせないポジショナルプレー。とはいえ、正直よくわからん。ポゼッションサッカーと何が違うんだ?と思ってたので読んでみた。

まず、わかったのはポジショナルプレーとはコンセプトやwhyのようなもの。
サッカーに勝つには?という問いを歴代の関係者が突き詰めてきた結果、現在1番その答えに近づいているのがポジショナルプレーで表現される状態を実現すること。
その1つの手段としてポゼッションがあり、ハイプレス、ストーミングがある。
また、その状態を実現しやすくする基本配置を説明するために5レーン理論や偽〇〇、ゼロトップなどのこれまでに使ってきたコモンセンスな用語を活用した詳細なポジションの言語化があるようだ。

私個人はかつてのペップバルサに憧れて、カンプノウまで試合を観に行き、信じられない狭いスペースをドリブルで切り裂くイニエスタのユニフォームを買った。そして神戸に住んでいた時にまさかのイニエスタが神戸にやってきて、運命を感じ、神戸サポをやっている。
今では関東に転職してしまったが、かつては水Jホーム戦はほぼ、土日もしょっちゅう観に行っていた。

かつて神戸サポを1番ワクワクさせたファンマリージョ(ペップの師匠であり、神戸離脱後数年をペップの右腕としてアシスタントコーチを勤めた)の監督時代、同じ車両で進むと言う言葉が難解だったが、今回の本でかなり意味がわかった気がする。10人対10人がコンパクトに相対すことで初めて、剥がしたり、引き付けたりして決定的なスペースを生み出すことができるんだとわかった。

今シーズン限りで現役引退を発表した、前神戸でレノファ山口の渡部博文選手は神戸時代にポジショナルプレーに精通したリージョ、フィンクの両監督とリュイスコーチなど様々な人から吸収して、フェルマーレン不在時でも遜色ないゲームメイクを行っていた(フェルマーレンの左足からの正確な前線への高速パスだけは難しかったが)。
彼の所謂コンドゥクシオンというボールを持ち上がって相手のファーストディフェンダーを引きつけ、ズレを作る動きを徹底するのはすごかった。

彼も含め、ポジショナルプレーを効果的に行うにはセンターバックの多能化が求められて、フィールドプレイヤーの中でも最も重要な舵取りポジションになってきている気がする。サイドバックもセンターバックもMF的な能力が求められる時代になってきた。
神戸では、その点に不安が強く、逆に世界の強豪ではファンダイクやマティプをはじめとして目立つ存在になって来ている。

最近、また3バックをスタートポジションとするチームが増えて来て、J2では体感だが半分以上やってそうな印象を受けている。
私が中学時代のトルシエジャパンではフラットスリーとか言って3-5-2が流行っており、よくわからないけどそのフォーメーションをしていた。4バックより枚数が少ない分守備力下がるとアホな中学生は思っていたが、当然、守備時の形では5バック気味になったり、ボランチが1枚落ちて4バックになったり、プロでは当たり前にルール化している。

4バックだとあまりフォーメーションが試合中に組み変わることが多くなくわかりやすいのだろうと考えており、圧倒的な個の守備力で守り切れるファンダイクのような選手がいれば、攻撃偏重として前に1枚多く人数を割ける。
守備力とビルドアップの安定性を取るなら3バックでやる方が相手の前線の枚数を上回る人数で最終ラインでロンドが出来る。

そのような一長一短を悩みながら、神戸ではかつてフィンクが面白いサッカーを作って天皇杯を取っていたことを思い出した。

今後、もっと楽しくサッカーが観られそうで週末の最終節が楽しみになった。
また、機会があれば戦術論もアップデートしていきたい。

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