マイ・ファースト・バーフバリ

バーフバリを初めて観たのは最近のこと。つい3週間ほど前だ。評判は前から聞いていたけど、なかなか観ることはできなかった。というのも忙しいからではなく、なんとなくネットで評判の作品はネタ扱いされているだけという先入観があった。インド映画にしても同じで、かつてニコニコ動画では踊りまくるインド映画が流行った時期があった。しかしそれは内容を褒めているのではなくてネタとしてウケるものだったからに過ぎない。だから『バーフバリ』がインド映画だと聞いて、ネタ映画なのかと思ったのである。

しかしなぜ私が『バーフバリ』を観ることになったのか。前にも書いたが、本能が求めたからである。「今これを観なければダメだ」という天啓があったのだ。私は「バーフバリのささやき」と呼んでいる。前情報は評判が良いということだけ。予告もキャラクターも知らずに観始めた。

これが見事に私の琴線に触れた。『バーフバリ』のストーリーは単純。親子二代に渡る英雄譚だ。英雄が暴君を退治するという内容。しかしそのストーリーに肉付けされた諸々の要素はまさに完璧だ。流れるようなシーンの繋ぎに飽きることはない。さらに随所に散りばめられた音楽はインド映画の良さをふんだんに演出していた。ただ踊るだけではなくしっかり意味のあるシーンに昇華している。戦闘シーンも見事。あの手この手でバトルを演出し、血湧き肉躍る。出し惜しみのない筋肉の狂宴。ワクワクせざるを得ない。巧みなCGも評価をしなければならない。全くごまかしていない正々堂々のCGの使い方だ。CGを手抜きなものだと見下すひとがいるが、この映画にCGは欠かせない。むしろCGによって映像が引き立てられている。この映画を観ればそれがわかるだろう。

すばらしいのは主演のプラバースと悪役ラーナー・ダッグバーティ。両者とも筋骨隆々のナイスガイであり一瞬たりとも無駄なところがない。プラバースは徹底的に英雄を演じていたし、ラーナー・ダッグバーティは無慈悲な暴君を貫いた。両者とも難しい役を演じきったことに拍手を送りたい。もちろん監督を含めた大勢のスタッフの努力の結晶であることも忘れてはいけない。

これから初めて『バーフバリ』を観る人は覚悟して観てもらいたい。決して気軽に観られる作品ではない。「完璧とはこういうことなんだな」というのがわかる絶対的名作である。「バーフバリのささやき」を受けた瞬間に視聴すればより楽しめるだろう。

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