エウレカについて

気になっている人もいるかもしれないので
このテーマについても書こうと思う。

10年前、雇われデザイナーだった私は売る為のモノ作りに疲弊していた。

もっと自分が楽しめる主観的なことをやろうとMAISON EUREKAを立ち上げてからしばらくは、やる気と希望に満ち溢れていた。

人や環境にも恵まれ、ブランドは順調に成長していった。

ベルリンで長谷川聰と撮影したショートムービー


目まぐるしい日々が過ぎ、どんどん勢いは増して行く一方で徐々に何か薄っすらと矛盾みたいなものを感じ初めた。

5年もたった頃には漠然となんだか楽しめていない感覚。責任感や義務感みたいなものが私を突き動かしている?やりたいことってこう言うことだったっけ?と自問自答していた。

そんな中、世界的パンデミックが起こる。
展示会で帰国中にドイツがロックダウン、日本滞在中に緊急事態が宣言された。何とか展示会はやり終えたが、その直後に混乱は強まりほぼ予定をキャンセルし、フライトを1ヶ月前倒してドイツに戻った。

ここから2年に渡るお籠もり生活が始まる。

次の展示会はロックダウン中。帰国せずにサンプルアップから撮影まで全てをリモートでディレクションし展示会に望んだが、これには本当に骨が折れた。

ここでようやく、一旦休もうと決めた。

これまで心の中にモヤモヤしていた気持ち vs 責任と義務感の葛藤に自分の中で一旦折り合いがついた。

ブランドを支えてくれている人たちの顔がちらつき、申し訳ない気持ちはあった。

でも何のためにやってるんだっけ?
人のためなんておこがましい。自分の生きる術であり、自分の思い描くブランドをやりたかったのに、今それができないなら一旦立ち止まってもいいじゃないか。

コレクションはそれから2年発表していない。

しかし昨年、仲の良い友人がオープンするお店のユニフォームの依頼を受けたのをきっかけに、コラボレーションとしての活動は再開している。他にも、尊敬するデザイナーさんからのありがたいお声がけもあり、MAISON EUREKAとのダブルネームとしてこれから世に出ていくアイテムがある。
(いずれも発表はこれからなので詳しいことは割愛する。)
友人の依頼で初めてウェディングドレスのデザインも手掛けた。

無理に気張ってコレクションを発表し続けるよりも、これくらいのペースが今の私にはちょうど良い。
ちゃんと必要としてくれる人に向けて仕事ができている様な気がして、とてもありがたい。

私の幸福感は増している。


友人のためにデザインしたウェディングドレス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?