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夢枕

13年前、私の義父が病気で亡くなりました。義父は当時8才の私の一人息子をたいそう可愛がってくれていました。息子も義父が大好きでよく遊びに行ったり、義父がうちに来てくれたりしていました。

義父の癌が発覚し入院してからも私達はよくお見舞いに行きました。段々弱っていく義父を見るのは辛かったのですが、孫の顔を見ると義父が元気になるのが私達もとても嬉しく思っていました。

その夏、もう死期が近づいているかなと感じていて、そろそろお見舞いに行っておこうと思い家族で病院に行きました。義父は痩せて元気がなく、我々もそろそろ数日以内かなと覚悟していました。

見舞いに行った夜の出来事です。深夜0時くらいだったでしょうか。いつもは夜9時に床に就くと朝まで起きることのない息子がガバッと起きてきてリビングにいた私のところにやってきました。

「おじいちゃんが僕に会いに来る夢を見たの」
義父のことが大好きだった息子は、見舞いに行った日だからそういう夢を見たのかなと私は思っていました。

「おじいちゃんも今日ひかくんが来てくれて嬉しかったんやね。さあ、寝なさい」

そして家内は息子を寝かしつけに寝室に行き、再び息子が眠りについたら家内はリビングに戻って来ました。

それからしばらくたった時です。家の電話がけたたましく鳴りました。この時間に携帯が鳴ることは私の場合はあるのですが、家の電話が鳴るのは余程のことがない限りありません。
もしや?と私達は顔を見合わせ、家内が受話器を取りました。

案の定それは、義母から義父の死を告げる電話でした。

亡くなった時間は、息子がちょうど義父の夢を見たその頃です。
義父は息を引き取る時、私の息子に会いに来てくれたのでしょうか。

夢枕という話はありますが、何故そうなのかはよくわかっていないそうです。でも息子は現実にそれを体験したのです。

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