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誤用の一般化とメリーの『エバ』

就寝前、私はいつものようにYouTubeを漁っていた。

0時を回る頃、私はとある動画を見つけた。

そういえば、メリーのエバって1000万再生達成したんだよな・・・

なんて思いながら動画を再生し、驚愕した。

エバの大サビのラスト「ヘイヘイ平々凡々」の「凡々」。

正しいアクセントは「凡 ↓ 凡 ↑」ではなく「凡 → 凡 →」なのである。

大変恥ずかしながら、ついさっきまで私は「メリーのエバ」しか知らなかった。

ちょうど1年前、当時あまり知らなかった「にじさんじの新人さん」が、ちょっと前に投稿していたこの曲を聴いた時、全身が震えた。

その日、私は急いでメリーのファンになった。

夜に駆けるも、レッド・パージも、エンドロールも、みんなみんな、数えきれないほど聴いた。

エバも、脳に染み込むほど聴きこんだ。

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さて、先ほど各歌い手さん・VTuberさんが歌ったエバを聴き比べてきた。

問題のラスト、ほとんどの人が「凡 → 凡 →」と歌っていた。

本家エバにも行ってきた。

「凡 → 凡 →」だった。

従来の「凡々」は「凡 → 凡 →」だったのだ。

では、メリーのエバの「凡 ↓ 凡 ↑」は、誤った「凡々」なのだろうか。

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日本語には、誤った意味のまま一般化・浸透しつつある言葉がいくつもある。

確信犯、姑息、話のさわり、役不足・・・

最近では、こういった誤用がそのまま辞書に載ることもある。

まるで、モノマネが世間に浸透し、本物同然と認識されるように。

メリーによって「アレンジ」されたエバは、世間になじむ中で、いつしか「ホンモノ」のエバとなったのだ。

絶大な人気を博し、果てには1000万回以上聴かれた「凡 ↓ 凡 ↑」は、我々の中で一般化したのである。

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「凡 → 凡 →」「凡 ↓ 凡 ↑」も、どちらもホンモノ。

この1時間で、私はこのような結論に至った。

皆、試行錯誤を重ね、ようやく各々の「凡々」にたどり着いたに違いない。

形が違っていようが、それは努力の結晶であり、賞賛の対象なのだ。

こうしてスッキリした私は、この記事を投稿し、眠りにつくのであった。

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