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霍光 塚本靑史 著

最近、推理小説欲で続けて読んでて、歴史小説に揺り戻し。

中国史の歴史の中で1つの輝かしい時代、漢の武帝の後半から。唐の玄宗と似ていて前半は輝いていて後半は暗黒期のような治世。
晋の献公も似てるかも。好色で長命な権力者にありがちなパターンなのかもしれない。

暴君の治世前半を華やかにした衛青と霍去病。彼らの大活躍で趙の武霊王時代以前からの懸案だった匈奴を撃退した。将来を嘱望されたその霍去病が夭折し、漢の軍事戦略は前時代まで後退する。
そんな中で本書のタイトルである霍去病の異母弟の霍光が登場する。
本としては盛り上がりどころが少ない権力争いの生存戦線。権力の興隆を極めた権力者が破滅するパターン。前から気になってた歴史的出来事、巫蠱の獄。これをフィクション含みだが、罪を創作し多くのものが連座した。その後も様々な事件が起こる。最後も結局は奢る身内に殺されるストーリーになっていった。自分を律する者だけが生きるストーリーという感じ。なんとなく物悲しくなった。
政策としては、結局桑弘羊には敵わなかった感じがして、彼の後継が育たなかったことで漢王朝は衰えていくんだなと思った。管仲から時々出ては消える重商政策。
かつて読んだ北方謙三の史記で楽しんだ世界観が頭にあるので、桑弘羊贔屓はしてしまう。

今回、後書きなどを見ていてこの人の作品は他にもこの時代近辺をたくさん書いているようなので読んでみたくなった。以前、始皇帝かなにかを読んだ気がするので、被りは気をつけつつ読んでみたい。

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