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クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #114~レオ・ブレッヒ ハイドン『交響曲第94番 ト長調 ”驚愕”』(1924)

レオ・ブレッヒ

レオ・ブレッヒ(Leo Blech, 1871年4月21日 アーヘン - 1958年8月25日 ベルリン)については過去2回「note」で取り上げたことがある。

彼がユダヤ系でありながら、元々は彼がその総監督(エーリヒ・クライバーの前任)であったナチス帝国のオペラの殿堂、ベルリン・シュターツオーパで1937年まで指揮することができたのか?
ブレッヒの才能だけがそれを可能にしたのではなく、そこにはナチス・ドイツの二人の大物、ゲーリングとゲッペルスの覇権争いの影響があったのでは?と綴っている。

また、ブルーノ・ヴァルターより5歳年上、4歳年下、という微妙な年齢層のブレッヒの音楽も、その時代と関連させて簡潔に語るのは決して簡単ではない。
彼の音楽スタイルは、19世紀ロマン派の影響と、それに対抗する形で登場した潮流である新古典主義の影響が綯い交ぜになったり、指揮する作曲家によって異なってくるような気がする。

ターンテーブル動画

今回お届けするのは1924年に録音されたハイドンの『交響曲第94番 ト長調 ”驚愕”』
グラモフォン原盤の日本ビクター社製。

この古典的均整の取れたハイドンの有名曲を、何故かブレッヒは古典的様式ではなく、相当ロマン的な、つまりテンポの緩急や音量の幅を大きくとって、いろいろな仕掛けで聴かせようよする。
現在人の耳からすれば大げさで付きやすい音楽とは言い難い。

かのハンス・クナッパーツブッシュもハイドンを指揮する時は、結構な無茶をしていたことが残された録音から窺えるが、シンプルで楽譜通り演奏することは、ロマン派の洗礼を受けた者からすれば、一種の罪悪であったのかもしれない。
ただ、電気録音以前のアコースティック録音でありながら、ブレッヒの作る音楽が手に取るように分かる明瞭な音で収録されたことは幸いであった。

因みにこの78rpmのイギリス・オリジナルであるGramophone 69723-5の盤おこしと思われる音源がWEB上にアップされている。

Blech Leo - Haydn Symph. 94 (Gramoph. 69723-5) 1924 : Blech Leo, cond.; Kapelle Deutsch. Opernhauses Charlottenburg : Free Download, Borrow, and Streaming : Internet Archive

がしかし、音質は劣悪。
こちらに挙げた日本盤のクレデンザ蓄音機再生の方が遥かに音がよいことを手前味噌ながらお伝えしておく。


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