見出し画像

#7 ビジネスアーキテクチャって何だ?

7回目の今回は「DX推進スキル標準」に定められている以下のテーマから、「ビネス調査」「ビジネスモデル設計」の仕事内容を検証していきます。
(サブカテゴリー:戦略・マネジメント・システム)
 ・ビジネス戦略策定・実行 ⇦#4で仕事内容を検討済
 ・プロダクトマネジメント ⇦#5で仕事内容を検討済
 ・変革マネジメント ⇦#5で仕事内容を検討済
 ・システムズエンジニアリング ⇦#6で仕事内容を検討済
 ・エンタープライズアーキテクチャ ⇦#6で仕事内容を検討済
(サブカテゴリー:ビジネスモデル・プロセス)
 ・ビジネス調査 ⇦今回ターゲット
 ・ビジネスモデル設計 ⇦今回ターゲット
 ・ビジネスアナリシス
 ・検証(ビジネス視点)
「ビジネス調査」といって幅広く、それを捉える立場で様々な意味を持つと思います。IPAの「ビジネス変革」の説明には、
「社会課題やビジネスのメガトレンド、業界の市場規模や成長性、事業・プロダクト・業務の成功要因や成長課題を把握するスキル」
と示されています。つまり一つ目は、国際経済の流れ、最近では温暖化やゼロカーボンといったものやウクライナや中東における紛争などですね。2つ目はマーケットの状況であり、3つ目が自社のビジネスのあり方となります。それらが密接に関係しあいビジネスを構成しているわけです。これを別の言い方をすると、「ビジネスのエコシステム」と言います。まさにビジネスを実行する生態系ということですね。この生態系の変化を理解して、順風、逆風を判断し”今”何をすべきか、成功するためにどうすれば良いのかを、考えるのが「ビジネス調査」というスキルになります。
これもなかなか大変なスキルだと思いますがいかがでしょうか。でもこの命題をどのようにクリアにして行くかは、世の中には明確な方法論がありますのでそれを学んで実践すればいいということになります。
さて次は「ビジネスモデル設計」のスキルです。IPAのスキル説明には「成功要因や成長課題から、製品やサービスの目的やビジョンを策定するスキル」「コスト構造、チャネルを整理した上で、収益モデルなどを検討し、収益を上げる仕組みを設計するスキル」と説明されています。こちらの方は日ごろバリバリやっている方もいらっしゃるかと思います。
6年ほど前からよく使われているのが「ビジネスモデル・キャンバス」と呼ばれる、フォーマットを使った手法です。➀顧客セグメント ②顧客との関係 ③チャネル ④価値提案 ⑤主要な活動 ⑥リソース ⑦パートナー ⑧コスト構造 ⑨収益の流れ の9つの項目に所定事項を記入することで、ビジネス全体の骨格を表現することができる優れものです。今やポピュラーな手法となっていますので、検索を掛けると山ほど例と説明が出てきますのでご参照ください。ただ、このフレームワークにはリスクを検討する項目がないので別途検討することを忘れない用にしてください。
また、9つの項目の内もっとも記述するのが難しいのが⑤の価値提案になります。どのような価値を顧客に届けるビジネスを展開するのか、これがビジネスモデルの”キモ”となるのは間違いありません。これのアイデアをどうやって絞り出すのかが成功するビジネスの勝負所になります。
アイデア出しに関しては、「ビジネスモデル・キャンバス」と同様に「バリュープロポジション・キャンバス」というフレームワークがあります。これも。かなりポピュラーになってきていますので、検索して説明を読んでみてください。
バリュープロポジッション・キャンバスは右に3分割された大きな丸があり、➀顧客が解決したい課題 ②顧客の悩み(Pain ) ③顧客の利得(Gains)があります。これに対して、左側に3分割された大きな四角があり、④製品やサービス(Products&Services) ⑤顧客の悩みを取り除くもの(Pain Receivers) ⑥「顧客の利得をもたらすもの(Gain Creators)を記入する欄があります。当然➀が最重要な項目なのですが、これを導くために②や③を掘り下げて考え、②や③を実現するために、⑤や⑥がどうあるべきかを考えます。その結果顧客を満足する④のプロダクトやサービスが明確になります。
この2つのキャンバスを利用することでビジネスモデルをある程度論理的(ロジカル思考)に作り出すことができます。ただしそのスタートであるあるアイデアは「デザイン思考」を駆使したアプローチが必要になります。デザイン思考についてもネット上にたくさん解説が出回っていますのでそちらをご参照ください。ここでは簡単に触れておきます。
デザイン思考はデザイナーが顧客の要求を受け入れて行う仕事を模して実施する方法論です。デジタルの世界で言えば、顧客のニーズを基礎として既存の製品やサービスを進化させることを考える場合に有効なアプローチです。
デザイン思考にはプロセスがあり、➀共感(ユーザーが何に共感するかを掴み真の要求を探り出す)②定義(ユーザー要求からニーズを定義する)③概念化(定義したユーザーニーズを実現するアイデアやアプローチ手法を詰める)④試作(アイデアを確かめるために試作を行う)⑤テスト(試作品を評価しフィードバックし、試作の精度を高める)
デザイン思考は既存のプロダクトやサービスを基本に顧客との共通理解を図りながら、協力してイノベーションを獲得していくという行為です。したがって全くのゼロベースで新しいビジネスを立ち上げようとするには、少し弱い面があります。そのような時には一挙に思考をジャンプさせる「アート思考」を用いることを検討します。
次回は「ビジネスモデル・プロセス」カテゴリーのビジネスアナリシスと検証(ビジネス視点)について考察していきますのでご期待ください。特にビジネスアナリシスについては、筆者の得意フィールドなので私も楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?