掌編「運試しうんこ」@爪毛の挑戦状
「今日は、おれが最初に行く」
「えー、トシくんずるいよ。昨日もだったじゃない」
「もし金色が出たら500円で売ってやるよ」
「早いほうが有利なわけでもなさそうだよね」
「ねぇねぇ、早く行かないとなくなっちゃうかもよ」
自販機の陰で、黒ランドセルたちが作戦会議をしている。
別の黒ランドセルたちが、店から出てきた。「あークソ、緑色は持ってるんだよなぁ」
「ぼく、ピンク5個目だよ」
「ほんとに出んのかよ~」
入れ替わりで自販機の陰の黒ランドセルたちが店に入っていった。
店の奥では、赤ランドセルたちがキャッキャッと楽しそうに話しながら もんじゃ焼きを囲んでいた。
「あー!神様!今日こそ絶対に…」
固唾を飲んで順番に挑戦していると、茶色いランドセルが店に入ってきた。おばばに50円を渡し、きなこ棒を選んでいる。
「よぅ、居残り終わったんだな」
「いやー、分数って難しいや」
「授業中に寝るからだろ~」
「あとで空き地行こうぜ」
選んだ2本を口に入れると、片方の串の先が赤かった。
「あっ!仙人がきなこ棒当てたぞ!」
「わー!まじか。仙人すげぇ」
「透視?透視?」
「そうだ、胡太朗くん。試しにこれも回してみてよ」
茶色いランドセルは、3本目のきなこ棒を口に入れながら言われた通りに回した。
金色。顔が映るくらいピカピカのが出た。
少年たちが目を真ん丸にしながら おばばのほうを見ると、煙草を吹かしながらニヤリとしていた。
「おや、とうとう出たね」
「「すげー!金のウンコだ!」」
茶色いランドセルは、ますます少年たちの間で神格化した。
「さっすが、うんこ仙人だな!」
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