島のインじぃ言いたい砲台34 〜生石山砲台 in 由良要塞〜 2023.4.29
生石山砲台
さていよいよ本命の淡路島へ帰ってきました。生石山は淡路島の南東端、兵庫県洲本市由良町にあります。
東京湾要塞が三浦半島と房総半島で敵艦を挟み込んで東京湾を守るように、由良要塞は紀伊半島と淡路島で挟み込んで大阪湾を守ります。何度も言いますが、なんで由良要塞てローカルな名前にしたんやろ?しかも和歌山を含めて…
ただし由良周辺には生石山第1〜5砲台の他、成山第1・2砲台、高崎砲台、赤松山堡塁、伊張山堡塁と結構な数の砲台と堡塁があります。今回はその中でも、最大規模の生石山砲台です。
生石山第1砲台
第1砲台は標高110mの生石山砲台で一番高い場所にあり、明治21年起工・明治23年竣工(完成)、口径28cm榴弾砲6門を配置します。
総レンガづくりのいかにも明治らしい砲台です。
榴弾砲2門を並べて配置した砲座が合計3ヶ所あり、砲座の間に横墻(砲座の横の土手)を兼ねた砲側弾薬庫があります。
一部変則的な積み方がありますが基本、イギリス積みです。天井アーチのレンガ積みがすごい重厚感で、レンガの長辺と短辺を数えると、天井アーチの幅はおよそ1m程度になると思います。
砲座と弾薬庫の床面が同じ高さなので、砲弾を運びやすそうです。
生石山第2砲台
生石山第2砲台は標高106m、明治22年起工・明治24年竣工、口径28cm榴弾砲6門を配置します。
砲座の床面に榴弾砲を設置した円形の跡が2つ見えます。2門ずつ並べた砲座が3ヶ所で、構造的にも第1砲台と同じでないかと思います。
ここは国立公園で環境省が整備を行っており、砲台をフェンスでガチガチに囲んでるので基本施設内に入ることはできません。また国立公園では木を切ることが制限されるので、木が邪魔になって見にくい場所が多いです。
生石山第3砲台
生石山第3砲台は標高105m、明治22年起工・明治23年竣工、口径24cmカノン砲8門を配置します。ただし右翼の4門と左翼の4門は大砲の種類が違っていたようです。
第3砲台からはカノン砲の一部が出土しています。(冒頭写真)
大型のカノン砲※なので1砲座につき1門です。左翼砲座は周囲の壁材が抜き取られてる感じです。カノン砲砲座でよく見るU字状の平面形と違って、後ろがすぼまっていて気球のような形をしています。
右翼砲座はレンガ積みの周囲の壁が残っています。第1・2砲台の榴弾砲は山なりに撃つので胸墻と呼ばれる砲座正面が土手になっていましたが、第3のカノン砲は横向きに撃つので胸墻を低くする必要があります。砲座の違いが良くわかります。
台状の砲座で、地面より少し高くなってます。
砲座と砲座の間に横墻があり、横墻の下の砲側弾薬庫は階段を降りた地下にあります。残念ながら中を見ることはできません。
右翼と左翼の中央に観測所があります。観測所後方の階段を降りた所は司令室でしょうか?
左翼左端にも観測所が残っていました。階段を降りて、写真左側が司令室?
生石山第4砲台
生石山第4砲台は標高68m、明治22年起工・明治23年竣工、口径27cmカノン砲4門を配置します。
戦後に保養施設が建てられた関係で、砲座は壊されて残っていないようです。ただ図面が残っており、ここも気球のような形をしていたようです。横墻にほんの一部レンガ積みの壁が見えていました。第3砲台砲座のようなレンガ積みの壁だったのかもしれません。
また戦後に進駐軍がやって来て、砲台を爆破して使用不能にしたらしく、淡路は非常にその影響が大きかったようです。
砲側弾薬庫は砲座から階段で降りるようになっていますが、ここの壊れ方はハンパない。開発の影響か?進駐軍の影響か?
残っている砲側弾薬庫のレンガのアーチ天井もひびが入ってかなり危ない状態に見えます。
生石山第5砲台
生石山第5砲台は標高88m、明治32年起工・明治32年竣工、生石山で唯一明治30年代で他とかなり雰囲気が違います。
口径12cmカノン砲4門を配置します。
速射カノン砲の性能が詳しく書かれてます。速射で1分間に2〜3発、はじめて知った。
ここの砲座の前方部が見たことない形で、小型のカノン砲※前面は半円形の突出部が2つ付いてるのが一般的ですが、ここはW字型になってます。
台状になっている砲座から、横墻の下の砲側弾薬庫へ階段を降りていきます。どこを地上と考えるかが難しい所ですが、1F砲側弾薬庫・2F砲座という言い方はしないので、地下砲側弾薬庫という扱いで良いのかもしれません。
久しぶりにドーム天井の砲側弾薬庫を見ました。和歌山の砲台以来だと思います。ここも進駐軍が爆破してます。
生石山堡塁や発電所はまた機会があればやります。長くなったんでこの辺で…
※口径15cm以下のカノン砲の砲座は1砲座2門、それより口径が大きいカノン砲は1砲座1門となっている場合が多く、ここでは前者を小型のカノン砲、後者を大型のカノン砲と呼んでおく。
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