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新型コロナウィルスを受け入れる産業体制を

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■経済活動を再開できる仕組みづくりを**

コロナウィルスはいつ終息を見るのだろう。
専門家の間では1年か2年は要するだろうという意見が大勢を占める。

しかし、その1年から2年間、自宅待機や休業を続けることとなるのだろうか?
その前に多くの中小店舗の経営が持たないし、国内消費や企業の生産性、企業間のやり取りにも大きく悪影響を及ぼしうる。

他にも、自宅にこもった老人たちの足腰は弱くなり、介護や認知症の問題も多くなるだろう。経済的に破綻者が増えると、自殺者数も相関して増えていくことが分かっている。

このように様々な疫病以外の深刻な問題が噴出する事となる。

目下、日本では「いかにウィルスを抑え込むか」に集中して様々な対策が打ち出されている状況だが、
「経済と防疫体制とのバランスをいかに取り持つか」を念頭に、
経済活動を再開できる仕組み、日本の経済構造のあり方に対して、早く方向性を広く周知する必要がある。

特に現在の専門家会議は疫病の専門家であり社会経済の専門家ではない。
早期に、経済産業を筆頭に様々な業界の専門家で構成された第二次専門家会議を設立し、
再開に向けたガイドラインを取りまとめる必要がある。

特にこの会議は迅速性が求められる。組織のしがらみがある官僚や、関係閣僚や政治家を含めるべきではない。あくまで第三者として法的拘束力を持たない提言として、国や自治体、生産従事者や消費者向けへ広報できるよう取りまとめるというものだ。

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■コロナウィルスの脅威のない元の社会には戻らない。
常にウィルスと隣り合わせという前提で、ポストコロナにおける新しい経済産業体制を構築すべきだ。**

現在、期待される解決の一手としてワクチンの早期開発が叫ばれている。しかし、「これですぐ解決できるだろう」という安易な楽観論を持つべきではない。

まず、ワクチンができるのは、通例1年以上かかってしまうことは周知の通りだ。

さらにコロナウィルスの特性上、人人感染にて変異していく傾向にあるため、ワクチンが効かない新しい変異体が流行することも考えられうる。

また、別の意見として皆が一旦罹患して集団免疫を付けることで、終息できるというものがある。
しかし一旦罹患したとしても、免疫が定着しなかったり再陽性となることが、中国、韓国、欧米でも同様に指摘されている。
つまり再度同じウィルスでの流行が繰り返される可能性があるのだ。

以上の事から、インフルエンザのように季節性の流行が繰り返されると予想する専門家もいる。

しかし注意すべきことは、そもそも温湿度に耐性があるウィルスであるため季節によって大きく終息が見られることは期待できないだろう。インフルエンザのように1年に数ヶ月期間限定で流行するものではなく、年中このコロナウィルスの感染と隣り合わせで、過ごしていかなければならないのだ。

加えて言うなら、自粛要請の結果、幸運にも日本にてひとまずの終息が見られたとしても、今現在、飛行機の国際線がほとんど飛んでいないように、海外との取引の再開にはさらに長期間かかるだろう。

今後、日本社会では、コロナウィルスにかかり易いところは避けるなどの行動様式が大きく変わると予想される。
結果的に、3密が重なるような店舗では、以前のような集客ができず、売り上げが減ったり、予防対策に関わるコストも上乗せされて、非常に苦しい経営状況を強いられることとなるだろう。

したがって、重要なことは、「元のあり方を前提として社会活動を再開すべきではない」ということだ。
長き将来にわたってコロナウィルスが常に身近にあるため、その事を前提に現在の産業活動・消費活動、経済構造の在り方を問うていかなければならないのだ。

緊急自体宣言の際に声高に喧伝された、終息後のV字回復を狙った景気刺激策では、そもそも終息ができない場合を想定していないし、単なる消費活動の刺激ではなく、防疫を念頭においた消費活動の構造的変革を目指すべきだと考える。

◼️防疫と経済、双方に軸足を置いた力強い消費生産活動とはいかなるものだろうか。

◯産業活動再開における防疫のガイドラインを示すべき。

3密のリスクがあると名指しされた飲食業業界では、客が忌避してしまい戻ってこない事も想定される。
安心して利用できるよう公式なガイドラインを示すべきだ。

◯今後、以下の公的仕組みを早期成立させ、民間の防疫体制づくりを促進させていく必要がある

認定…個人情報でのPマーク、食品製造におけるCACCP、その他ISOなどに類する認定資格を設ける。

法定…万一、クラスターが発生した事を想定して、入店者へは身分証の提示、店舗にはその記録、利用者からの保険所への通知を義務付けるなど。

ウィルスに感染するか、逆に拡げるような行動様式に罰則を与える法整備。
例えば、熱が出てクリニックで薬を処方された時から、2週間は外出時にマスク着用を義務付ける。コロナウィルス罹患の疑いのある社員がいた場合、事業者は保健所に報告する事を義務付ける。

許認可…新たに新規事業を始めるにあたって、必要最低限の防疫設備を設けているか、3密が重なる業種や建築主に許認可の判定をしていく。

補助金…換気を良くする空調機の設備を導入するにあたって補助金が使える。あるいは建物の空調設備の法定基準をより厳格にする。

その他、社会保険や税制などを組み替えて、防疫に資するもの及び罹患者への一定程度の補償なども考慮して、修正を加えていくべき。

◯日本版CDCの構築
厚生労働省とは独立した、防疫のみに集中して迅速に動ける中央で陣頭指揮する機関を設けるべき。

さらに、繰り返し押し寄せる流行の兆しを押さえるため、全国津々浦々、クラスターが発生してもきめ細かく対応できる地域の医師会や内科クリニック、保健所などとの統一的連携スキームを作り上げる。

管理体制にも強弱をつけ、高齢者が多く罹患リスクが高い医療機関、3密が重なり罹患を隠すなどのモラルリスクも高い、夜の業界などは徹底した管理対策を敷く。

◯スカイプなどを通じた遠隔で、これまでと同様に社会活動ができるよう推進活動や補助や通信・技術革新を推し進める。

これには、社内会議、取引先との新規折衝、ビデオ受講、飲み会、オンライン受診、3Dライブなどにて老若男女抵抗なくスムーズに利用できるようなコミュニケーションツールが求められる。

◯国による調査と公示
国勢調査と同じように、1か月に1回はLINEなどでのウィルス流行調査の実行。
流行状況を見て、行政区ごと四半期ごとに防疫の強化緩和を決めていく。
例えば、流行状況を見てイベント開催の人数の制限など。

日銀短観などと同様、流行情報の適宜公示を行う。

◯特に3密のリスクがある業界・業種・店舗への業態変更への支援。
中小飲食店へは出前体制が整うよう補助金、消費者へはクーポンなどの提供。

◯国内生産消費体制の強化
インバウンドや海外市場へ需要を求めるのではなく、国内の安定した消費力を確保していく。
海外からのサプライチェーン寸断リスクを低減するべく、国内生産体制を推し進めていく必要もある。

短期的には、主に南半球を中心としたさらなる流行が広がると考えられる。
穀物農産物の供給を担ってきた国々で生産活動や輸送の減少・中断、国家間取引の縮小などで、自給率の低い日本で食料の深刻な不足やコスト高が社会問題化することも起こりうる。

こういった防疫以外の事象にもどう対処すべきか、早期の第二次専門家会議の開催が望まれる。


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