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クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #121~アーノルド・フォルデジー『コル・二ドライ』(1926)

「クレデンザ蓄音機と相性のいい楽器=チェロ」という実感。

これはあたらくしあに数多くあるチェロのSP盤の中でも、その思いを一層強くするもの。

ハンガリー・ブダペスト出身のチェリスト、アーノルド・フォルデジー(1882-1940)。

フォルデジーは1920年代にはベルリン・フィルハーモニカーの主席チェロ奏者を務めていた。
よって、彼より遥かに有名、そして20歳あまり若かったチェリスト、グレゴール・ピアディゴルスキーとこのオーケストラの首席の座を分かち合っていたことになる。

『コル・ニドライ』は、チェロ独奏と管弦楽(このSP盤ではピアノ伴奏)による作品で、ヴァイオリン協奏曲第1番、スコットランド幻想曲と共にブルッフを代表する作品。
ユダヤ教からの音楽からインスピレーションを受け、その旋律を借りて作曲されている。

SP盤時代にはチェリストに限らず、片面5分に自分の芸術を納めなくてはいかなかったので、弦楽器奏者はオリジナルでない有名曲のアレンジ作品を取り上げることが多かった。

その点、『コル・ニドライ』はチェロのためのオリジナル作品。
だから無理なく、そしてなんと言っても陰影を含んだチェロの音色、柔らかで豊かなメロディがこの上なく魅力的。


フォルデジーのチェロの特質が最大限に表現され、録音も1926年とは思えない素晴らしさ。

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