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昭和歌謡「まちぶせ」レビュー

ここ、和牛の漫才についてド素人が語りますねって開いたnoteなんですよね。
で、早くもなんですが、昭和アイドル歌謡の名曲、「まちぶせ」を語らせてくれ。

言わずもがなの名曲ですが、つい先日知りました、これはもともと、「三木聖子さん」という方の曲なのですね。
私はそれをカバーした「石川ひとみさん」の曲だと思っていました。
夫に至っては「松任谷由実さん」の曲だと思っていたとのこと。


久しぶりに話題にのぼったので、まず最初に聴いたのは三木聖子さんバージョン。初めて聴くので、感動ばかりでした。
次に石川ひとみさん。もう大変素晴らしく感動の嵐。
そして本家本元の荒井由実さんのまちぶせ。私はカラオケの際、基本的にはユーミンバーージョンで歌うので、一人で勝手に感動していました。
そうすると、あれよあれよと、いろいろな人のカバーが出てきました。

そして覚える違和感。

え、みんな、この曲、ストーカーの曲ですよ?
気づいていますか??

これほどの名曲なので、いま改めて歌詞を載せることはしませんが、どこをどう読んでも、私にはこの曲は、ストーカーの曲としか受け取れないのです。
でも、とある方のカバーを聴いた時抱いた感想は「純情な女の子」でした。

その子の感じ方なので否定はしませんし、表現や受け取り方は人の数だけあっていいと思います。
しかし私はこの曲は純情な女の子の曲だとは思わないのです。

ということで、以下、私のこの歌詞に関する意見をつらつら書いていきます。

「まちぶせ」の女の子の恋心

まず、この曲に描かれている恋心より前に、私の抱く思春期の女の子の恋心について書きます。

女の子の恋というのは、綺麗なものではないのです。
好きになった男の子は自分のものにしたい。誰のことも見ないで、私だけ見ていてほしい。その子に私じゃない好きな子がいるなんて知った日には、強がるしかない。けれど家の部屋では枕に顔をうずめて泣くのです。
独占欲が強くて、きっと好きな子をものにするためなら、なんでもできると強く黒い感情を持っているくせに、自分は清廉潔白で凛とした美しい乙女だと言い聞かせる。
基本的に素直になんかなれないのです。

「まちぶせ」で描かれている女の子も、私はそんな子だと思うのです。
いやむしろ、私が抱く、思春期の女の子の恋を歌った歌が「まちぶせ」なのではないかとすら思うのです

私の思う「まちぶせ」

この曲で歌われている子は、ただ単純に「あなた」のことが好きなのではないのです。
「あなた」と「あの子」が喫茶店で会っているのを見たとき、どんなの動揺したか、どんなに心が傷ついたか。
心からの悲鳴と、慟哭の中、きっと素知らぬ振りをして、凛と家路に着くのでしょう。そしてきっと、親にも気取られぬよう声を殺して泣くのです。
しかし翌日、学校で「あなた」と「あの子」を見ても、何もなかったかのように振舞うのです。
「待っていろ、お前のあなたはきっと今に奪ってやる」とつぶやきながら。

そんな「わたし」のもとに舞い込んだ、「あなた」と「あの子」が別れたというしらせ。
きっと心の中で「あの子」をあざ笑いながらも、自分の気持ちの汚さに微笑すら浮かべ、「わたし」は「あなた」をものにするのと深くうなずくことでしょう。

ひとりの友人としての、「あなた」との日々が過ぎてゆく中、それでも、テーブルを挟んで「あなた」を見つめるほどには、独占欲に忠実なのです。
でも、決して気づかれないように。
そして、プライドの高い「わたし」は、「あなた」の心の傷に首を垂れることなどしないのです。
だって、自分は清廉潔白な乙女なのですから。
だからきっと「あなた」が「わたし」のものになるという自信のもと、ラブレターをちらつかせて「あなた」の気をひこうとするのでしょう。

すべて、すべて、きっと、心の中のどす黒い感情にとても忠実に乙女を演じているだけなのです。

女の子の恋って、そういうものでしょう。

でも私は思うのです。
彼女はきっと「あなた」を手に入れることはできないのです。
そして悲しいことに、「わたし」もそれに気づいている。

だから、清廉潔白な乙女の悲しい片思いと歌っている方を見かけると、「私の解釈と違うな~」と思ってしまいます。

以上が私の考える「まちぶせ」

それを踏まえた上で、私が感嘆してやまない「三木聖子さん」「石川ひとみさん」「荒井由実さん」の「まちぶせ」、ここが素晴らしいを語らせてください。

※以下、相当気持ち悪いですが、大変気持ち悪く書けたので読んでみてください※

三木聖子さん

この方はなんと言ってもサビの感情の爆発のさせ方がたまらないのです。
Aメロ~Bメロは純情そうな女の子なのですが(もちろん、演じていると受け取ってください)、サビに入ると、とたん、どす黒いものがちらつきます。
具体的には
2分16秒の「胸の奥でずっと」の「く」
その後の「もうすぐ~~」はとても寂しそうになります。
そして2分25秒の「振り向かせる」の「か」
心の傷から血が漏れそうなほどの悲しみを感じます。
そしてその後の「好きだったのよあなた」には、なぜ私の気持ちに気づいていながら、袖にし続けるのかという悲しさが感じられる。
その後、2分39秒の「あなたをふりむかせる」の「あなた」
わたしはあなたでなければ結ばれる意味がないのと心の底から思っているのでしょう、あなたにかける怨念にも似た感情が掬って取れます。
そして最後、その全てを詰め込んた「あなたをふりむかせる」

それでもきっと、あなたは私に振り向いてくれなどしないのだろうという絶望が覆いかぶさります。

泣ける。
なんて泣けるんだ三木聖子。
私はもっと早くあなたに出会いたかった!!!!!!!!

石川ひとみさん

この方も素晴らしいのです。もう惚れた、ひとみに惚れた
石川さんのまちぶせの女の子は、三木さんの女の子よりもいじらしいのです。
きっと、石川さんの歌声の可憐さからなのでしょう。
もう、歌いだしから絶望のニオイがぷんぷんする
なのでこの三者の中では、一番寂しさが最初から香ってきます。
きっと、「あなた」を思い続ける「わたし」の傍らに、寄り添ってくれる男の子がいるのでしょう、本当は。
はあ、三角関係かよ。(注・妄想)
「まちぶせ」の女の子は、自分の欲望に忠実に、けれど、清廉潔白な乙女を演じるために凛とし続けますが、石川さんの歌う女の子は、とても気高いのでしょうね。
それゆえ踏み出せない一歩が、本当はある。そしてそれは、「わたし」の絶望感にもつながっている。
それが表れているのが、2分38秒の「好きだったのよあなた」の「だぁ」と「あなた」
でも、「わたし」は「あなた」を諦めきれない。諦めてしまったら、自分の存在意義がなくなると、彼女は思っているのでしょう
それが表れるのが、2分58秒の「あなたをふりむかせる」の「か」
ここがこの曲の中で一番、「わたし」の意思が強く表れているように思います。
この恋に、私は覚悟を決めている、と。

もう、守ってあげたい
「わたし」の隣で見守り続ける、第二の男になりたい。
俺の恋は叶わなくていいから、神様、ひとみの恋を叶えてあげてくれ。

荒井由実さん

これはね、ずるいんだよ。
イントロがね、ずるい。
イントロから騙される。これはストーカーの曲じゃないですよ。
ポップでカジュアルな青春の恋ですよって、騙しにかかってくる。
でも、大丈夫だよ、私たちは知っている。
ユーミンが歌うんだから、ストーカーの曲って知ってる!!

ユーミンは本当にすごい。どれほどすごいかというと、前出のお二人は、きっと、ふと喫茶店で「みかけて」しまったのでしょうが、ユーミンは喫茶店を人目もはばからず「覗き込んで」います。
積極性が段違いです。
そして、そんなユーミンの熱視線にすら気づかないほど、恋に酔っている「二人」
私は気づかなかった二人の仲。私を選ばなかったあなたに恨みにすら近い感情を抱きつつも、それでもなお強く燃えあがる、あなたを思う気持ち。

ユーミンの歌う「わたし」は一見、”人目もはばからず喫茶店を覗き込む”ほど強い女性でいるけれど、忘れないでほしいのだ、彼女はまだ恋に溺れている少女であることを。
それを強く表現するのが、2分11秒の「好きだったのよあなた」である。
ここで我等の思っていた「強い女の子」が一気に叶わぬ恋に打ちひしがれそうになりながら必死で心をつなぎとめている、か弱い女の子であると訴えかけてくる。
そして2分20秒「わたし」で目に涙を浮かべながら、私たちに訴えかけてくる。
わたしきっと、あの人を落として見せるから、見守っていて、と。
でも、2分26秒からの「好きだったのあなた 胸の奥でずっと」では、この恋は叶わないって、私わかっているの、と訴えかけてくる。
2分43秒、最後の「あなたをふりむかせる」
少女は私たちの知らない少女の笑みをうかべ、「あなた」に振り向いてもらおうと笑うのだ。
とても凛としている少女に。


おわりに...

恐ろしく気持ちの悪いレビューが出来上がってしまった…。
自分でも引いているよ…。
大好きで、何度も何度も聴いている曲なのに、こんなに聴いても飽きない。
飽きないどころか、一日中、頭の中に流れてやまない。

そして3者3様、恐ろしいほどに感じる風景が異なる。
それぞれに表現する言葉がスラスラ出てくる。
お三方の表現力が何より素晴らしい。
本当に気持ち悪いレビュー。

そんな私のもとに、こんな朗報がもたらされた。

JUJU、まちぶせ、カバーしてるってよ。

まじか…。
後日、レビュー第二弾書きます。


おわり(・∀・)bachico87

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