バイトが激務すぎてぶっ倒れたら店長に膝枕されてた話（飲食バイト編）

登場人物
店長（26）　26歳で飲食店の店長になり、半年。仕事第一で、普段はかなり厳しい。
僕（23）　バイト歴3ヶ月。人気の飲食店という激務の中、必死に頑張る。

（モブ店員のセリフ、忙しい様子）
「いらっしゃいませー！何名様ですか！」
「これ洗い物よろしくー！」
「はい12卓様出まーす！」
「誰かー！レジお願いしまーす！」

（店長が主人公に対して、キツめに）
「ちょっと君！これ仕込みもうないよ！今日の仕込み担当って君だよね？休日だから多めに作っといてって言ったじゃん！何回言ったら分かるの！しっかりしてよ！…あれ？君？ねえ、本当にしっかりしてよ！大丈夫！？」
（エコーかけて徐々に意識が遠のく演出）

バタッ

・・・

（以下、ヒロインのセリフ）

あっ、起きた。大丈夫？君、いきなりキッチンで倒れて…だから、バックヤードまで引きずってきて…大変だったんだよ？

（起き上がるSE）

ああ、仕事は大丈夫。もう閉店して、締め作業も終わったから。君、ここで2時間も寝てたんだよ？心配したんだから…。
え？わ、私だって、心配くらいするわよ。君、私のことなんだと思ってるのよ。

え、膝枕？いや！こ、これは、その、全然起きなかったし！硬い床で寝て、身体悪くして、シフトに穴あけられたら、さ、最悪だし…！
き、急に倒れられて！大変だったんだから！ただでさえ人少ないのに…。みんな、カバーしてくれたんだよ、みんなにお礼、言っといてよね！

…まあ、でも、ごめんね。今日は、特にキツい言い方しちゃったかも。ちょっといつもより忙しくて、私もカリカリしてた…、ていうか、正直焦ってた…。ううん！なんでもない！

ていうか、2時間も起きないってなによ！…もしかして、ちゃんと寝られてないの？昨日は？どれくらい寝たの？…えっ、3時間！？なんでそんな短いのよ！？…学校の、課題？…遅くまでやってたの？…そ、そう。…お疲れ様。
で、でも！ちゃんと寝ないとダメよ？少なくとも、6時間睡眠！…って、私もそんなに寝れないことあるけど…。

君、うち入って、3ヶ月…くらいよね。どう？仕事、慣れた？…そ、そうね、大変よね。料理の提供だけならまだしも、洗い場と、人が足りないときはドリンクも作ってくれてたよね。ほんと、いつも助かってるわ、ありがとう。

…うちさ、分かると思うけど、人、足りてないでしょ？…半年前までは、違う店長だったの。その人が、結構性格キツくて。みんな仲良しだったのに、1人、また1人と辞めちゃって。そんな中、半年前に、当時ここの社員だった、私が店長になったの。

前の店長みたいにはならないようにしようって、はじめはみんなに「大丈夫？」とか声かけとかしてたんだけど、あまりにも忙しくて…。だんだん、そういうフォローとか、回らなくなってさ。厳しい言い方しちゃうことも増えてきて…。ちょっと、前の店長の気持ちとか、分かっちゃうこともあって…。

私、やっぱり向いてないのかなって、考えちゃって…。なんか…、はあー、ご、ごめんね…。

…えっ。そう、かな。だって、私、今日も、君に強く当たっちゃって…。え…、うん。そっか。そう言ってくれると、うれしい。ありがと。

私、あんまり愚痴こぼせる人、いなくて。友達も、最近忙しくて会えないし…。だから、今日、正直、めっちゃ救われたよ。ほんと、ありがと。

って、ゴメン。私ばっかり。なんか、君には、たくさん愚痴っちゃっていけないね。なんでだろ。うーん。…もしかしたら、君の無防備な寝顔、見ちゃったからかな？ふふ。

…え、私の笑顔、初めて見た？そ、そんなこと、ないでしょ。でも…、たしかに、最近、あんまり、笑ってなかったかも…。

…ねえ、君の話、聞かせてよ。私ばっかり喋っちゃったから、今度は君の番。あ、できるだけ、面白い話ね？ふふ！冗談だよ。

ねえ。休みの日とか、何してるの？…へえ、そうなんだ。なんか意外かも。ううん、悪い意味じゃないよ。普段のバイトの姿からは、あんまり想像できなかったからさ。…あっ、ねえねえ！そういうの好きだったらさ、最近話題の…、そう！あれ良くない？…良いよね！私好きなんだ！ふふ！まさか君と趣味が合うとはなあ。

って、もうこんな時間！…明日も早いし、もう帰ろっか。え？も、もう！わがまま言わない！今日はもう帰るの！…でも、今日、君と話せて、楽しかった。嫌なことも、吐き出しちゃったけど…。…えっ、また膝枕？…うーん、じゃあ、また君が倒れたらね？って、冗談！ふふ！

…頑張りすぎないでいいから。困ったときは、周りも頼ってね。君の頑張りは、みんなも、私も、ちゃんと見てるから。

ま、毎日は、無理だけど、たまになら…。こうやって、二人で話す時間とか、作れると、思うから…。えっ、膝枕は…、うう、ほんと、たまーに、ね？

あっ、その時は、私の愚痴も聞いてね？約束だよ。ふふ！

（終）