美容室業界を席巻しているHOT PEPPER BEAUTYを褒める
家の近くに行きつけの美容室があるのですが、店長がとても気さくな方で、店舗経営のポイントをいろいろ教えてくれました。話を聞いていくと、店舗経営をするにあたり、HOT PEPPER BEAUTYががっつり美容室業界に入り込んでいたので、市場環境をざっくりまとめつつ、ひたすら褒めるということをします。
美容業界の理解を深める
美容業界の想定市場規模
HOT PEPPER BEAUTYが公開している情報を見てみると、美容室業界(ヘア)はおおよそ1兆円強という巨大業界となっています。※人口×利用率×客単価×利用頻度 で計算しているとのこと。
めちゃめちゃ特定のデモグラの人口に左右されそうですね。
美容業界の競争環境
色々調べたら美容室の店舗数のデータがありました。これを見ると少なくとも2021年くらいまでは店舗数はずっと伸び続けていることがわかります。対して、美容院を利用する人口はおそらく若年層の人口と比例するので増えておらず、ここ数年で顧客の取り合いはより激化していることでしょう。
美容室のPL
中小企業庁が公開している情報を見てみると、美容室業界の平均の営業利益率は11%程度、資産回転率が1.8と、高利益、高回転なビジネスなことがわかります。費用のほとんどを占めているのは人件費と家賃含めた設備費用でしょう。これら固定費が費用分の多くを占めていそうです。
Profit側の構造を考えてみましょう。
基本的には、席数(美容師数)× 回転数 × 客単価で収益が形成されています。
顧客獲得の戦略
美容室の店舗戦略の特性として、新規獲得が非常に重要であることがあげられるでしょう。どんなに高頻度な人でも月に1回程度美容室に行くとして、お得意さんを一人獲得しても、多くて年間12回くらいしか来店しません。お得意さんを数十名取ったとしても、席数を営業時間中フルで埋め尽くすのは難しいです。
また、お得意さんをせっかくとっても、学生さんが都内の大学に入学したり、転勤したりで年間で一定割合の離反が必ず発生します。お得意さんだけでお店を回して持続的に成長するのは不可能なので、定期的に新規顧客の獲得と、お得意さん化をしなければいけません。
これは逆を返すと、特に3月とかが活況ですが、常にその地域に潜在顧客は流入し続けているので、潜在顧客を堅実に刈り取ることで、継続的な収益拡大をすることができるでしょう。
美容室の新規顧客獲得チャネルで最もメジャーなものは何でしょうか?
恐らくHOT PEPPER BEAUTYなどのネット媒体でしょう(近年Instagramも伸びていますが、まだまだメジャーなのはネット媒体なはず)。
ということで、その中でも最もメジャーなサービスであるHOT PEPPER BEAUTYに関して調べてみました。
HOT PEPPER BEAUTY の理解を深める
HOT PEPPER BEAUTYの価格帯
HOT PEPPER BEAUTYは、大きく4つの価格プランを設定しています。また、その価格は地域によっておそらく異なるダイナミックプライシングモデルを採用しており、青山など美容室が超絶集中しているエリアが最も高いでしょう。
また、高いプランほど検索上位に表示されるようになっており、プランごとにカットサロンページのカスタマイズ性が異なっています。検索順位は人気順のように見せかけて、課金金額順になっているみたい!
※ちなみに行きつけのサロンはTOP写真が4枚以上あったので、プラチナか、バリューのどちらかでしょう
また、このプランのうち、上位プランから順に表示されるということで、特定エリア内の上位プラン率が高いほど、そのエリアで上位掲載を取るためによりハイグレードのプランに契約しないといけないというアップセルする気満々の設計になっています。
よくできているなぁ
※アップセル:既存顧客に対し、より上位の商品・サービスを提案して顧客単価をあげる戦略。
ユーザーはほとんどHOT PEPPER BEAUTYを使って美容室を探している
以下が月間ユーザー数なのですが、ユーザー数はやはり圧倒的にHOT PEPPER BEAUTY が多いですね。というか美容室業界の顧客ほとんどが利用しているくらいの高水準な気がします。楽天は経済圏全体の人数で、ユーザー向け広告はそこまで力を入れていないことから、1000万人もいっていなさそう。
ユーザーのほとんどがHOT PEPPER BEAUTYを通じて検索していそうなことを考えると、ネットでの集客を考えたときに、美容室はここへ掲載をせざるを得ないほぼ寡占状態になっていそうですね。minimoというサービスは最近顧客満足度No.1になったらしいですが、人数は到底及ばない水準なので、広く宣伝をしたい美容室にとってはやはり必要不可欠になっていそう。
HOT PEPPER BEAUTY:3,500万人
楽天ビューティ:1億人*楽天会員数全体のため、過大
minimo:500万人
エキテン:860万人
多分HOT PEPPER BEAUTYではアップセル戦略が主要戦略
市場環境的には、HOT PEPPER BEAUTYではアップセル戦略が主要戦略になっていそうです。
新規顧客などは、もちろん営業活動はしつつも、ネットで集客するならHOT PEPPER BEAUTYの導入はほぼMust と言っても過言ではない状態なので、ほおっておいても新規顧客は入ってきそうです。
それよりも、ほぼ寡占状態であることを活用して、より上位の検索順位となるためのプラン更新を特定エリア内で繰り返し行わせ、地域全体の平均的な単価を高めることで売上拡大をしていることが考えられます。
また、アップセルを顕著に感じた部分としては、スマート支払などのさらなるアップセル商品の推進があります。
ユーザー向けに今年の3月末までキャンペーンをやっていたみたいで、これはHOT PEPPER経済圏内で利用できる決済方法のことなのですが、これも利用した場合には支払金額の数%がクレジット手数料としてリクルートHDに入ってくるようになっています。使ったことはないですが、スマート支払をするとカットの後の決済が必要なくなるので、意外と便利らしいです。利用者に利便性を提供しながらも収益を稼いでいくのがとてもうまいですねぇ。
会員数・掲載数が多いこと自体が相対する顧客にとって「使い続ける理由になる」ことが2サイドプラットフォームビジネスの面白いところ!!
楽天ビューティーなど、他社サービスもほとんど同じような機能を提供しているのですが、売上規模は圧倒的にHOT PEPPER BEAUTYが格上です。
この圧倒的競争力を支えているのは、圧倒的な会員数と掲載数でしょう。僕ら消費者はポイントがもらえるとか、美容室の数が圧倒的という理由でHOT PEPPER BEAUTYを通じて美容室を探しています。ポイントは他のサイトでももらえますが、掲載されている美容室の数もいっぱいあるHOT PEPPER BEAUTYが第一想起されるわけです。
また、美容室側も圧倒的に会員数が多いHOT PEPPER BEAUTYで集客するのが一番効果が高く、高い掲載料金を支払ってまでこぞって掲載をしているわけです。
2サイドプラットフォームビジネスの面白いところは、この圧倒的な会員数、掲載数自体がそれぞれ相対する顧客にとっての使う理由になることですね。タイミーでも同じような面白さを感じています。
この記事について
タイミーで事業管理をしている福島が日々感じたことから思考を巡らせ、備忘していき、学びを積み上げていきます。あんまり業務に関係ないこともつぶやきます。
「オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしていて週次でnote更新をしているSho1さん」をリスペクトしているので、僕も見習って週次くらいで更新し続けたいなと思っています。
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