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行きつけだった中華料理屋がなぜ潰れてしまったのか?をフェルミ推定で考察する


週次連続投稿3週目です(ちょっと遅れて火曜投稿です)。今回は、私が日常生活を過ごす上で感じた疑問の答えを丁寧に解消する試みを記録します。お題は表題の通り、

「行きつけだった中華料理屋がなぜ潰れてしまったのか?をフェルミ推定で考察する」です。
なんとどうでも良いお題でしょうw でも僕がすごく気になっていたので備忘としてnoteにしました。

中華料理屋さんについて

千葉県のとある街の僕の家から徒歩2分くらいの距離にある中華料理屋さんで、比較的安価な価格設定に加え、レバニラと油淋鶏がとにかく美味しいです。お昼とか夜とかにちょくちょく行っていたのですが、その度にお客さんは入っていたので、人気が全くないわけではなかったです。また、駅から3~5分くらいの距離にあるので、立地は悪くない条件です。
※以降中華料理屋のことは「例の中華屋」と記載します。

去年末くらいからいきなり休業状態になり、最初は「年末店長さん母国帰っているのかなぁ」とも思ったのですが、その状態が今や3ヶ月以上続き、閉店ほぼ確定なのでは?状態です。(休業に関しても、閉店に関しても通知するものは今のところない)

今回検証するもの

割と雑めにいくつか仮説を設定しています。

① 廃業(財務的要因): 財務的に厳しい状態で、閉店を選択した。もう一生あのレバニラを食べられない最悪のシナリオ
② 移転 (ビジネスチャンス的要因):財務的に好調で、より条件の良い立地のお店へ移転した。お店さえ見つければまたレバニラが食べられる
③ 一時休業(その他特殊要因):個人的な要因などで一旦お店を放置している状況。待てばいつかまたあのレバニラが食べられる

めっちゃ雑めな仮説ですが、今回はフェルミ推定的に例の中華屋の財務状態がどうだったのか?を推定し、悪ければ①、良ければ②、どちらとも言えなければ③ということで検証をしたいと思います。
センスは多分ないので、コンサル出身の方はここで記事をすっと閉じてくださると嬉しいです(冗談)

中華料理屋の財務状況をフェルミ推定

まずは一番大事な因数分解。今回は月間のPL(売上と費用の差分)をざっくりと推定します。

ここで躓いたら全てが無に帰す重要な因数分解ですね。そして今回推定するのは粗利益と費用。それぞれ作ってみました。

粗利の部
客数×客単価が基本ですが、切り分け方で2つの因数分解が想定されます。
A. マーケットにおける業種シェア・業種内ブランドシェアからの推定
粗利= 特定商圏の人口 ✖️ その中華料理屋に行きたいと思う率 ✖️ 客単価
B. 安定の回転率による推定
粗利 = 席数 ✖️ 回転率 ✖️ 客単価

費用の部
こっちは分岐はなさそうなので、1パターン
人件費 + 材料費 + 諸経費(家賃)

さて、粗利の部ですが、AとBどちらの切り方が適切なのでしょうか?
僕的には、その店舗の戦略やビジネスモデル的に適切なほうを選びたいので、 Aを選びました。
なぜかというと、Bの分解は「どれだけの顧客を裁くことができるのか?」を主論点に置いた考え方がであり、例えば原宿にある超人気スイーツ店や喫茶店では有効ですが、顧客の流入が安定的かつ十分確保できているかわからない今回のケースには適切ではないと判断しました。
一方で、Aは「特定商圏内におけるシェア」を主論点としており、その商圏内でいかに認知度とリピート率を高めるか?などがこのお店の主要戦略になりそうだったので、Aの方が適正な方程式であると見積もりました。

粗利の推定

①特定商圏の人口
これはものすごくザックリとですが、計算できます。
皆さんは近所のお店って大体どのくらいの距離まで許容しますか?
政府が出している統計で、僕が住む付近の町は人口密度が120人/ha 以上の区域であることがわかっているので、ざっくりと人口密度は120人/ha として、例のお店は駐車場がなかったので、徒歩5分程度で行ける半径250m圏内の人口が商圏の人口とします。そうすると、商圏面積は196,250㎡ になるので、商圏内の人口はおおよそ2,500人になりました。(厳密には2,355人ですが、計算しやすくするために丸めます)
※ha = 1万㎡

②その中華料理屋に行きたいと思う率
これは結構難しい予測になりますが、めちゃくちゃちょうどいい調査データが見つかったので、これをそのまま使います。
以前の記憶ですが、例の中華屋の顧客は9割以上が「男性&30-50代くらい」でした。主な顧客層は彼らで、頻度はおそらく月に1度のちょっとした贅沢くらいの間隔で来店しているとします。
私の住まいの人口統計を見ると、「男性&30-50代くらい」は全体の20%くらいだったので、商圏内の20%くらいの人が月に一度そのお店に来ると推定します。
そうすると客数は大体520人/月で、日当たり17人、営業時間当たり2.5人と割といい線行っていそうな人数になりました。

③客単価
これはシンプルに、お店のメニューを使用して推計します。大体お昼の定食は800円程度、夜のメニューはお酒をつけると1,500円くらいになりそうなので、営業時間の加重平均を使って、11時~14時(3H)+ 17時~21時(4H) で計算しますと、1,200円/人 になりました。

これらを合わせると、例の中華屋の推定年商は640万円くらい、推定月商は53万円くらいになります。

費用の推定

こっちは結構雑めに出しました。

①人件費
お店は店主と店主の奥さんと思わしきツーオペで回していて、その他の店員さんはいなかったです。なので給与としてではなく、大人2名のおおよその生活費を人件費とします。中華料理屋なので食費はほぼかからない(笑)として、2人で家賃抜いて20万弱/月を生活費とします。(参考

②材料費
中華料理屋の原価率は一般的には20%くらいといわれているので、月商を使っておおよそ10万円くらいが材料費(原価)と推定されます。

③諸経費(家賃)
備品などの支払いは一旦ないとして、基本的には店舗の家賃が経費になるのですが、ググってみたら、うちの近くは駅近ということもあり、結構店舗のテナント賃料が高かったです。大体18万円くらいでした。

PLの推定

上記を整理すると、月間のPLはこんな感じ

めっちゃ雑ですみません。

なんと税引き前営業純利益は4.6万円と、大学生のアルバイトくらいの資金しか残らなかったです。さすがに厳しく計算しすぎた気がしますが、日当たりの客数も大体あっていて、原価や経費もそんなにぶっ飛んだものは使っていないので、おおよそあっていそうです。

結論と推定を通じて見えてきた店舗戦略の提案

結論

まずは結論ですが、仮説①の 「廃業(財務的要因): 財務的に厳しい状態で、閉店を選択した。もう一生あのレバニラを食べられない最悪のシナリオ」が尤もらしそうです。
あのレバニラはどこに行っても食べることはできないのか、、、
非常に残念ですが、私の推定が外れていることを切に願っています。

店舗戦略の提案

店長さん。時すでに遅しかもですが、もしこのnoteを見ているとしたら、ずぶの素人の私からいくつか提案があります!!

①ターゲット層を増やすための取り組み
まずは商圏内の20%しか顧客にならないのはかなり厳しいと思います!
顧客のうち9割が30-50代男性なのはおおよそ間違っていないはず、、!(いても60代以上男性)

仮に駐車場を併設して商圏をもう少し広げたとしても、広がった商圏の20%しか顧客にならないのですもの!
しかも広げた商圏に対しては一定の広告費用も掛かることから、投資効率が良くないことが目に見えてわかります。

試しに駅の反対側にある長いことやっていそうな中華料理屋を調査してきました。そしたら、味は例の中華屋の方が格段上でしたが、店に賑わい方は段違いでこっちの方が上でした。
客層を見ると、あなたの店舗では一切見たことのない主婦や子供連れがたくさんいました。町内イベントに参加してみたり、もう少しヘルシーなメニューを増やすなり、ビールとチューハイ以外のこじゃれた酒類のメニューを提供するなどして、主婦層及び家族連れの顧客層を獲得しましょう!!キッズメニューもあるといいかも!

商圏を広げるための取り組み
①が最優先ですが、どう考えても商圏が狭すぎる気がします!!チャリを考えるともう少し広がるかもですが、徒歩10分以上歩いてまで中華料理を食べようとは中々思わないはずです。

駐車場を併設するか、併設できる土地へ移転しましょう!!
駐車場を併設すると客単価の高い酒飲み顧客が来なくなることが心配されますが、正直このあたりはベッドタウンで、思ったよりも酒の席の会場にはなりにくいと思います。土日はきっと家族で過ごす人がほとんどだし、仕事終わりにわざわざ仕事場近くではなく、自宅近くの飲み屋に行く人は稀です。
極めつけは、近くの某ファミレスはおっきい駐車場を併設しているから、結構お客さん取られていると思いますよ!

③チャネル開拓の提案
今はおそらく来客人数が2.5人/時 と見受けられるので、正直厨房や席が手あまりになる瞬間がありませんか?だとしたらデリバリーやお弁当販売など、チャネルの開拓をやってみましょう!とくに後者はアプリ画面を見る限り、結構勝ち筋のあるマーケットだと思います。某ファミレスくらいしかないので、さすがにおいしさでは手作りのこっち側の方が優勢なはず!!
一応デリバリー→実店舗 への誘導もできると思うので、客数増加にもつながるはず!!

以上。

この記事について

タイミーで事業管理をしている福島が日々感じたことから思考を巡らせ、備忘していき、学びを積み上げていきます。あんまり業務に関係ないこともつぶやきます。
「オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしていて週次でnote更新をしているSho1さん」をリスペクトしているので、僕も見習って週次くらいで更新し続けたいなと思っています。

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