おっさんずラブin the skyは自分勝手なおっさんたちの三角関係。

最近、おっさんずラブin the sky(以下ITS)を見たので一応当事者である私の感想を置いておきたいと思います。無印は大好きで劇場版もとても面白かったです。

○無印とは別物なのにオマージュや無印臭わせがすごい

そもそも牧がいない世界なのに主要人物の名前は同じ。この時点で無印ファンからしたら感情移入がしづらく、すでに作品中で幸せに結ばれたカップルの片方が違う相手を好きになり悶々としている姿を見せられる。性格は多少差があるが、主となる部分は変わっていない。

更に酷いのが今回のヒロインである千葉雄大演じる成瀬が、牧凌太のセリフ「早く行けよ!」をオマージュしたり、節節に牧を思い出させるような演出があって、とても不愉快になる。別物として描きたいのではなかったのか。


○登場人物のストーリーに面白みがまったくない

恋愛面はひとまず置いておいて、そもそもの主軸となるストーリーが全然面白くない。恋愛メインなのはいいが、特に学校の職場体験のシーンが長すぎる割に、成瀬が子供嫌いで子供にブチ切れるシーンとか、シノさんの息子再開までの葛藤がありがちな上に長い。
意外性が無いので飽きる。

というか、in the sky要素が全く無い。終始in the airport
(ラストにおまけ程度のCGで搭乗)

○恋愛はキレイな三角関係

春田は成瀬が好きで、成瀬はシノが好きで、シノは春田が好き。
誰も得しない構図であり、シノが言い寄ってくる成田にキレてしまうシーンはなかなかしんどいものがあった。
だがしかし、
こんな昼ドラ的おっさんずラブを見たかったわけではない。

○好きになる理由が不明

これに該当するのは3件
①黒澤→春田
②春田→成瀬
③春田→黒澤
①は無印の名残で無理やり黒澤は春田が好きってことにしたかったのだろうが、入社して間もなく好きはあまりにも不自然で感情移入しにくい。
②については全く描写されておらず、制作陣曰く「キスされたから」
 いや、適当すぎでしょ。確かにそんな恋の始まりもあるかもしれないが、見る側にとってはあまりにも唐突で、感情移入が全く出来ない。
③はラストを飾った春田から黒澤へのプロポーズ。いつの間に?え?成瀬からどこでキャプテンにシフトチェンジしたん?見てる側からすると、周りが結ばれていって最終的に残った黒澤に行ったようにしか見えない。

○黒澤杯も面白くない

節節にあった黒澤杯がただのパワハラ。
セクマイであるシノ、成瀬の「好きな人」を立場を利用して白状させようとするのが見てられない。自分勝手すぎる。

○人物に魅力がない

ただのおせっかいな春田、自己中黒澤、悪い意味であざとい成瀬、行動に起こせないシノ
魅力が無ければ、話も盛り上がらない
無印版では、牧の想いに困惑しながらも寄り添おうと努力する春田、自分を犠牲にしてでも春田に幸せになってもらおうとする牧、最終的には元夫である武蔵の恋を心から応援した黒澤蝶子etc...全員がそれぞれ魅力的だった。

○女性陣は良かった

緋夏と春田の別れ際のシーン「その優しさが私を傷付けました。」はシンプルで鈍感な春田にも分かるように、彼女なりに伝えたのがとても良かった。
女性CAである根古の春田に対するツッコミもまあまあ面白かった。ゲイへの理解も○

○まとめ

無印版が恋愛映画としたら、今作は昼ドラ。
それなのに無印と同じコメディをふんだんに盛り込んだせいで、脳内が追いつかない。「好きになる」という描写も非常に少なく、感情移入もしづらかったので、面白くもなければ、感動もしないという残念な仕打ち。
林遣都にS2を断られたのでパラレルワールドにしたのだろうが、こんなものは作らず、数年後また続編でも良かったはず。
(イメージ固定を懸念して断ったらしいから林君も時間が経てばokしてくれるかもしれない)

もしokがなかったとしても、ファンからしたら劇場版で終わりで良かった。
パラレルで作るなら、全キャスト全設定一新で良かった。
本当に最初から最後まで何がしたいかよくわからない作品でした。

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